30 / 41

心拍数4 二人の呼吸

「……痛かったら言えよ」 「うん…」  俺は柊一さんにもたれかかった。俺の身体を抱きとめて、彼は俺の身体にキスの雨を降らせながら、舌を使って愛撫する。 「う、う、うわ…う、う…あ、あ…」  俺は言葉にならない文字を並べていく。幾度も弱いところを舐められ、俺はどんどん頭が白くなっていく。  彼はおもむろに、次の行動を開始する。 「七瀬、ソファーの方まで行けるか?」 「うん…」  俺は柊一さんのリビングにある、ベッドにもなるソファーに移動する。柊一さんの家に来るようになってずっと俺が使っていたソファーベッド。今はソファーのままで部屋に鎮座している。俺がそこに腰かける刹那、彼が俺を組み敷く。俺は彼の背中に腕をまわす。 「柊一さん…」  俺が彼の名を呼ぶと、彼は俺の唇や身体を愛おしそうについばむ。先刻とは打って変わって静かな求めに俺は焦らされているような感じがして、 「いいの?柊一さん…もっと激しくても俺、ついてくよ」 と、彼を急かす。  閑散としたリビング。俺と柊一さんの息遣いしか聞こえない。相変わらず部屋を照らすLEDの照明はついており、俺の顔も柊一さんの顔も煌々とした光でしっかりと見える。 「急がすな、七瀬」 「うん…」  できれば灯りを消してほしいけど、今はそれすら面倒に感じる。  彼の舌が俺の身体を這うようになり、俺は目を瞑った。徐々に彼の欲求が激しくなってきている。お互いの呼吸を感じるたびに、胸が疼く。 「しゅ、しゅ…柊一さ…ん…」  俺が彼の名を再び口にする。彼は彼だけが知っている俺の官能的に弱いところを舌で責め立てる。 「あ、あ…う…あ…ああ…」  俺が彼の身体の下で、甘い快感から逃げ出すこともできず、ただ小さく首を振る。彼の片手は雄の欲を一番感じる股のあたりをなぞっている。  シャワーから出たばかりだったので、下着しか着けていない。彼の手は敏感に俺の欲を煽りたてる。 「う…う…あ、あ、ん、んん…うあ…」  喘ぐ声しか俺は出せない。彼はそんな俺の様子を見てか下着に手を入れ、直に硬くなって勃起している俺の性器に触れ、擦り始める。俺は背中を反らせて、天を仰ぐ。ヒートアップしていく彼の手の動きに俺は耐えきれなくなり、俺の太い指先が空を掴むように彷徨う。 「う、あ、ああ…ん、ああ…ああ…」  先走った汁が零れる。彼はそれも気に留めず、性器への刺激を続ける。俺は抗うように腰を浮かす。すると、彼の手は止まるどころか激しくなる。俺は彼への愛おしさと切なさで、胸をかきむしられ、俺は柊一さんの背中に爪を立てたる。 「は…は…はや…早く…お、俺…しゅ、柊一さんが…」  彼は俺の内部へ指を深く挿入する。 「あああ…うあ…あああ」  何度されても慣れない。彼の指だけでイってしまいそうそうになる。痺れたように身体が震える。 「しゅ、…柊一…さん…早く……きてっっ」  俺は目を潤ませ、彼に請う。 「まだだ、ゆっくりここを濡らさないと痛いのは七瀬だぞ」  彼の指は止まらない。俺の中を彼の指が暴れまわる。 「あ…あああ……はや…早く…もう…もた…な…い…」  彼は一度指を抜き、俺のトランクスを下し、再度指を入れる。 「しゅ、柊一…さん…きてっ!…もう…俺…だめ…」 「ホント、感じやすいな、七瀬」  彼は自分の身に着けていた服を脱いで、腰を落とし、俺を迎え入れる。 「ああああああ……ああああ」  柊一さんと身体が繋がる。彼は何度かピストン運動を繰り返す。身体が熱くて、溶けそうになり、心臓の音はうるさく響く。 「七瀬、一人でイクなよ」 「う、あああ…も、も、もう…だ…だめ…」  俺は白い液体を彼にめがけて発射する。彼の腹部は俺の白い液体で汚れる。…頭の中は俺が出した液体より真っ白だ。 「また一人で先にイきやがって…」  彼は一人ごちると、俺の中に入れた肉棒を引き抜くと、ティッシュを持ってきて身体についた俺の液体を拭きとっていく。 「ごめん…柊一さん…俺だけ先にイっちゃった」  俺は彼に詫びる。彼は俺に一瞥をくれると、 「好きにしてもいいんだよな?俺がイクまで七瀬にはつきあってもらう、お前が何度その間にイってもカウントゼロだ」 と、告げる。俺は彼の身体につかまり、一度だけ首を縦に振る。彼は俺の吐き出した液体を拭き終わると、俺の身体に手を回し、体中を愛撫し始めた。俺は彼に抱かれながら、彼のウエーブががった髪を触る。 「好き…柊一さん…俺だけ見てて」  彼は答えない。その代わりにリップ音を返す。 「…俺は、柊一さんだけ見てるから…」 「…知ってる」  俺は柊一さんを力任せに抱きしめる。 「七瀬、バカ、離せ…バカ力出しやがって」 「だって俺、柊一さん大好きなんだもん」 「わかったから、離せ、バカ:勃起(ルビ())つものもたたなくなる」  柊一さんは必死になって俺から離れようとする。 「じゃ今度は俺が柊一さんをイカせる」  俺が柊一さんを押し倒そうとするが、それを彼が拒み、俺は逆にまた押し倒される。 「ホント、お前は駄犬だな。何度躾《しつけ》しても直りやしない」  彼はいきなり指を中に入れてきた。 「あああ…うあああ」 「まだ濡れてるな、感度がいい駄犬は好きなだけ鳴いてろ」  彼は俺の足を腰にまわし、幾度も好きなように俺の中を弄りまわす。声が掠れるほど俺は鳴かされる。 「も、もう…だ、だめ…しゅ、柊一さん…俺の中にきて…」 「早いんだよ、七瀬。お前感度よすぎ」 「うああ……だ、だめ、だ、…だめ…」  何を文句言われても、これだけは持って生まれたもので、治せる薬もありはしない。顔はもう既に紅潮している。情けないくらいに鳴く。 「少しは粘れよ、七瀬」  柊一さんが俺の中に入ってきたが、そこから動こうとしない。中の奥深くまで入っているのに。 「い…いや…柊一さん、動いて…!」 「動いたらまたすぐイクだろ、お前」 「い、い、いかないから…お願い…動いて…!」  彼はようやく俺の求めに応じて、身体を動かし、俺の中を彼の肉棒で突き上げる。 「うあああああ…あああ」  俺はイキそうになるのを必死で堪える。彼の動きは勢いを増す。意識が飛びそうになるのをひたすら俺は我慢する。  彼の為に俺は自分の身を捧げたんじゃないか。その彼が一緒に悦楽を感じたいと願うなら、それに応じるのが俺にできること。俺が彼の処方箋になるのなら、ここは頑張らないと意味をなさない。 「あ、ああああ…う、う、あ…あああ」  俺は悶えながら、ソファーを掴む。天を仰ぎ、真っ白な世界へいってしまいそうだが、俺は彼の刺激に全力で抗う。  俺が出来る俺だけの彼への贈り物は二人で一気に精を放つことだ。その為のこの時間だ。俺だけが真っ白な世界を見てしまっては意味がない。感度がいいらしい俺には難題だが、彼の為にもそこを乗り越えなければ。 「あああ…うああ…あんあああ」  喘ぐ声は制限できない。懸命にイクことを耐えているから、余計声が出る。 「七瀬、無理するな。お前がイキたい時イっていいから」 「で……で…も…そ、それ…じゃ…」 「俺の事は気にするな。言ったろ、俺がイクまでカウントゼロだって」 「じゃ…ごめん…な…さ…い…俺、もう……」 「わかった」  彼は俺の中を奥深く突き、前立腺を刺激する。鼓動が早くなる、心音が跳ねる。 「うああああ…い、いく…だ…だめ…いく―――」 「いけ…七瀬」  また俺の性器から白濁した汁が流れ、彼の身体を汚す。 「柊一さん、俺また先に…」 「いい。お前の可愛い顔見れたからそれである程度満足はしてる」  柊一さんはまたティッシュで身体を拭いている。俺は申し訳ない気持ちでいっぱいになる。 「七瀬、たまには違うことしてみるか」 「え?」  柊一さんは何をする気なんだろう。

ともだちにシェアしよう!