17 / 18
16話 『絶対に関わるな』(フラグ)
前世のフタミは、ごく普通の大学生だった。彼女がいたこともある。死ぬ一年前くらいはフリーだったが、明るく『陽キャ』の部類に入るタイプだったこともあり、さほど困ったことはなかった。なにしろ、前世は一人暮らししていたし、動画サービスも充実していた。
一方、今は結構、困ることが多い。実家にいた頃は、商家ということもあり、とにかく人が多い。家族だけでなく、奉公人や使用人もいた家で、プライバシーなどあるはずがない。ついでに言えば、前世にくらべると家の気密性も低い。さらに、今は寮生活である。
今までは、なんとなくそういう感情に蓋をしてきたが、一度火が点いてしまったら、収まりそうになかった。結局のところ、フタミは思春期の青年である。精神年齢が高くとも、肉体はそうではない。久し振りに他人に触れられた感触は、耐え難い快感になってしまった。
「っ……、ん、見られてたら、やりづれーって……」
ショートパンツをずらして、自身に手を掛けようとしたのを、ディオルフの手が止めた。手首を掴んだディオルフの手が、燃えるように熱い。
「りょ、寮に戻ってからにすればいいだろう!」
「オレ、四人部屋だぜ? 無理言うなって」
「っ……」
ハァと吐き出した吐息が、ディオルフの頬を擽る。近くにいるだけで、互いの体温が熱い。気がおかしくなりそうだ。
「俺は、忠告したはずだぞ―――」
「え?」
ディオルフはフタミの手首をそのままグッと掴み、テーブルに押さえつけた。ビクリ、フタミの肩が跳ねる。
膝で股間を押し上げられ、フタミはゾクリと皮膚を粟立てる。
「ん、ちょ」
「バカめ」
短くそういって、ディオルフの唇が、フタミの唇を塞いだ。舌が唇を割り、咥内に侵入してくる。熱い舌が、ざらりとフタミの舌を舐めていく。
「んぅ、んっ!」
先程の忠告が、頭を過ぎる。誘ってるだとか、そんなつもりが毛頭ないことは、ディオルフだって解っているはずだ。だが、狙われるとか、見せるなと言うことは、即ち、彼にもその欲望があるということで―――。
(あ、ヤバ……。キス……気持ちいい……)
ディオルフの舌が、上口蓋を撫でて行く。舌を絡ませ、吸い付くように口を吸われる。普段の紳士的な顔からは想像できない、獣のようなキス。フタミはビクビクッと腰を揺らしながら、ディオルフの腕にしがみつく。
(あ、睫毛、青いんだな……)
薄く目を開くと、目の前に美しい青の髪と同じ青がある。
ディオルフは武骨な手をフタミの腰に滑らせ、ショートパンツの隙間から柔らかい双丘を撫でる。
「んぁ……っ」
白い肌を撫でるディオルフに、フタミの唇から甘い声が漏れた。その間にも、ディオルフの舌はフタミを翻弄するように唇を舐めていく。
「ハァ……っ」
甘い吐息を吐き出し、ディオルフが自身の前を寛げた。柔らかなシルクの夜着をずらすと、既に興奮して固く勃ち上がる性器が露出する。腹にその質量を感じて、フタミはゾクリと肩を揺らした。
「ディオ――……っ」
「良いから、静かに」
ディオルフの手が、フタミの性器に触れる。重ね合わせるように互いの性器をピタリと寄せて、ディオルフの手が二つを同時に擦りあげた。
「あっ、あ、んゃ……」
「……っ」
先走りの粘液を塗りつけるように、ディオルフが手を動かす。他人の手の心地よさと、粘膜同士が擦り合わされる快感に、脳が溶けそうな感覚になる。
「あ、あ……、ディオ、ディオルフっ……それっ、ヤバ」
「……これが、良いのか?」
「ひゃ、んっ! あ、あ、先っぽ、ダメだって……!」
亀頭をグリグリと弄くられ、甘い喘ぎがこぼれる。クチュクチュと濡れた音が、夜の調理室にやたらと響く。
「あ、あー……、あ……、気持ち、イイ……っ、頭、ヘンなる……」
「……」
恍惚とした表情で呟いたフタミに、ディオルフが喉を鳴らした。そのまま、フタミの喘ぎを呑み込むように、再び唇を塞ぐ。
「んん、んむっ、ん」
ディオルフの手が、動きを速くする。絶頂が近いのを感じながら、フタミはディオルフの背に腕を回した。
脳裏で、イチルの『絶対に関わるな』という言葉が、一瞬だけ頭を過ぎったが、フタミは見なかったふりをしてディオルフの舌に舌を絡める。
「フタミ……っ」
「あ、あっ……! ディオルフ、一緒にっ……」
涙目ですがったフタミに、ディオルフはぎゅっとフタミの身体を抱き寄せた。
二人の間で白濁が弾ける。
フタミとディオルフは互いに視線を絡ませると、再び吸い寄せ合うように唇を重ねた。
ともだちにシェアしよう!

