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愉悦

「わぁ…すごい。流石α…立派だぁ」 俺の下着に手をかけた暖くんは、テーブルクロス引きみたいに勢いよくずらした。そしてガッチガチに立ち上がってる俺の分身を、うっとりとした瞳で舐めるように見つめている。 「えへ、見られてまた大っきくなったぁ」 指を伸ばし、つんつんと先端に触れれば、じわりとαのフェロモンが溢れ出す。 堪らない。誰かに性器を触られるなんていつぶりだ。暖くんにハマってからは、他の男に目もくれなかったし、ひたすら自分で慰めるだけだった。 「うっ…」 「凍さん、かーわいっ」 まるで子供をあやす様に、よしよしと俺の髪の毛を撫でたと思えば、また少々乱暴な手つきで膝まで降りていたズボンと下着を一気に脱がせてきた。 「こんなイケメンでハイスペなお医者さんが、僕に脱がされて下半身だけ丸出しなんて…」 俺の情けない姿を見れば、暖くんの瞳はステージにいる時と同じくらいキラキラと輝いて、興奮しているのかはぁはぁと声を出しながら呼吸をしている。 「申し訳ない…気持ち悪いだろう…いい年こいて若い子に欲情するなんて」 床には、俺が今朝選んで袖を通したシワ一つない高級なシャツが、暖くんのだらしないスウェットと重なり合うように、無造作に放り投げられている。 俺はどちらかと言えば几帳面なので、服を脱ぎ捨てたりなんぞしない。しかし、自分では出来ない乱雑が伴った動作がさらに俺の下半身を熱くさせた。 「だからー!嬉しいって言ったじゃないですか!」 暖くんは眉間に皺を寄せ、まあるい目をやや三角に変形させた。ちょっと怒っているのだろうか。 か、かわいい… 暖くんの怒りの顔を見れば、俺の先端からはダラダラと涎が溢れ出した。漏らしたのかと思うほど、α特有の先走りが次の行為を期待しているとアピールした。 「もう!僕に欲情してくれるのが嬉しいんです!恋人でしょ??」 暖くんは、言い終わる前に滑らかな手のひらで俺を包むと、また雑に上下に動かし始めた。待ちかねていたその動作に、脳内の快楽物質を放出するスイッチが押される。 そしてスイッチは直ぐに壊れた。 「暖くん…っ…暖くん…っ…もっと!もっとしてくれ!!」 「ぎゃっ!?凍さん!!だめ!!自分で動いたら!!めっ!!悪い子!!」 わわわわわわわわわるいこ!!?? 悪い子!!そう、俺は思いを馳せていた推しに下半身をさらけ出して自ら腰を振りまくる変態だ!!悪い子どころか悪党に決まってる!! 「はっ!ご、ごめんなさいっっ!!」 「もう!辞めないなんて反省してない!!悪い子っ!!」 悪い子!というフレーズが、暖くんの天使の声帯から奏でられ、形のいい口を通って、吐息と共にダイレクトに俺の脳内にスパークする。 寺にあるデカイ鐘で直接殴られた様だ。 ぐわんぐわんの脳内に言葉が響き渡る。 「悪い子」と言いながら、その瞳の奥には、俺の無様な姿を隅々まで観察し、捕食者が獲物を仕留める時のような愉悦が宿っているのが見えた。 実際殴られていないし、触られてるのは性器だからとにかく気持ちよくて最高だ。 「でででででででででるっ!!!!!!!」 抑えきれない快楽の波が全身を支配して、俺はつま先をピンと伸ばして、欲望を吐き出すためにぎゅっと目を瞑った。 その瞬間ーーーー。 「だめ、僕を見て」 たった一言なのに、何よりも強制力がある言葉に俺が抗えるはずもなく、目を見開き目の前の天使と目を合わせた。 換気のために少しだけ開いた窓から、冷たい夜風が入り込む。その静寂とは対照的に、ベッドの上では熱い液体が勢いよく撒き散らされ、俺は泥のように崩れて果てた。 快楽の波がさぁと引いていくのがわかれば、一気に力が抜け、ベッドに置かれたクッションに吸い込まれるよう身体を預けた。

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