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第24話

エルンストさんが外に出たついでに、訓練場に案内しようと言ってくれたので、まだ腰が抜けてまともに歩けないハルは、たぬき姿で彼に抱っこされていた。上着は破れてもう着られなくなってしまったけれど、気にするなとヴォルクさんは言ってくれた。 「……なぁ」 「なんですか? ヴォルクさん」 「また、お前らって。何か知ってたのか」  ハルがサイ族の行いなんて知るわけがない。奴隷商人に囚われて地下牢にいたのだ。 「ツノ。先手必勝で攻撃されたら、ただの怪我じゃすまないかなって。それだけ。過剰防衛とかで問題になるみたいな」  ハルはただ推測しただけだ。殺しかけたりもしたかもしれない。またお前らと言っておけば、突っ込まれて聞かれることもないし、最悪の事態にはならない。セリフとして考えた結果である。 「よく見てるよ」 「エルンストさんには負ける。どうして怒らなかったの」 「怒っても無用な争いを生むだけだ。それならはいはいと受け流した方がいい。私が悪く言われるのは構わない。仲間のことでなければ」  ハルはエルンストの団長としての片鱗を見た気がした。  やって来た訓練場はかなり広く、剣の稽古をしている者たちがいた。ハルをエルンストは地面に下ろした。  ヴォルクはその様子を眺めながら、小さく呟く。 「……平和なら、それでいい」 「平和1番だけど、厄介な依頼がきている」 「……なんだ」 「王子様から。西の領地で密猟が起きている。調査を頼みたいそうだ。密猟に奴隷が使われている」 「……誰を行かせるつもりだ」 「まだ考え中だよ」 「エルンストさん。ヴォルクさん。僕も剣。出来るようになるかな」 「やってみるかい」 「……団長。体力作りが先だ。走るぞ。運動用の服を買おう」 「それなら」  エルンストさんがなんだか、悪巧みのような笑顔を浮かべているのが、ハルは少し恐ろしかった。

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