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第2話

 ここは獣人国バルナド。奴隷文化は廃止されたはずなのに、こうして摘発してもまた、奴隷商が生まれる。大元の情報は掴んでいるが証拠が無いため叩けずにいる。騎士団が潜入調査をして捕まえていくしかない。金髪、空色の瞳の猫族。奴隷商人潰しの異名を持つ魔法剣士エルンスト率いる騎士団が派遣されていた。 「エルンスト隊長。少しおかしな点が」 「どうした。ヴォルク」  ヴォルク・アッシュハイムはエルンストの右腕。鋭い瞳と灰色の髪。青とオレンジのオッドアイ。狼族の大剣士。騎士団の副団長である。 「奴隷の数が少ない。把握しているよりもずっと」 「そうか。理由は転がっているゴミに聞けばいいだけだ」 「そうだな。ところで何を抱いて……たぬき……か?」 「かなり殴られた後がある。裂傷が酷い。掻き出して、怪我は魔法で治療した。心の傷は簡単には癒えない」  抱き締めた、たぬきの頭を撫でながらエルンストは牢屋から出ると、転がっている奴隷商人のリーダーの頭を踏み付けた。 「ゴミが。どうしてこんなに、奴隷の数が少ないんだ」 「くそ、そのたぬきのせいだ。どうして分かったのか知らねぇが、偵察にきていたギルド連中に奴隷をこっそり引き渡してやがった。そのせいで、売り上げが落ちた。腹いせにおもいっきり、変わる変わる殴り付けて犯してや、ぐは」 「聞く価値もないな。この子は表彰者だよ。よく1人で頑張った」 「ああ。早くここを出て医者に診せましょう。おれが連れて行きます」  ヴォルクが引き取ろうとしたが、エルンストが渡さなかった。たぬきを抱いたまま王家に報告に行き、医者に診せ、寮へと戻った。

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