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第52話 ラブ

 学生の時はあまり仲の良い友人はできなかったんだ。  高校、大学と、父の会社を継ぐために必要な経歴のために選んだ進路だったことも少なからず影響はしていたかもしれない。けれど、一番はやっぱり自分の恋愛対象のことがすごく引っかかってしまって。同性を恋愛対象に見えてしまうことを「やめないといけない」と思っていたからなんだか遠慮してしまっていたのだと思う。  まぁ、そんなだから、社会人になって、宇野に同意してもらえて、舞い上がってしまったのだけれど。  社会人になってからも、仲の良い友人はできなかった。  その時はやっぱり身分というか素性を隠して入社したからだと思う。隠し事があるっていうのは、ね。引け目となって、表情に出てしまうだろうから。  だから、今日はとても楽しかった。  友人との会食が。恋人とほろ酔いでデートするのが。 「あっ、柴くんっ、まだ、ここ玄関」 「うん」 「あ、待って」 「ちょっと待てないかも。彼氏って言ってもらって舞い上がってるから」 「っ、ン」  首筋にキスされてゾクゾクって、気持ちいのが込み上げてくる。  服の中にするりと上手に忍び込んできた手に肌を撫でられて、喉奥がキュキュって熱に煽られて、呼吸が乱れる。 「あっ、柴くんっ」 「食べ方とか綺麗って言ったでしょ? さっき、帰りに」  うん。 「あっ、ンっ……あンっ」 「それとセイと喋ってる時とかもさ、上品で」  そんなことない、でしょ。ただ、ああいう会食に慣れてなくて戸惑っていたのが、控えめに見えてだけだよ。きっと。 「あ、柴く、ンっ、乳首っ、らめっ」  ほろ酔い、じゃないかな。酔っ払っちゃってる。指先までジンジンして痺れて、酔いに快感が混ざって、今、すごくやらしい気分になってる。 「そんな上品な人が一昨日のセックスであんなにやらしい顔してたって思い出して、ヤバかった」 「あぁ、ン」 「すごい無邪気に笑ってセイと話してる時とか、好物のパスタにめちゃくちゃ嬉しそうな顔したりとか」 「あ、あ、乳首、気持ち、いっ」 「なのに、こんなやらしい身体してる、とかも」 「あっ」  Tシャツを捲り上げられて、靴箱に寄りかかった僕は胸にキスをしてくれる柴くんのアッシュグレーの髪を抱き抱えて、その髪にキスをした。 「あぁっ」  舌に乳首を可愛がられて、たまらなく気持ちいい。 「あ、あ、あっ」  もう硬くなってるそれを柴くんの唇に押し付けながら、甘い声をこぼしてる。  溶けちゃいそうなくらい、気持ちいい。  このまま、ここで、今すぐに気持ち良くなりたくて、柴くんのが欲しくて。 「あ、柴、くん、の」 「真咲さ……っ」 「ン、あ……む」  柴くんのが今すぐに欲しくて、その場にしゃがみ込んだ。膝をついて、彼の前に座ると、ベルトとパンツの前をくつろげて、窮屈な下着を下にずらすと、そそり立って、跳ねるように現れた熱にキスをした。 「っ、真咲さん」 「ン……ん」  も、ちゃんと硬くしてくれてたのが、すごく嬉しくて、ほろ酔いでふやけた今の気持ちに素直に従った。 「あ、む……ン、ん」 「っ、ヤバ……真咲さんの口の中」  気持ちい? そう、確かめるようにチラリと上を向くと、柴くんが眉をしかめながら、じっと僕だけを見つめてた。 「っ」  そのまま口に咥えて、舌も使って、丁寧に熱の塊をしごいてあげる。  息を詰めて見つめられてることにも煽られて、ここが玄関なのとか関係なく、彼の、柴くんのことを煽るようにたくさん舐めてあげる。 「ン、んっ」  気持ち良さそうに顔を歪ませながら、柴くんの大きな手が僕の髪を撫でてくれた。指ですいてくれて、前髪を掻き上げてくれる。おでこ、まぶたに触れて、睫毛を指先で撫でてくれる。 「真咲さん、準備させて」 「あっ……」  ずるりと引き抜かれた柴くんの熱に名残り惜しいって顔をしたら、苦笑いを浮かべながら、奉仕に濡れた唇にキスしてくれた。吐息ごと食べるみたいに唇が重なって、舌が中に入って来てくれる。絡め取られて、気持ちがふわふわに、とろけてく。 「わっ」  重いよ。 「っ……ン」  すごいね。男一人軽々抱き抱えながら、狭いけれど部屋の中を進んで、ベッドのそばの棚からローションを取ってくれて、ベッドに。 「あっ」 「脚、抱えるから、首に捕まって」 「ン……あ」 「い? 指、挿れるよ」 「あ、う……ン」  早く指、入れて欲しい。  柴くんの指、長くて優しくて、気持ちいいから。 「あ、はぁっ……」  大きく開いた脚の間に半裸になった柴くんが陣取って、僕の内側を濡れた指が開いていく。 「あぁっ……ン」  ど、しよ。 「あ、あ、あ、柴くん」  中、ぎゅっとしてる。  柴くんが欲しくて、早くって、しゃぶりついてる。 「早い? 中、きゅうきゅうしてるけど」 「あ」 「まだ、だったら言って」  すごい、顔してる。  汗を滲ませて、息を乱して。  ――真咲さん、これめっちゃ美味い。きっと好きだよ? 飲んでみる?  さっき、会食の時に見せてくれた笑顔じゃない。  ――ね? 好きでしょ? これ。えっと、これだ。ジンレモネード。 「真咲さん」  切羽詰まった顔してる。真っ直ぐに僕だけを見つめて、目が合うとゾクゾクしてしまう男っぽい顔してる。 「柴、くん」 「も、い? 真咲さんの中、入りたい」 「ぁ、う……ン、僕も」  やらしい顔、してる。柴くんが。 「早く、入れて欲しい……よ」  欲しくて、欲しくて、少しでも彼が興奮してくれるように、精一杯甘い声で彼の名前を呼んで、快楽に熱った指先で彼のことを引き寄せた。

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