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第2話

「全く。こんな二人と二年近くも一緒にいれば俺の精神年齢もそりゃあ上がるよ。」 「確かにー!まぁでも、ほとんどはすぐそこで絶賛爆睡中の伊織くんのおかげでは?」  悠馬は伊織の頰を人差し指で触れた。 「そうだね。確実に穂積がほとんどの要因だ。」  伊織の寝顔を見つめながら二人は笑った。  朝休み終了の予鈴が鳴り、見事に爆睡した伊織のおでこに悠馬が勢いよくデコピンを放つ。 「ほらっ、伊織!起きろよ。先生来るぞー。」  デコピンをくらわされ赤くなったおでこをさすりながら伊織が目覚めた。 「ん〜。もうっ、悠馬ひどいっ。デコピンはマジで痛い…。」 「颯希が朝起こしてやったのに、起きねぇからだろー。」  伊織は「むぅ。」と頰を膨らませ、颯希に抱きついた。 「!!」  その瞬間、颯希の鼓動がドクンッと早くなった。  幸い、その感覚は伊織には気づかれなかったようで、何もなかったように振る舞う。 「颯希ぃ〜。悠馬がいじめるー。」  幼い子供のように甘える伊織を無視して真剣に返答する。 「穂積が起きないのが悪い。が、朝比奈の起こし方はよくない。かな。」  不満の表情を浮かべる二人。  直後、ガラリと扉を開けて担任の八坂先生が教室に入る。 「席につけー。ホームルーム始めっぞー。」  悠馬と颯希はそれぞれの席についた。  先ほど、伊織に抱きつかれた瞬間の胸の高鳴りを不思議に思い、胸に手を当てる。  颯希の後ろの席に座る悠馬はその姿を見つめて驚いた直後に少しだけ笑った。 放課後。 「颯希ー。今日お前、部活あんの?」  帰りのHRを終えるなり、悠馬は颯希に声をかけた。  颯希は合唱部に所属し、基本的には部活動で大忙しである。  それを知っているからこそ、悠馬は颯希に部活の有無を真っ先に聞いたのだ。 「今日はないよ。どうかしたの?」  「よしっ!」と嬉しそうな表情を浮かべ爆睡中の伊織の周りに颯希ごと集合した。 「ねえねえ、今日さ、三人でどっか遊びにいこーぜ。  俺今日暇なんだよ。  颯希は空いてるって言ってるし、伊織は今日は部活ないらしいし、暇だろ?」  伊織は弓道部に所属している。  それも去年、冬のデビュー戦で中学一年生部門一位、県大会三位に輝いた強者である。  つい先日、弓道部の部活日程が配布され、伊織と颯希と悠馬の三人でそのプリントを見たために悠馬は弓道部の休日を知っていた。 「いいよ。何するの?」  伊織は御構い無しに二人で話を進める。 「…ん。じゃあ、俺の部屋で。」  寝ているはずの伊織がむくりと起き上がり、一言告げた後また机に突っ伏した。 「オッケー。」  二人は快く承諾し、伊織を引きづりながら伊織の家へ向かった。

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