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第12話
ハルはもしかして、エルンストに疑われているのではないかと思った。何かの組織と繋がっていて密偵とか、偵察みたいな。思われても仕方ないとは思う。一緒に捕まっていた人を見に来た買い手に斡旋した。奴隷商人と同じ。怪しい。この上なく怪しい。俺がやるのはまず説明することだった。
「エルンストさん。俺は今この上なく怪しい立場だよね。良く考えたら。えっと、あの信じてくれるかな」
「君には正直に話そう。確かに君を疑っている部分はある。話してくれるなら、検討する余地はある。話してくれ」
トントン。扉をノックする音が聞こえた。
扉の近くに座っていたハルは、椅子から立ち上がり、暖炉の方まで逃げ出した。耳だけは扉の方に向けていた。
「入れ」
「お話し中の所、すまない。団長」
「ヴォルク。何があった」
「ベアリスが出た。今から討伐に向かう。報告義務がある。失礼する」
ヴォルクさん。目が泳いでた。声に少しほんの少し、震えがあった。緊張と不安。1人で行かせるべきではない。ベアリスに緊張しているわけじゃない。報告義務の所に緊張があった。
「エルンスト」
さん付けするよりも言葉に重みが出る。今俺が動揺してはいけない。
「ハル?」
「追いかけて。俺の願いだ。今追いかけないと駄目」
「ヴォルクは」
「信頼していいとは思う。今は行って欲しい。お願い。エルンスト」
「分かった。ここで待っていてくれ」
「待っているよ。ここ以外。居る場所はないから」
居る場所。エルンストは部屋を出て、ヴォルクを追いかける。帰る場所を作ってあげたいと思いながら。
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