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第3話

 伊織の部屋で遊ぶのはこれで三度目であり、家族で住んでいるため、悠馬と颯希は伊織の家族と仲良くなっていた。  突然の訪問も慣れたものである。 「お邪魔しまーす。」 「お邪魔します。」  各々で挨拶をし、家の中に入る。 「あら、悠馬くんに颯希くん。いらっしゃい。いつも伊織がお世話になってごめんねぇ。」  伊織の母親が二人を歓迎するとともに二人に連れられて帰ってきた様子の伊織をみて謝罪をする。 「いえいえ。大丈夫ですよ。こちらこそいつもお世話になっています。」  颯希が丁寧に言葉を返し、伊織の部屋へと向かった。 「よっし。着いた着いた。」  半分寝た状態の伊織に悠馬が声をかける。 「おーい。伊織。着いたぞ。お前の部屋!」 「ん…。おれの、へや…。」  伊織はまだ眠い目を擦りながら肌触りの良い絨緞の上に置かれた椅子に座り、目の前に置かれた折りたたみ式のローテーブルに突っ伏した。  四十二インチのテレビや二十一インチのデスクトップ、多くのケーブルの先に繋がれた十三インチのタブレット型パソコンや十四インチのノートパソコンなどの数々の電子機器が設置されている伊織の部屋は本人以外は正直落ち着かない。  ゲーム機もいくつか置かれてはいるが飽き性の伊織には長続きしなかったのであろう、薄く埃を被っていた。 「こんな羨ましい環境なのにさぁ、なんで活用しないんかねぇ。こいつは。」  悠馬が伊織の隣に座りながら呟いた。  「まあ、穂積だからね。」という颯希の言葉に悠馬も「そうだよな。」と笑った。  悠馬が手際よくゲーム開始の準備を終え、颯希が伊織を起こし、三人でアクションゲームを始めた。  一時間ほど経過し、悠馬が休憩を呼びかけた。 「そろそろ休憩にしようぜ。俺、コンビニ行ってくるわ。お菓子とかてきとーに買ってくるな!」  悠馬は財布と携帯を制服のポケットに突っ込むと颯爽と出かけて行った。 「もう眠くない?」  颯希は、テレビの入力切換をして画面を見つめる伊織に声をかけた。 「ん。もう眠くないよ。学校でだいぶ寝たしね。」  「全く。」と言いながらも日中、顔色の悪い伊織を心配していたために心の底から安心した颯希はふわりと笑った。 「それにしても、相変わらず凄いね。」  物珍しそうに部屋の中を見物する。  伊織はといえば絨緞の上に座ってテレビを静かに見つめていた。  そんな伊織の横顔を見つめたその途端、机の側に落ちていた紙を踏み、バランスを崩した。 「うわっ!」

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