47 / 48

第47話 アソートセックス

 セックスならたくさんしてきたよ。  キスをして、抱きしめて、お互いの気持ちいいところを探し当てていくのは楽しかったし、快感を拾うのは上手だったから。誰とでも十分気持ち良くなれた。  あいつと、宇野とするよりもずっと気持ちよかったことだってあった。  相手が変わればやり方も変わる。それも楽しめるようになった。恋愛感情がなくても、誰としても、セックスはいつだって気持ちいいものだった。逆にその方が飽きなくていいって思うくらい。  毎回、違う味を楽しめるアソートみたいなセックス。  それで充分だった。 「あ、の、柴くん」  まだ、柴くんの萎えてない。 「へ、き?」 「?」 「女の子、とは違う、んだ。だから」 「知ってるよ」  面倒、だよ?  きっと。  ノーマルな人にはすごく面倒臭いと思う。  セックスするのにいちいち準備をしないといけないなんて。男の身体は気持ちいいからって濡れてくれたりしない。したい時にすぐにできないんだ。  今まで柴くんが抱いてあげた相手と全然違う。  身体だってそう。  いくら細くても骨っぽくて、硬いでしょう?  女の子みたいな柔らかさはちっともない。女の子みたいにふくよかな胸もない。なのに手間はかかるなんて。 「待ってて」  だから、そっと、少しずつ確かめるように、少しずつ。 「あの、準備するから」  僕とできる?  細いだけで柔らかさのないこの身体でも楽しんでくれる?  待ってて、くれる?  その間に萎えちゃうかもしれない。  準備の時間でテンション下がるかもしれない。 「やだ。待たない」 「! 違くて、あのっ」  萎えませんようにって、内心必死になってしまうんだ。 「貸して」 「!」  羞恥心? 罪悪感? 恐れ? 「っ、ンっ、あっ、待っ、ダメっ、ンンンンっ」  戸惑いに目眩がした。 「あっ、柴くんっ」  柴くんのあの手に前を握られてる。女の子には絶対についてなくて、柴くんと同じものを、あの手に握られて、扱かれてる。 「あ、あぁっ」  柴くんのあの指に、中を撫でられてる。 「あ、柴くんっ」  どうしよう。 「ダメっ、あ、あ、あっ」  溶けちゃいそう。  長い指が僕の中を撫でてくれる度にローションが粘膜を濡らしていくやらしい音がしてる。  前も優しく握られて、くびれのところを指で作った輪っかが小刻みに行き来して、こっちはローションなんてまとわせてないのに。 「あ、あ、あっ」  濡れた音が止まらない。 「柴くっ、ン」  前と後ろを同時に可愛がられて、どうしょうもなくなっちゃうくらいに気持ちいい。ベッドの端に腰を下ろした柴くんの上に跨がって、膝立ちで、突き立てられた指が二本に増やされると、その質量に震えてしまう。あの、指に中が嬉しそうにほぐれてく。  勝手に揺れてしまう。  勝手に柴くんの手に夢中になって、中を撫でてもらいやすいようにって、前、もっとこの優しい手のひらを味わいたいって、腰がくねらせてると、柴くんの唇が胸にキスをしてくれた。 「ン、あぁっン」  快感にツンと尖ってた胸の小さな粒も可愛がられて。 「あ、やっ……待っ」  全身可愛がられて、彼に準備をさせてしまってるなんて。 「柴くんっ」  あ。  でも、まだ、柴くんの、萎えてない。 「あ、あ、あっ、待って、もっ」  ホッとした。  まだ、柴くんの硬い。  それを俯いて、チラッと確かめた。 「真咲さん」 「っ、ん、ンンっ」  低い声で名前を呼ばれた瞬間、前を撫でてくれていた手が腰を掴んで、僕をその膝の上に座らせると、自身の、僕がチラッと見て確かめた、硬いそれと一緒くたに、引き寄せてくれたその手が握って。 「それっ、ダメっ」  柴くんの熱が触れて、下から覗き込むようにキスで唇を塞がれて。 「ン、ンンンンンっ」  身体の奥の方を柴くんの長い指が撫でた瞬間――。 「ぁ、待っ、っっっっっっ」  キスの隙間から戸惑いが溢れて。同時に、快感も溢れた。 「あっ………… ぁ……っ」  指、気持ちい……。 「ぁ、柴く……ン」 「やっぱ、さっきの撤回」 「?」  何、を? 「今までのこと、や、じゃない? って言ってたでしょ」  僕が毎夜抱いてくれる相手を変えていたこと。アソートみたいなセックスを楽しんでいたこと。 「真咲さんのこの顔、見たことがある奴がどっかにいるんだって思うと、ちょっと羨ましくて腹立つなぁって」 「ぁ……」 「だから、やっぱりさっきの撤回する」 「あ、あぁっ」  嘘、みたい。  柴くんのも、今、一緒にイッたのに。  ちっとも萎えてない。 「あぁあっ……あ、硬、いっ」  僕も、今、解されながらイッたのに。 「あぁぁっ」  ど、しよ。 「あ、柴く、ンっ」 「こんな可愛い顔、見たことある奴がいるんだ」 「あ、あ、柴くんっ」  顔、見ちゃ、ダメ。 「あぁっン、あンっ……アっ、ア、ン」  今きっとすごい顔してる。 「真咲さん」 「あ、ダメ、柴くんの、おっき、ぃ……あ、あ、下から突き上げちゃっ、ダメっ」 「やば、真咲さんの中」  ね、見ちゃヤダ。  だって、こんなに気持ちいいの、知らない。  中も、前も全部とろけて、濡れて、トロトロになってる。柴くんのことしゃぶりつくように中がキュンキュンしてる。前は、タガが外れたみたいに、ずっと溢れて止まらない。  ねぇ、気持ち良くておかしくなりそう。  だからきっと、絶対に変な顔してるでしょう?  知らないもの。こんなに気持ちいいセックスなんて。 「あ、ダメダメっ、柴くぅ……ン、あ、らめ、も、イッちゃうっ、あ、あ」 「俺も」 「あ、柴くんっ、柴くんっ」 「真咲さん」 「ぁ、らめっ、も、イくっ」  毎回違う味が楽しめるアソートみたいなセックスをずっとたくさん味わってきたの。  楽しかったし、気持ちよかった。 「あ、柴くんっ」  充分だった、の。 「イクっ、イッちゃうっ、柴くんっ」 「俺も」 「あ、あ、あ、あ」  こんなセックス知らない。  こんな。 「あ、イクっ」  こんなに気持ち良くてたまらなく美味しいセックスなんて。 「好き、柴くんっ」 「っ」 「あ、ああああああああっ」  今まで食べてきたどんな甘いのよりも、甘くて、たまらなく美味しいなんて。 「あ、柴くん」  知らなかった。

ともだちにシェアしよう!