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第5話

 騎士団寮に戻って来たエルンストとヴォルクは、大きなたらいに火の魔石を数個入れてお湯を湧かしていた。 「このぐらいか。ヴォルク」 「良さそうだ。団長」  たぬきを医者に診せた時、まず言われたのが風呂に入れて、体の汚れを落としてから、伸び切った毛と爪を切ってあげる。暖かい布団で寝かせて目覚めるのを待ち、食べ物はお粥から食べさせるように。2人は言われたのだ。エルンストがそっとお湯にたぬきを入れた。身体をびくつかせはしたけれど起きなかった。 「ミロに石けん作らせて良かった」  ミロは騎士団最年少の16歳。茶髪、茶色いリス族の兵器の発明が得意な後方支援の発明家。最近エルンストの名で、錬金術も学び始め、石けん作りに成功した。2人がかりで石けんを使い身体の汚れを落として、濡れた身体を丁寧に拭いて暖炉の前に籠を置き、柔らかい毛布を敷いた。毛と爪を意識がないのに勝手に切る勇気は2人にはなかった。柔らかい毛布の上に寝かせた。春先の暖かい時期に暖炉は使わないが、無理を言って薪を魔塔から持って来て火をつけた。 「薬草が育てば、回復は早かったはずです。獣人国は深刻な薬草不足、食料不足。たぬきに効く薬草も、市場になかった。不甲斐ない」 「団長のせいではない。生命力を信じる他ないだろ」  未だ意識の戻らないたぬきの頭を、そうだなと言いながらエルンストが優しく撫でる。団長の様子がいつもと違うことにヴォルクも気付いていたが、気の利いたことが言えるような性格でもないので黙っているしか出来なかった。

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