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【番外編】静寂の宿で、君という傑作を読み解く48

「に、二回目……!?」  平然と言い放たれた衝撃的な言葉に、俺の頭は一瞬でパニックに陥った。明日どころか、今夜すら生き残れる気がしない。 「ちょっと待って、柊一さん!さすがにそれは体力が持たないって……っ」 「大丈夫だ。お前はただ俺に身を委ねていればいい」  抗議の声も虚しく、彼は俺の足元をさっと掬い上げ、あっけなくお姫様抱無しの格好で抱え上げた。急な浮遊感に驚いて、俺は思わず彼の太い首にぎゅっと腕をまわしてしまう。 「っ……離して、滑るから危ないよ!」 「離さない。……お前が落ちないように、しっかり掴んでおけ」  濡れた肌同士が吸い付くように密着し、逃げ場のない熱がダイレクトに伝わってくる。シャワーの止まった浴室に、ぺたりと素肌が擦れ合う甘い音が響いた。  そのままタイルの壁際へと追い詰められ、背中にひんやりとした壁の感触が伝わる。けれど、前に覆いかぶさる彼の体温があまりにも熱くて、冷たさなんて一瞬で吹き飛んでしまった。 「……七瀬」  低い声で名前を呼ばれ、持ち上げられたまま膝を彼の腰に絡めさせられる。 「ひ……っ、柊一さん、立ちながらなんて……無理、入らないよ……っ」 「無理じゃない。さっき指でしっかり解してやっただろう」  熱を帯びた先端が、俺の濡れた密所をじわじわと擦り上げていく。湯気で白く煙る空気の中、目の前に迫る柊一さんの瞳は、どこまでも深くて甘い欲望の色で満たされていた。 「一回目はここで、たっぷり俺を刻み込んでやる」  彼の腰がゆっくりと押し込まれた瞬間、俺の理線は完全に弾け飛んだ。 「ひぃあ…や…、や…、あ…あ、ん、あ…っ」 「きつそうだったら、座り込んでもいい」 「…あ、あ…や、や…、あ…ん、あ…」  俺は彼を感じ始めていた。 「声……止めなくていい。もっと俺の名前を呼べ」  濡れたタイルの壁に背をあずけ、持ち上げられた状態で彼を受け入れる体勢は、経験したことのないほど深い部分を穿たれていく。ゆっくりと、けれど容赦なく貫かれていく圧迫感に、呼吸の仕方さえ忘れてしまいそうだった。 「ひ、あ……っ!柊……一、さん……っ、深……すぎる……っ」 「深く入ってるのは、お前が逃げないように抱きしめてるからだ」  首筋に熱い吐息が吹きかけられ、濡れた髪をかき上げられながら何度も強いキスが落とされる。身体の奥を満たす激しい熱と、全身を包み込む彼の強い腕。恐怖なんて一瞬で消し去られ、俺の頭の中は柊一さんの存在だけで埋め尽くされていった。 「……っん、あ……っ、あ……う、あ……っ!」  腰を支える彼の手にぐっと力が入り、内側から弱点を正確に突き上げられる。そのたびに背筋を強い衝撃が駆け抜け、俺はたまらず彼の背中に爪を立ててしがみついた。 「いい顔してる……七瀬、最高に可愛いよ」  獰猛な笑みを浮かべた彼が、今度は容赦のない速度で腰を打ち付け始める。水音と激しい身体のぶつかり合う音が浴室いっぱいに反響し、湯気の向こうで二人の境界線が完全に溶けてなくなっていく。 「あ……っ、や、やだ……っ、柊一さんっ、もう……おかしくなっ……ちゃう……っ!」 「おかしくなれよ。俺のことしか考えられなくなるまで、何回でもいかせてやる」  耳元で打ち明けられる甘く恐ろしい宣告に、俺はただ抗うすべもなく、彼がもたらす熱狂の渦の中へと沈んでいく。 「……っあ、……しゅ……う……いち……さん……っ、もう、ダメ……い、い……いっちゃう……っ!」  熱で限界まで上気した顔を見つめられたまま、俺の意識は甘い快楽の渦の中へと溶け落ちていく。視界が真っ白に明滅し、思考がひとつ、またひとつと弾けて消えた。背中に触れる浴室の冷たいタイルだけが、燃えるように熱い身体にやけに心地よく伝わってくる。 「いけ……七瀬。お前は本当に感度がいいな」  耳元で響く低い声と同時に、内側を強く突き上げられる。俺は柊一さんのしなやかな背中に強く爪を立て、溢れ出るすべての欲を全身で受け止めた。 「あ……ぁっ……っ!!」  甲高くなった鳴き声を浴室内いっぱいに反響させながら、俺は抗うこともできず、二度目の高烈な絶頂へと引きずり込まれていった。 「あ……しゅう、いちさん……っ、まだ……いってない、から……っ」  熱を帯びた息を吐き出すたび、舌足らずな懇願がバスルームに溶けていく。 「お前ほど簡単に果てられねえんだよ」  耳元で低く囁く柊一の声音には、嗜虐的な愛おしさが滲んでいた。  内部を充たしたままの塊はまだ驚くほど熱く、硬い。一度火のついた身体は拒む術を知らず、無情にもその侵入をうっとりと迎え入れてしまう。 「あ、ん……っ、あ……う、あ……っ」  容赦なく奥を抉るストロークに、声にならない切ない甘声がこぼれ落ちた。  腹の奥に熱い火種を抱えたまま、俺は何度も絶頂の波に呑み込まれていた。  そしてついに、柊一さんの甘い快楽が頂点へと達する。 「……っ、七瀬……」 「しゅ……しゅう、いち……さんっ……!」 「……俺も……そろそろ……だっ」 「……い、一緒に……っ、いこ……っ」 「……ああ……一緒だ……!」  容赦なく速められる腰のストロークに、俺の理性は容易く吹き飛び、甲高い悲鳴のような喘ぎ声が響く。  もう、何も考えられない。ただ柊一さんの熱に引きずられるように、ふたりで同時に深い場所へと堕ちていく。  ぐちゅぐちゅと淫靡な音を立てて交わる身体。溢れ出す快楽の渦の中で、意識は真っ白に溶けて消えていった。 「は―――っ……」  俺は、深く長う息を吐き出した。  柊一さんはゆっくりと身体を離すと、温かいシャワーで俺の肌に残る残り香を丁寧に洗い清めてくれる。火照った身体には、その温水さえどこか心地よかった。 「ちゃんとできただろ」 「うん……ちょっと、心配だったけどね」 「七瀬、ホント感度いいし締め付けすぎ。……お前、マジで俺以外にそんな顔見せるなよ」  ポロポロと吐き出される独占欲の強い言葉に、顔がカッと熱くなる。 「……俺、柊一さん以外いないのに」  照れくさそうに呟くと、柊一さんは愛おしそうに目を細め、俺の濡れた髪をやさしく撫でてくれた。 「そろそろ釜めし食うか。七瀬腹減っただろ」 「うん!」  俺と柊一さんはバスルームを後にした。

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