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第18話

 目を覚ましたハルは、エルンストの匂いがする毛布に安心した。疲れて寝てしまったみたいだ。たぬきになってからここ休まる時間がなくて、直ぐに寝てしまう。ヴォルクさんに酷いことをしてしまった。怖いわけじゃない。怖くないし優しい。こんなに優しくしてもらっているのに、遠慮して結果的に迷惑をかけている。どうにかして恩返し。まずは、まともに話せるようにならないと。毛布から出て、ベットの上にちょこんと座る。毛が落ちていないかをきょろきょろ確認して。 「ふっ」 「えっ」  気配も扉が開く音も分からなかった。エルンストさんが、ハルの様子を見て笑っている。 「あっ、えっと。これは。毛が落ちていたら、悪いから」 「気にしなくていいのに」 「きに、気になる。気になります」 「まずは、私を知ってもらおうか。座ってもいいか?」 「僕のベッドじゃない、ないので。はい。どうぞ」  怖くない。エルンストさんは怖いより焦る。緊張する。ゆったりとした足取りでベッドに腰掛けたエルンストさんの腰の辺りからいい匂いがする。 「ハル。持ち上げてもいい?」  持ち上げる? どんな風に? 俵担ぎで何処かに連れて行かれる?赤ちゃんを高い高いするみたいに上に持ち上げられる。ない、ないな。ありえない。最近、最近じゃないか。昔か。昔。出演させてもらった恋愛ドラマみたいにお姫様だっ、いや。僕は何を言っている。考えるな。流れに任せよう。 「望むところです」 「なんだ。戦いにでも行くような言い方だな」  お腹をもたれて持ち上げられ、そのままエルンストさんの膝の上に座らされた。背筋を伸ばして頑張ろうとしたが、結局背中がくっついてしまう。かっこいい人を座椅子がわりにするなんて、ハルにとっては恐れ多い。 「ごめ、ごめんなさい」 「謝らなくていい。背中は私の胸につけなさい。あまり座り心地は良くないとは思うけど。ヴォルクからだ」  腰につけていたバッグから、水筒のような筒を取り出した。蓋を取り中身を注ぐ。もしかしてさっきの。 「スープ?」 「そうだよ。飲みながら聞いてほしい。私たちも君と境遇は違うけど、奴隷商人の商品だった。私たちは、違法な奴隷商人を潰す騎士団だ。私は魔塔出身でこの部屋は仮部屋。拠点は魔塔にある。私は猫族だから、日向ぼっこが好きだよ。熱いものは冷めていないと食べられない。甘いものには目がない。虫は苦手なんだ。団員も知らないから秘密にしてくれ。2人だけの秘密だ」  エルンストさんも、なんだか普通の人と変わらないな。緊張していた自分がなんだが酷く恥ずかしくなった。

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