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第19話
ハルはエルンストさんの優しい話と、優しい味のスープで、今まで出なかった涙がぽろぽろ流れ落ちていった。
「ごめ、ごめんなさい」
「泣くことは良いことだよ。いっぱい泣きなさい。大丈夫。顔は見ないから。思う存分泣きなさい」
「どう、して。そんなに優しいの。エルンストさん」
「可愛いから?」
「疑問形。少し。見て見ぬふりしてください」
おもいっきり泣いた。泣くと頭が痛くなるから、極力泣かないようにしていたのに。涙が止まらない。これまでの色々が頭を駆け巡っていく。本当は寂しかった。最初は僕と同じように捕まったり、売られたりしてきた獣人がたくさんいて。みんなおそらく大事にしてくれそうな人に紹介して。どんどんいなくなって。僕は1人ストレスの捌け口にされて。エルンストさんの右手がハルの頭を優しく撫でてくれた。あったかいな。
「僕。いつも。1人で。声で。仕草で相手がどんな人か分かってしまうから。気味悪がられて。こんな風に優しくされたことなくて。どうしたらいいか分からなくて。分からないがいっぱいになって、謝るしか出来なくて。本当は、本当は。料理得意ですって言いたかっただけなんだよぉ。自殺したらとか、心配してくれてるの。分かって。僕が死んでも悲しんでくれる人なんて」
「いるよ。私は悲しいよ。君が死んだら」
「ありがとうは違うか。でも、ありがとう。エルンストさん」
ハルの涙もいつの間にか止まっていた。
「まずはヴォルク、ルカ、シアンと会って欲しい。無理にとは言わない。どうかな」
「会うよ。このままでもいいかな」
「そうだな。騎士団仲間ならいいよ」
他は駄目。どうしてだろう。何かあるのかな。ハルはこの世界の常識も学ばないといけないなと思った。
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