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生命

治療方法については美容皮膚科医と連携することとし、初日の診断は終わりになった。 連絡先を交換してから、俺はカタコトでしか話せなくなってしまったため、今後のスケジュールなどは看護師さんから伝えてもらったのだった。 「先生、生芸能人に緊張しちゃいましたか?」 「……あ、いや……すまない。ちょっと体調が悪くて目眩がしたんだ」 「あら、大丈夫ですか? 明日は通常診察ですし、早く休んでくださいね」 お先に失礼しますと、待機シフトで出勤してくれていた看護師が俺に戸締まりの鍵を渡すと、院内はシーンと静まり返った。 「ええええええええええ!!!!!!」 普段、病院では騒がないようにしているが、今日は緊急事態だ。脳が爆発して思考が溢れ出し、俺の正気を奪っている。脳汁って本当に出るんだっけ。なんか出てる気がする。 「まずは……涼に連絡して……薬と……美容皮膚科でどこまでいけるかを……」 俺はスマートフォンを手に取り、涼に電話をかけようとした、その瞬間。 ♩ピロリン 私用スマートフォンには、俺が世界で一番好きな3文字が映し出されていた。 『花宮 暖』だ。 【今日はありがとうございました。治療方針が決まりましたら、食事でもしながらお伺いしたいのですが……。ご迷惑でしょうか?】 迷惑なわけないだろおおおおおお!! むしろ俺が世の中の迷惑だし、暖くんに日々ちゅっちゅかましてる要注意危険人物レベル5なのに。 生きててごめんなさい。迷惑かけないようにしますから、暖くん……と思って日々推させていただいているのにぃぃ! はぁ……はぁ……どうしよう。 食事? 食事って何。 生きるために食べ物を口へ運ぶ行為だ。 ということは……食べることは命。命とは生きる。生きるとは食べる。 それは命。 そう、これから大切な身体を俺に診てもらうにあたって必要な、医療行為だ。 俺は近くにあったペットボトルの水を一気に飲み干した。 【問題ないですよ。明日、美容皮膚科医と打ち合わせしますので、スケジュールが決まり次第ご連絡いたします。寒川】 よし。送信。暖くんには5分以内で返信しないとね。失礼だからね。 俺はデスクに座り、引き出しに入れてあった栄養補助食品を口に放り込んだ。 これから彼が最善の治療を行えるようベストを尽くしたい。乾ききってつまらない毎日に輝きを与えてくれたのは彼だ。恩返しをするチャンスを逃したくない。 何より彼に、駄目な医師だと思われたくない。 医療は平等であるべきだ。 ならば彼にも全力を出そう。αとして生まれた能力を最大限に活かそう。 今後も彼のように火傷の跡に苦しむ人の力になれるはず。

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