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第25話
訓練場を見学した後、エルンストさんの仮眠室に向かった。入ってすぐに2人用ベッドが目に入る。左側には本棚。棚が設置されていて観葉植物が置かれている。右側に机と椅子。シンプルで落ち着いた、エルンストさんらしい部屋。エルンストさんにここを使っていいと言われて、明日のことを話しましょうということで、ベッドに2人で座った。
「えっと、これは」
手渡された履歴書には、姿を見た赤髪の狐族の青年と灰色の髪のうさぎ族の青年のプロフィールが書かれていた。
「明日、シアンとルカと服を買いに行ってきなさい。お金は私が出すよ」
エルンストは、いや。彼は団長だ。忙しいだろう。でも、どうしてかな。寂しいと思ってしまう。困らせたら駄目だ。ハルは胸の奥に気持ちをそっとしまいこんだ。子どもじゃないのだから、独り立ちするためにも他の人とも仲良くなれるように頑張らないと。
「分かった」
「それから、朝はこれを着るように。ミロに借りたけど、少し大きいかもしれないな」
「お願いしてもいいですか?エルンストさん」
「なんだい」
でもやっぱり怖さと寂しさが勝ってハルは、子どもみたいなお願いをしてしまった。
「今日は一緒に寝てくれませんか」
「あー、えっと。うん。いいよ。寝ようか」
「寝る時は人型で寝るから、パジャマ。貸してもらえますか?」
「そうな。パジャマは借りてこなかったから、私のでいいかな」
エルンストに借りたシャツとズボン。シャツだけで下まで届いて、袖もだぼだぼだった。
「やばいな、可愛い」
と呟きながら天を仰ぐエルンストさん。やばいしかハルには聞こえなかったけど、確かにこの格好はみっともなくてやばい。だけどハルにとってはすごく安心した。彼の匂いに包まれていたから。歯を磨いてから、2人でベッドにはいる。
「エルンストさん」
「なんですか?」
頭ひとつ分身長の大きいエルンストさんをハルは見上げる。
「いつか、エルンストさんみたいに、僕も誰かを助けられるようになるかな」
「なれますよ。努力次第で」
ハルを抱きしめて、背中をエルンストが優しくたたく。ハルの安らかな寝息が聞こえてきた。体はまだ少し震えている。
「安心され過ぎるのもなぁ。困ります」
複雑そうな顔をしながらも、縋り付いてくる小さな体をエルンストは拒めなかった。
「眠れないより、眠れるほうがいい。おやすみハル」
エルンストは、ハルを抱きしめたまま天井を見つめていた。
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