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【番外編】静寂の宿で、君という傑作を読み解く52
彼から掛けられる一言一言が、どこまでも優しかった。与えられてばかりの自分がもどかしくて、俺は彼を見上げて必死に言葉を絞り出す。
「……俺が、柊一さんのを咥えて……舐めてあげるっ!そしたら、今度は柊一さんが……気持ちよくなれるよね……っ?」
「七瀬が俺をイかせてくれるのか? ……ほぉ、お前がそこまで言うなら、試させてもらおうか」
柊一さんはくすりと笑うと、性器に被せていたゴムを外し、ゆったりとした動作でベッドに横たわった。
「ほら、七瀬。……おいで」
「うん……っ!俺、頑張るから……っ!」
意を決して、彼の硬く大きな質量を口の中へと迎え入れる。いつもは与えられる立場だからこそ、彼の感度がいまひとつ掴めない。それでも必死に熱い肉茎へ舌を這わせ、貪るように舐め上げていく。
『たしか、ここも……』
柊一さんの手つきを思い出しながら、空いた手でゆっくりと睾丸を包み込み、転がすように指先を動かした。もう片方の手は昂ぶった竿の根元をしっかりと握り、熱を確かめるように揉みしだく。
拙いながらも、いま俺にできる全身全霊の奉仕。これで彼に快楽を与えられていると信じて、俺は夢中で口輪を動かした。
舌先に微かな苦みと粘りけのある味が広がった。柊一さんが滲ませた、愛おしい先走り汁だ。
――俺の拙い行為に、ちゃんと彼が反応してくれている。
その事実がたまらなく嬉しくて、胸の奥が甘く痺れた。俺は一層夢中になって舌先を這わせ、指先で熱い竿を揉みしだし、睾丸を愛おしむように転がす。普段、彼が俺を熱く狂わせる時のように執拗にその場所を攻め立てた。
ほんの少しでも彼に快楽を与えられているのなら、それだけで俺は胸がいっぱいだった。
「七瀬……ありがとう」
膨らんだ肉茎を咥え込んだまま視線を向けると、柊一さんが愛おしそうに俺の瞳を見つめ返していた。
「お前が頑張ってくれたおかげで、最高の気分だ。……ここからはお前をしっかりと抱いて、中で出させてもらうからな」
思わず喉を鳴らしてしまう。やっぱり最後は彼に抱かれる運命なのだと悟りながらも、心の中には甘い歓喜が広がっていく。彼に快楽を与えられたという事実が、何よりも誇らしかった。
柊一さんは俺をベッドへと軽く押し倒すと、そのまま逃がさないようにすっぽりと覆いかぶさってきた。
耳朶をなぞる温かい舌の感触と、胸の突起をしつこく嬲る指先。繰り返し与えられる熱い刺激に、身体がびくんと大きく跳ねる。
「しゅ……っ、しゅう、いち……さん……っ」
溢れ出る吐息とともに彼の名前を呼べば、途端に容赦のない快楽の波が押し寄せ、意識ごと飲み込まれていく。彼の舌や指が動くたび、体内の熱が激しくうねりを上げた。
舌先が耳元から首筋、そして敏感になった胸元へと滑り落ちていく。それと入れ替わるように、彼の指先がゆっくりと下肢へと滑り降りた。
ちゃぷ、と淫靡な音を立てて秘め事を抉る指に、俺は背を反らせて腰を揺らす。彼から与えられるすべてを、この身に深く刻み込みたいと願うように。
「う、あ……っ……あん、っ……ふ、ぁ……っ」
必死に追いつこうとする俺の動きを拾い上げた柊一さんは、どこか満足げに喉を鳴らすと、容赦なく俺を穿つ指の数を増やしていった。
「あ……ふ、ぁ……っ、あぁ……っ、しゅ……ういち……さん……っ」
「……ほんと、締まりがいい。指を入れたそばから必死にしがみついてくる」
下肢に触れる、ひやりとした滑らかな感触。彼が指先にローションを馴染ませたのだと悟るのと同時に、その指は抵抗を許さず体内の奥深くまで潜り込んできた。
容赦なく蠢き、愛撫する指先が、俺のなかの熱い欲をどこまでもかき乱していく。熱に侵された脳ではもう耐えきれず、俺は彼の身体の下で、惨めなほど甘い声を漏らすことしかできなかった。
「う、あ……っ!あ……ふぁ……っ、あぁ……っ、ふ……っ!」
「いい声で鳴くな。可愛いよ、七瀬」
彼は俺の中に彼のモノを押し込み、身体を揺らす。彼が動く度に俺に極上の欲が沸いてくる。俺は彼の意のままに煽られる。欲に敏感になった身体は彼の欲を感じ取り、悶える。
彼は再び俺の身体に覆いかぶさり、俺の身体を腕の中に押し込め、熱いキスを唇に落とす。
「…ん…ふぁ…う…ん…あぁ…ん…」
口から洩れる吐息に混ざった喘ぎ声が、彼を狂わせたのか、俺を抱く腕の力が強くなる。口を彼に塞がれ、身体はまた震える。
唇を塞がれたまま、彼に抱きすくめられる腕の力が増していく。押し潰されそうなほどの強さに、柊一さんの熱狂と執着が直に伝わってきて胸が苦しい。
「ん……っ、む……ふ、ぁ……っ」
息もできないほど濃厚なキスと、同時に体内で跳ねるような強い突き上げ。二重の熱に頭がどうにかなりそうで、俺は彼の背中に爪を立て、必死にしがみついた。
「……七瀬、もっと見せろ……お前の全部、俺で満たす」
唇が離れた途端、溢れ出たのは熱い吐息と壊れたような自分の喘ぎ声だった。
視界が快楽の涙で滲むなか、柊一さんの瞳には、狂おしいほどの愛しさと欲望が渦巻いている。
彼の腰が打たれるたび、甘い痺れが身体の芯から爪先まで駆け抜ける。俺はもう、彼から与えられる熱の波に身を任せることしかできなかった——。
「あ、ぁ……っ! っぁ……しゅ……しゅう、いち……さんっ!」
「……っ、七瀬……っ!」
俺をすっぽりと抱きすくめたまま、激しさを増していく突き上げ。容赦なく打ち込まれるたび、体内の奥深くに潜んでいた熱い火種が爆発するように燃え広がっていく。彼の名前を呼ぶ 唇からはもう意味のある言葉にならず、快楽に焼き尽くされた頭の中は白くまっさらに染まっていった。
「あ、……あぁっ……うぁ……あぁ……っ、ぁッ!い、く……っ、いく、から……――ッ!」
「……七瀬、一緒だ……っ」
痺れるような絶頂の波が一気に押し寄せ、全身の力が抜け落ちる。頭上から降ってきた彼の低い声とともに、俺たちは甘い快楽の頂点へと一緒に解き放たれた——。
「柊一さんとやっと一緒になれた。あっ、柊一さんゴメン…身体汚しちゃった…」
俺は白濁したものの後始末をしている柊一さんに声を掛ける。
「気にするな。いつもの事だろう」
「またゴム二つ使っちゃったの…。ごめん…」
「謝るな。お前の中で出すにはこれをつけないとな」
「男同士だから、妊娠しないと思うけど…」
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