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第18話 禁断の境界

夏が近づき、窓から差し込む陽光は日に日に熱を帯びていた。 騎士カーツの肉体は、今や奇跡的なまでの調和を見せ始めていた。規則正しい生活と栄養、そして何より、主君シュハールによる「過酷な慈しみ」が、彼の身体を再構築していたのである。 鍛え上げられた胸筋は以前よりも厚みを増し、腹筋のラインは鋭く浮き出ている。だが、その強靭な戦士の肢体は、ひとたび王の指が触れれば、雪解けの川のように脆く、淫らに蕩け去る柔軟さを併せ持っていた。 (身体が……言うことを聞かない……) 鏡に映る自分を見るたび、カーツは戦慄する。どれほど腕立て伏せを重ね、精神を律しようとも、夜が近づけば秘所は熱を持ち、王の再来を告げる軍靴の音を待ちわびて疼き出すのだ。高潔な騎士の誇りは、今やシュハールの征服欲を煽るための「最高のスパイス」へと変質していた。 だが、そんな肉体の変化とは裏腹に、カーツにはどうしても越えられない壁があった。「奉仕」の技術である。 「……やり直せ。先ほどよりも雑になっているぞ」 シュハールの低い声が、静まり返った寝室に響く。カーツは全裸で王の足の間に跪き、必死に口腔での奉仕を続けていたが、やはり上達は遅かった。騎士としての禁欲的な気高さが、どうしても無意識の拒絶として、喉の強張りや舌の動きに現れてしまうのだ。 「申し訳、ございません……陛下……ッ」 「口では殊勝なことを言いながら、心ではまだ俺を蔑んでいるのか? それとも、仕置きが足りぬという催促か」 シュハールの黄金の瞳が、サディスティックな光を宿して細められる。王は傍らに用意させていた、冷たい光沢を放つ金属の器具を手に取った。それは、先端を無慈悲に締め上げるための、細工の施されたリングだった。 「……望み通りにしてやろう。これでお前の無駄な昂りを封じる。自らの手で、これを嵌めろ」 「……っ!? そんな……それだけは! ご容赦ください……!」 カーツは顔を青ざめさせ、激しく首を振った。 戦場での負傷や、拷問に近い痛みであれば、彼は眉一つ動かさず耐え抜くことができる。しかし、彼は快楽には驚くほど弱く、そして「男としての誇り」を玩ばれる恥辱には、それ以上に脆かった。 シュハールは、カーツが痛みよりも、この「前を塞がれる」という屈辱的な不全感に最も苦しむことを完全に見抜いていた。 「俺は命令したはずだ。自らできぬと言うなら、二度と自分では外せぬよう、俺が焼き付けてやってもいいのだぞ」 「あ……っ……」 王の眼差しにあるのは、容赦のない支配の意志だ。カーツは絶望に唇を噛み締め、震える指先でその冷たい金属を自らの熱い先端へと押し当てた。カチリ、という硬質な音が、逃げ場のない屈辱を告げる。封じられた部位が鈍く痛み、行き場を失った熱が身体の芯で渦を巻く。 「……っ、うぅ……っ」 「いい格好だ。前を封じられたまま、後ろだけでどこまで鳴くか試してやろう」 シュハールは、逃げ場を失い悶えるカーツを寝台へ押し倒すと、容赦なくその背後を暴いた。 前が完全に塞がれているため、快楽が逃げていかない。一突きごとに熱は身体の内に蓄積され、出口を求めて狂おしく逆流する。シュハールは、カーツが最も敏感な一点を執拗に、かつ暴力的なまでの質量で抉り続けた。 「ああぁッ! ぁ、ひ……っ、だめ、です……苦しいッ……出、したい……っ!」 「だめだ。お前はまだ、俺を満足させていない」 内側をかき回される衝撃が、直接脳を揺さぶる。絶頂に達しようとしても、金属のリングがそれを無慈悲に遮断し、苦痛に近いほどの昂りがカーツの全身を硬直させた。背中は弓なりにしなり、指先はシーツを無茶苦茶に掴む。 痛みに強いはずの元騎士団長が、前を封じられたまま後ろを徹底的に攻め立てられるという「地獄のような愉悦」に、子供のように泣きじゃくりながら許しを請うた。 さんざん鳴かせ、快楽の極地で放置されるという最も残酷な焦らしのあと、シュハールは身を引き、カーツを寝台の上に仰向けにさせた。 「……膝を抱え、こちらへ向けろ。隠すな、すべてを晒せ」 「っ、あ……陛下……あぁ……」 それは、かつての「ノルズガルドの盾」にはあまりにも残酷な、屈辱のポーズだった。カーツは震える手で膝を抱え込み、顔を逸らしながら自身の醜態を王にさらけ出した。前はリングに締め上げられて赤紫に変色し、後ろは王の執拗な侵略を物語るように、とろとろと卑猥な熱を滴らせている。 「言ってみろ、カーツ。奉仕も満足にできぬお前は、何だ」 カーツの顎を掴んで強引に目を合わせ、シュハールが言う。 「……あ……」 喉が拒絶反応を起こし、声が出ない。騎士としての気高さが、その一言を口にすることを全力で止めている。だが、シュハールの手が再び冷たい器具に伸びるのを見て、カーツはついに屈した。 「……私は……陛下に、満足して……いただけるように……もっと、奉仕に……努めます……」 「……それだけか?」 「っ、ぅ……私は……陛下……の……シュハール陛下の……淫らな、奴隷、です……ッ!」 魂を切り売りするような悲痛な叫び。言葉を吐き出した瞬間、カーツの瞳からは大粒の涙がこぼれ落ちた。その気高さが踏みにじられる瞬間こそが、シュハールにとっての最上の果実だった。 「……よく言えたな」 シュハールは満足げに笑うと、カーツを拘束していたリングを外した。 解放の衝撃にカーツが身悶える間もなく、シュハールは彼を正面から強く抱きしめ、慈しむように深い口づけを与えた。 「……っ、あ……」 絶望的な辱めの果てに与えられた、わずかな優しさ。 許されたという圧倒的な安堵感が、カーツの思考を麻痺させる。彼は自ら、シュハールの首に腕を回し、その逞しい身体にしがみついた。内側を貫かれる熱ささえも、今は自分を繋ぎ止めてくれる唯一の絆のように感じられる。 安堵と歓喜が混ざり合ったカーツの肉体は、いつになく強く、貪欲にシュハールを締め付け、王を迎え入れた。その反応にシュハールも声を漏らして喜ぶ。 シュハールは、絶頂の余韻に浸りながらカーツの白銀の髪を優しく撫でた。そのまま彼を抱きかかえ、自身の大きな身体で包み込むようにして横になる。 腕の中で、疲れ果てて微睡む白銀の騎士。 その姿を眺めながら、シュハールは確信していた。世界各地のどんな財宝よりも、新たに手に入れた広大な征服地よりも、この一人の男の誇りを折り、忠誠を愛へと歪ませていくこの過程こそが、王としての、そして一人の男としての己の心を、至高の満足で満たしてくれるのだと。 (お前のすべては、俺の掌の上にある……) シュハールは満足げな笑みを浮かべ、愛おしい私物を抱きしめたまま、深い眠りへと落ちていった。

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