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【番外編】静寂の宿で、君という傑作を読み解く27

「お、俺…バカだからよくわかんないけど…」  更に柊一さんの顔が近づく。俺の心臓の音は早くなる。 「言葉は必要ないっていったろ」  俺の顔が赤らんでいく。柊一さんはそれを見逃さない。 「そういう可愛い顔ばかり見せられたら、余計に容赦できなくなる」  囁かれた声の低さにぞくっと背筋が痺れて、閉じた瞼の裏が一気に熱くなる。そのまま重なるように落ちてきた唇は、さっきまでの強引さが嘘みたいに柔らかくて、優しかった。  触れるだけのキスを何度か繰り返されたあと、ふっと唇が離れる。薄目を開けると、すぐ目の前で柊一さんがどこか愛おしそうに俺を見つめていた。 「七瀬、ちゃんと俺を見ろ」  組み合わされた手にぐっと力がこもり、逃げ場を無くされる。俺が戸惑いながらも視線を合わせると、柊一さんは満足そうに目を細め、耳元へと顔を寄せた。 「バカならバカなりに、体で覚えればいい」  熱を帯びた吐息が耳朶をくすぐり、そのまま首筋へと唇が落とされる。湯上がりの肌に触れる冷たい髪と、柊一さんの熱い唇のコントラストに、俺は小さな声を漏らしながら彼の浴衣の胸元を強く掴むことしかできなかった。 「柊一さん……や、優しくしてね……昨日みたいな激しいのはナシだからね……?」  胸元に押し当てた自分の手を通して伝わる柊一さんの鼓動の早さに、息が詰まりそうになる。上目遣いに訴えかけると、柊一さんは低く掠れた声で短く応じた。 「わかってる」  優しく宥めるようなその言葉とは裏腹に、俺の浴衣の帯へ伸ばされた指先には確かな熱が宿っていた。まるで壊れ物でも扱うかのように慎重で、けれど拒絶を許さない丁寧さで紐が解かれていく。  滑り落ちる衣類の隙間を埋めるように、柊一さんの唇が首筋から鎖骨へと滑り降りてきた。 「んっ……あ……ん、くぅ……っ」  首筋に落ちる熱い吐息と舌の感触に、身体が跳ねるようにびくりと震える。  じわじわと身体の奥から湧き上がる熱は、すべて柊一さんから与えられたものだ。その熱を閉じ込め、逃がさないように包み込むようにして、彼は俺の浴衣をゆっくりと肩から滑り落としていった。  …夕べよりずっと優しい。俺をいたわる気持ちさえ彼の仕草にうかがえる。俺は、彼に導かれるように彼の腕の中で堕ちていく。 「……しゅ、……しゅう……いち……さ、ん……っ――」  たまらず溢れ出た掠れた声でその名前を呼ぶと、柊一さんはそれに応えるように首筋から滑らせた唇で、微かに熱を帯びた舌を這わせてきた。  吸い上げられるような刺激が脳裏を痺れさせ、俺は息も絶え絶えになりながら、逃げ場のない快感に抗う術もなく背をくねらせる。 「……可愛い声を出すな。……我慢できなくなる」  耳元で響いた低い吐息に、心臓が跳ねるような熱さが全身を駆け巡っていく。 「が…、我慢…しなくて…いい……よ…俺も…しゅう…柊一さん…と、いっしょ…に…」  途切れ途切れに絞り出した声は、自分でも驚くほど濡れて震えていた。  柊一さんがもたらす痺れるような熱に浮かされ、胸の奥——理性の核を揺さぶられ続けて頭がどうにかなりそうだ。俺の必死の言葉をこぼさず拾い集めるように、柊一さんは口元を緩めると、さらに深く、情け容赦ない刺激を打ち込んできた。 「言ったな……七瀬」  耳朶を甘く噛んでから放たれた言葉には、もう一切の加減も躊躇も残っていなかった。重なる体温と、浴衣の隙間から滑り込んできた熱い掌が、俺の胴体を固く抱き寄せる。 「あっ……く、柊一……さっ……!」  背中を押し付けられた布団の感触も忘れるほど、容赦なく突き上げられる刺激に、視界が真っ白に弾けた。彼の指先が、肌の熱を直接確かめるように撫で上げていくたび、全身の力が抜け落ちていく。 「そんな目で見つめられたら、解いてやる余裕なんてなくなる」  掠れた低い声とともに重ねられた吻は、互いの息を奪い合うように深く、激しい。繋いだ手の指が限界まで強く握り締められ、熱い吐息と甘い痺れが波のように押し寄せる。  俺はただ、俺をどこまでも翻弄する柊一さんの腕の中にしがみつき、与えられる熱情の渦へと深く溺れていくことしかできない。  胸の先端を熟知した指先で執拗に嬲られ、そのたびにな術もなく甲高い甘い声が喉から零れ落ちる。俺の弱点を完全に把握している彼の前では、強がりなんて何の意味もなさない。 「んぁっ……あ、そこっ……あぁ……っ」  身悶える俺の反応を楽しむかのように攻め立てていた手が、ふと胸元を離れた。一瞬の隙に息を整えようとしたのも束の間、次の瞬間には彼の熱い掌が下肢の中心へとあてがわれていた。 「あっ……!し、柊一さ……んっ」  直接触れられた刺激に背中が跳ね上がり、先ほどよりも一層甘く、切ない声が部屋の中に響き渡った。  下肢の中心部がじわじわと熱を帯び、確かな硬さを持って張っていく。与えられる快楽の波に抗えず、俺は術もなく身体をくねらせながら、ひたすらその刺激に耐えることしかできない。  ふと眩暈を覚えるような感覚の中で薄目を開けると、すぐ間近で俺を見下ろす柊一さんの瞳が、肉食獣のように妖しく琥珀色に輝いていた。 「っ……あ……っ」  滲む涙で濡れた瞳で彼を見つめ返すと、その視線すらも甘い罠だったかのように、さらに深く彼に絡め取られていった。  下着の隙間から滑り込んできた彼の手が、直接そこへ触れ直す。容赦なく注がれる刺激に喉から甘い悲鳴が溢れ、俺はただ翻弄されるまま身悶えた。  二つの遅効性の熱源を息つく隙もなく攻め立てられ、もう耐えきれない。 「あっ……あぁっ……!しゅ、柊一さっ……!」  快感の波に耐えかねた腰が浮き、背が弓なりにしなる。頭の中を痺れさせるような熱の渦に、俺は歯止めを失って落ちていった。 「まだ、だ…七瀬…――」  柊一さんはそのまま俺の上へと覆いかぶさり、逃げ場を完全に塞いだ。胸の突起を湿った舌で執拗に嬲りながら、空いた方の手で下肢の中心部を優しく、かつ確実に弄り回す。  さらには、手慣れた手つきで下肢の奥へとそっと指を滑り込ませてきた。 「あっ……!ん、ぁ……っ!」  俺の身体の弱点も、感じやすい場所も、すべてを知り尽くした動き。容赦のない三つの刺激が同時に押し寄せ、脳裏が真っ白に弾ける。俺はただ彼の背中にしがみつき、与えられる熱い快楽の波にどこまでも呑み込まれていくしかなかった。 「……あっ……っ、しゅ……柊一……さ……もう、ダメ……っ」  容赦なく弱点を穿たれ、理性が甘い欲望に塗りつぶされていく。耐えきれなくなった俺は、溢れだしそうな熱を吐き出させてほしいと彼に(すが)った。しかし、彼は俺の懇願を静かに跳ね除ける。 「……まだだ、七瀬。もう少し、このまま耐えろ……」  低く掠れた声で囁きながら、彼は執拗に俺の体を翻弄し続ける。限界を迎えた下肢の先からは、たまらず先走りがトロりと溢れだした。 彼はそれを気にする素振りも見せず、容赦なく指の本数を増やして俺の奥深くに潜り込み、熱い内壁をかき乱していく。 「……あ、……んッ!だ、め……もう……っ、しゅ、しゅういち…さん……っ!」 「……一度、イクか、七瀬。お前、感度が良すぎるんだ……」 「……あ、あ……んッ!……あ、もう……だめ……い、……いっちゃう……っ」  体内を焦がす熱情の波に抗えない。ヌチュ、と卑猥な水音を立てて、彼の指が束になって俺の最奥を掻き乱す。抗いようのない快楽に、俺はベッドの上で弓なりに体をくねらせるしかなかった。 「も……もう……ダメ……っ!イク、いっちゃう……!」  俺は必死に彼の背中にしがみつき、導かれるまま自ら腰を突き出して、痺れるような絶頂に身を投げ出した。 「――はぁ……、っ……」

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