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第11話

 エルンストさんは、黙ってハルの話を聞いてくれた。ハルが話し終わったタイミングで言葉をかけてくれた。 「君はどうしたい。君の選択を私は応援したい」  どうしたいか。俺に選択肢がある未来。考えたこともなかった。やりたいことしたいこと。それすら望んではいけなかった。望んだらいけなかった。今更。どう答えるのが正解。正解なんてきっとない。 「分からない。だけど、今度は自分の為に生きてみたい。やりたい事を見つけて。楽しいなって思える事を見つけたい。小さな事じゃ駄目かな」 「いいよ。小さい大きいは関係ない。君は毛布の中から出て、一歩踏み出した。自分の為に生きて、楽しい事を見つける。しばらくここで暮らしたらいい。自立の手助けは私でも出来る」 「いや、でも。それは迷惑でしょ。汚れた俺が一緒にいるわけには」 「それだけは二度と言わないこと。君は汚れてなんていない。可愛くて綺麗だ。君がいた奴隷商人に捕まっていた子達にとって君はヒーローなんだから」  ヒーロー。俺があそこで何かをした記憶はない。分け与えてあげたわけではないし、助けてあげたわけでもない。助けたのはエルンストさん達で俺は牢屋の中で縮こまっていただけ。 「ヒーロー?助けたのはエルンストさん達だよ」 「君が奴隷をギルド関係者に紹介したことだ」  ハルにとっては別に紹介した訳ではなかった。この人は駄目だとか分かってしまうから、分かっていて買われて酷い目にあったら、気分が悪いから教えてあげたに過ぎなかった。

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