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第4話
「騎士団のお偉いさん方が、商人ギルドになんの用だ」
商業ギルド。ギルドマスター、ハリネズミ族。ねずみ族よりは多少大きいが小さい見た目は5歳ぐらいの子供に見える。見た目に騙されては痛い目を見る。れっきとした成人男性で30を超えているらしい。商業ギルドは体の小さな獣人達が主に活動をしている。税金をふんだくる騎士団を目の敵にしている。
「わたしたちは、お話しにきただけですよ。最初から喧嘩ごしに話しかけられるなんて。初対面。ですよね。まずは、きちんと自己紹介しましょう。良いですよね」
「笑顔という名の穏やかな圧力。さすがルカ先輩」
「なにか。言いましたか?シアン。今度妙な事を言いましたら、あなたの恥ずかしい話を暴露しますよ。今この場で」
「オレの冗談。知らないでしょ」
「ほおう。では良いんですね」
止めたのは空気と化していたギルドマスターだった。修羅場を潜り抜けてきたギルドマスターは、笑顔はまずいと思ったのだろう。
「やめておけ、あんちゃん。修羅場を潜り抜けたおれが断言する。逆らわんほうがいい。こっちも悪かったな。昨日、騎士団の取り立てがあって、態度があまりにも横暴だったもんで、こっちも気が立っておった」
「その話。詳しく聞きたいですね。わたしはエルンスト団長の騎士団所属ルカ。こっちが」
「ルカの部下。シアン」
「おれはハリスってもんだ。ルカさんとシアンさん。何の用できたんだ」
「変な事を言います。たぬきから奴隷を紹介されましたか?」
「まさか。ルカさんの言うたぬきは、小さい黒たぬきのことか」
「ええ。おそらく」
「やっと助けてもらえたんか。良かったな。今度連れて来てくれ、あいつの依頼は手数料無しで受けるとな」
「待って待って、事実なわけ。ハリス」
「シアンさんが、信じられねぇのも分かるぜ。実はうちのギルドのもんがヘマやらかして、奴隷商人に捕まった。助けるには買うしかなかった。金額が金額だったもんで、取引のために奴隷を閉じ込める牢屋がある場所に誓約書を書かされて行った。そこでたぬきに話しかけられてな。自分を買うように言うのかと思ったら、思いもかけない提案をされてな」
ギルドマスターハリスが言うには、商人ギルドのギルドマスターに、あと10人買ってくださいって言われたそうだ。うさぎ、ねずみ、ハリネズミ、ねこ。小動物の獣人。ギルドの役に立つから。
「買ったの。ただのたぬきの言葉を信じて」
「シアンさんの言うことも分かる。不思議だ。彼の声。言葉に。買わないとって思っちまった。買った全員が商売の才があって、すごく助かっている。買ったやつらもたぬきに言われて牢屋が開いたすきに、このまとまりで牢屋に入るよう指示をされた。言っていたよ」
「いやいや。ありえないだろ。ねぇルカ」
「ありえない話ですね。逃げろとは言わなかったのも、不思議です」
「ルカさん。たぬきが逃げろ。言わなかったのは逃げても見つかれば殺され、罰を受ける。辱められる。大丈夫。俺が助けるから我慢して。おれと同じさ。言葉を信じられる。思っちまったそうだ」
「もう1つ。たぬきは言わなかったのですか?自分を助けてくださいと」
「言わなかったな。おれが買うって言ったら。実はギルドだけではなく、調査しに来ていた騎士の方にも奴隷を逃している。バレるのも時間の問題。誰か責任取らないと。いつだって俺が優先されることも、されたこともない。大丈夫。慣れてるから我慢することにだとよ。おれは無理だね。さっさと自分が逃げるよ」
ルカもシアンも何も言うことが出来ず沈黙した。
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