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【番外編】静寂の宿で、君という傑作を読み解く46

「シャ…、シャワー浴びたいな。汗かいちゃったし」 「…バスルームでって事だな」 「な、何の話?」  柊一さんは妖しい色香を込めながら、俺の腰あたりを触ってくる。 「とぼけなくていい。その気もないのに、わざわざ煽るような真似をするな」  耳元で囁く低い声が心地よく鼓膜を揺らす。腰に回された手にキュッと力が込められ、そのまま背中を柊一さんの胸元へと固く押し付けられた。 「あ……っ、煽ってない、ほんとに汗が……」 「なら、一緒に浴びればいいだろ」  言い訳を遮るようにサラリと言い放たれて、心臓が跳ね上がった。 「えっ……い、いっしょ!?」 「何驚いてるんだ。車の中で散々焦らしておいて、逃げられると思うなよ」  柊一さんの手指がゆっくりと服の裾から滑り込み、熱を帯びた肌にじかに触れてくる。その指先が触れるたび、ゾクゾクとした快感が背筋を駆け上がって、思わず膝から力が抜けそうになった。 「っ……ん……」 「声、漏れてるぞ」 「柊一さんが……変な触り方するから……っ」  顔を真っ赤にして抗議するけれど、振り返った視線の先にあった柊一さんの瞳は、見たこともないほど濃い欲望の色を宿していた。 「さっさとシャワー浴びて、さっぱりしてこい。それとも……俺に脱がされたいか?」  耳たぶを優しく甘噛みされ、俺の理性はあっけなく崩壊していった。 「しゅ、柊一さん…ダ…ダメ…お、俺――」 「感度よすぎだ、七瀬。お前の身体は熱持ちすぎる。シャワー一緒に浴びるか?」 「…あ…洗ってくれる?」 「ああ、丁寧なぐらいに洗ってやる」  俺はそのまま身体を柊一さんに預けた。  力を抜いた身体をそのまま預けると、柊一さんは愛おしそうに俺の身を力強く抱きしめ直した。 「ほら、足もつれさせるなよ」  低い声で耳元に囁かれながら、そのまま半ば抱きかかえられるようにして脱衣所へと連れていかれる。  カチリ、と浴室の灯りがつき、大きな鏡に二人の姿が映し出された。服越しでもわかる柊一さんの体温と、それに触れられて顔を真っ赤に染めている俺の姿。視線が鏡の中で交差すると、柊一さんは不敵に口角を上げた。 「服、脱がせてやる」  手慣れた手つきで、俺のシャツのボタンが上から順に外されていく。指先が胸元や腹筋の輪郭を掠めるたび、熱い電流が走ったみたいに身体が小さく跳ねた。 「っ……自分、で脱げるから……」 「大人しくしてろ。洗ってやるって言っただろ」  旅の疲れなんてどこかへ吹き飛んでしまうくらい、浴室から聞こえ始めたシャワーの水音が二人の鼓動を加速させていく。  濡れた瞳で柊一さんを見上げると、彼の指先が俺の衣服を完全に滑り落とし、その温かい手のひらがじかに肌へと滑り込んできた。  湯気で白く煙り始めるバスルームの中で、俺たちはどちらからともなく重なり合うように唇を重ねた。 「……ん、……っ」  湯気立つ浴室の中で重なり合う唇から、熱を孕んだ小さな吐息が漏れ出る。 そのキスを合図にするように、お互いの舌が深く絡み合い、貪るような密着に拍車がかかっていく。  激しく昂る胸の鼓動を感じながら、俺は上気した顔を少しだけ離し、微かに震える手で彼のシャツの胸元に指をかけた。 「しゅ、柊一さん……俺が脱がしてあげる」  熱っぽく揺れる瞳で見つめ返すと、柊一さんは低く甘い笑い声を漏らし、俺の手首を大きな手で優しく制した。 「俺のことはいい……七瀬、お前を洗ってやる」  制せられた手首から伝わる体温と、耳元を焦がすような濡れた声。  俺の返事を待つ間もなく、彼の指先が俺の肌を滑り落ち、湯気の中に溶けていくように二人の境目がなくなっていった。 「柊一……さん……」  懇願するように名を呼ぶと、彼はボディーソープを手に取り、手のひらの中でゆっくりときめ細やかな泡を立てた。白く滑らかな泡が、肌を滑る指先とともに俺の身体へとまんべんなく広げられていく。 「あ……そ、そこ……っ」  泡を絡めた指先が、下肢の中心――熱を帯びた性器へと伸びる。洗うという名目のもと、逃げ場を塞ぐようにそこをゆっくりと揉みしだかれ、全身に痺れるような甘い刺激が駆け巡った。 「あ……う、あ……」  耐えきれず、俺の口から甘やかな喘ぎ声が零れ落ちる。するとそれを掠め取るように、彼の唇が再び俺の唇を塞いできた。 「……ん、あ……、ん……」  重なり合う唇から漏れる互いの熱い息と、湯気に溶けていく濡れた水音。  彼の巧みな指使いと情熱的なキスに翻弄されながら、俺は抗うこともできず、ただその甘美な快楽の渦へと深く落ちていった。 「しゅ……しゅう……柊一さん……こ……これじゃ……洗え……っ」 「洗ってる。丁寧すぎるくらいにな」  低く愉しげな声とともに、彼の指先が再び下肢の中心へと甘い刺激を送り込む。俺の身体のすべてを熟知している彼にとって、快感に弱いポイントを的確に攻め立てることなど易いことだった。指先が掠めるたび、熱がダイレクトに昂りを揺さぶり、身体が痙攣するように小さく震える。 「……あ、んん……っ、あ……ん、……んっ」  抗う術などすべて奪われ、俺はただ翻弄されるまま膝をわななかせることしかできない。  上気した肌と濡れた瞳で見つめ返す俺を覗き込み、彼の手のひらがさらに密度を増して擦りつけられる。 「七瀬、可愛すぎる」  愛おしさと欲望が入り混じった息を耳元に吹きかけられ、俺の理性の残滓は甘やかな熱の中に溶けて消えていく。  柊一さんの指先が、濡れた下肢の秘所へと深く滑り込んでくる。突如押し寄せてきた異物感と熱に押し潰されそうになり、思わず瞳からポロリと涙が零れ落ちた。 「七瀬、中……気持ちいいだろ」  耳元に吹きかけられる低く甘い息。俺はそれに抗うように左右へ強く頭を振り、唇を固く噛み締めながら歯を食いしばる。 「嘘言うな。お前、感じすぎて先走り溢れ出てるぞ」  容赦なく弱点を指摘され、羞恥に胸を焼かれながら、俺は拒絶するようにまた何度も首を振った。 「そうか。七瀬が本当に嫌なら、指抜くけど?」  試すように中の動きを止め、浅く引き抜かれそうになる感覚。それに背筋がゾクリと跳ね上がり、俺は焦燥感に駆られて必死に言葉を繋いだ。 「……や、や…やだ……っ、ぬか……な、い……で……っ」  擦り切れるようなお願いを口にすると、柊一さんは満足そうに目を細め、一気に中の指の数を増やしてきた。突かれた密所から押し寄せる強烈な快楽の波に耐えきれず、俺はついに忍ばせていた声を昂らせて溢れ出させる。 「……あぁっ……ん、んっ、あ……っ、う、あ……っ!」  湯気の満ちる浴室の中に、二人の熱い吐息と、逃げ場を失った甘い喘ぎ声がどこまでも高く響き渡っていった。

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