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第9話 初夜、ベッドで待っているのに料理出てくるんだが 〜魔鳥の丸焼き〜
蓮は満足だった。
未だに欲求不満ではあるが、今まで抱いてきた女たちには感じたことのない達成感を得ている。
“俺の蓮だ”
この言葉を思い出すだけで、上がる口角を下げられない。フンフンと鼻歌まじりにワイングラスを拭いていれば、チェシュが目を細めて見てきた。
「気持ち悪いにゃん」
「あ?」
「手に入れて満足とか、そんなんだから追放されるのにゃん」
「なっ、バルドのことはそれなりに思ってるよ」
「そうかにゃ~ん?モテる男は勝手だからにゃん。簡単にポイってするんだにゃん」
「……ぅ……」
チェシュに言われて、蓮は過去の女を振り返った。簡単にポイをしてきた奴らばかりだ。
(いや、あれは、あっちが悪い。一回抱いてやっただけで彼女面してくるから面倒だったんだ)
「僕なら、蓮くんを簡単に捨てたりしないよ」
「「っ!?」」
まだ開店前だったはずなのに、急に会話に入ってきた薫が、いつの間にかカウンターに座っていた。蓮とチェシュは飛び退くが、志岐は普通に水を出している。
「い、いつオープンした?」
「まだのはずだにゃん」
「お店の前を掃除していたら入れてくれって来てたので、すぐ帰るそうですよ」
シレッとそう言って、志岐は掃除に戻っていく。
「困りますよ、薫さん」
「いや、僕も時間が無いんだよ。もうすぐうちの店も開店時間だからね」
「それなら、帰った方がいいですよ」
「大丈夫、うちには僕の他にもシェフがいるからね」
蓮が完璧な営業スマイルで対応しているところに、バルドが厨房から出てきて、驚いたように声をかけてきた。
「あれ、薫さん。どうしました?」
「あぁ、バルドさん。ちょっと蓮くんの様子を見に来たんだよ。相変わらず綺麗な顔をしているから……」
蓮に向けて目を細める薫に、バルドはデカイ体を大きく見せるように上から見下ろしてニコニコと笑う。
「ヘッドハンティングはやめてくださいって言いましたよね」
「違うよ、店を変える必要はない。プライベートを僕に変えてもらえればそれで良い」
「蓮のプライベートは俺のものなんで」
(やめろ、俺で争うなよ……)
三人のやり取りを見ながら、チェシュは、そこに爆弾を投下した。
「でも、この二人まだエッチできてないにゃん」
「…………………………」
「…………………………」
蓮は無言でチェシュの頭を叩く。
「ぃてっ、暴力反対にゃん!女の子に手を上げるにゃんて」
「お前が余計なこと言うからだ」
「あははっ、それは、僕に蓮くんの純情を奪ってもらいたいってことかな」
薫は余裕の笑みを浮かべて、蓮の身体を舐めるように見る。薫の言葉に、蓮は変な先入観を持つなと、訂正した。
「純情なのはバルドだけですよ」
ーベシッー
「いって!!」
バルドが蓮の頭を叩いたのだ。蓮は痛む場所を手で押さえてバルドを睨む。
「お前は叩いたらダメだろ!この前は死ぬかと思ったんだぞ!」
「あれは悪かった。でも、今は加減した」
童貞であることをバラされたのは恥ずかしかったのだろう。
地味に広がる痛みに、蓮は顔を顰めながら頭を撫でる。
「……悪い……大丈夫か……」
力加減はしたが、痛がる蓮にバルドは手を伸ばそうとしたが、それを遮って薫がカウンターから手を伸ばしてきた。
「大丈夫かい?蓮くん、見せて。少し冷やしたほうが良いかもね……」
蓮の頭を撫でながら、薫は自然に顔を近付けていく。
「蓮くん、痛みが消える魔法をかけてあげるよ」
「薫さんは人間でしょう。魔法なんて……」
蓮は薫から距離を取ろうと体を引くが、腕を捕まれ、引き寄せられてしまう。
「まぁまぁ、痛いの痛いの飛んでけ~……チュッ」
薫は微かに触れるくらいのキスを、わざとらしく音を立てて蓮の頬に施した。
ザワっとバルドの空気が変わったのが、その場の全員にわかった。
立髪が逆立って、尻尾は穴を開けそうなほど壁に打ち付けられている。
チェシュは入り口の掃除をしている志岐のところへ、そっと避難をしていた。
「ふふっ、蓮くんのほっぺは柔らかいね。舐めたくなるのわかるなぁ」
「やめてください。薫さん。離してください」
「僕なら、優しく抱いてあげるからね。いつでもおいで」
蓮の鳥肌が立つ瞬間に、薫は離れてニコニコと帰っていった。
店内に、気まずい空気が流れる。
時計の秒針がカチカチと鳴り、蓮は袖口で自分の頬を擦った。
「とりあえず氷だ。頭冷やしてくれ。叩いて悪かった」
バルドは怒っているかと思ったら、氷を袋に入れて、蓮の頭に乗せてくれた。
「あ、あぁ。俺も、童貞バラして悪かったよ」
「…………童貞、卒業すれば良いだけだ。蓮、今日は泊まっていけ」
サラリと言われた言葉に驚き、蓮はバルドを見る。
「…………俺が、蓮を気持ちよくする」
それだけ呟くと、バルドは厨房へ行ってしまった。
蓮は上がる口角を抑えきれずに、頭の氷を溶かしていった。
閉店後、蓮はバックヤードから続く階段を上がって、バルドの部屋のベッドにいた。
バルドの部屋は色々な家具が一回りほど大きく、体に合わせた特注品なのだろうと予想できた。
大きなベッドに腰掛けて、多少緊張する。
しかし、ベッド脇のチェストに乗っているランタンの灯りの揺らめきには期待が高まった。
(ようやくだ)
ーコンコンコンー
丁寧に三回ノックをされ、蓮は自分の部屋だろと笑った。
「入れよ」
「あ、あぁ」
どんな顔をして入ってくるのかと、バルドの様子を伺っていると、両手で大きな銀トレーを持って入ってきた。
その上には豪華な魔鳥の丸焼きが乗っている。
香ばしく良い香りが部屋に充満した。
しかし、蓮の理解は追いつかない。
「は?」
「あ、腹減ってないか?」
「減ってるけど……」
バルドサイズの丸机に魔鳥は置かれ、取り出したナイフで、バルドは魔鳥を捌き始める。
(きっと、これも文化の違いだ。丸焼きって、こんなムードの欠片もない演出、素でやるわけがない。まずは体力をつけろとかそんな文化だろう)
蓮は期待に膨らんださっきの気持ちをどうにか押し込め、バルドに合わせようとする。
「ほら、熱いうちに食え」
「あぁ……」
小皿に切り分けられた魔鳥を受け取って、一口食べる。
「うま……香草を使ってるのか?柔らかいし、ジューシーだ」
「蓮の舌は敏感だな。人間なのにすぐにわかるな」
「まぁ、鍛えたからな。ソムリエの勉強だ」
「すごいな。大変だっただろ」
「バルドの火魔法だって、休みの日も練習してるなんて知らなかった」
「練習は、癖みたいなもんだ。やらないとなんか落ち着かない」
「ふ~ん、まぁ、なんとなくわかるなそれ」
「蓮も何か習慣にしてることあるのか?」
「ん?ん~、テイスティングとかは必ずやってるか」
魔鳥を食べながら、何気ない話をして、バルドはベッドに腰を落ち着かせていた。
「…………いや、バルド!!」
蓮は、話が別方向に盛り上がる雰囲気に声を上げた。
「どうした」
バルドは、何があったかとキョトンとしている。
「お前は、この部屋に俺を泊まらせて何をするつもりだったんだ!?よく思い出せ!こんなにまったりしてたら、あっという間に朝だぞ!?いいのか!」
蓮の勢いに、バルドは皿を置きシュンと肩を落とした。言い過ぎたかと蓮は思ったが、蓮だって期待しているのだ。早く進めて欲しい。
「バルド、いいから来いよ」
ベッドに腰掛けたまま、蓮が両手を広げれば、ゆっくりとバルドが抱きしめてきた。
ズンとバルドの体重を感じて、ゆっくりゆっくりと、ベッドに沈んでいく。
「あ、蓮……あぁ、いい匂い……蓮……蓮……」
「わかった、わかった。まず脱がせろ」
ふぅふぅと息を切らしながら、バルドは蓮のベストのボタンに手をかける。
しかし、一向に脱がされない。
見れば興奮しすぎて舞い上がっているバルドの目はグルグルと回っていた。
「おい、落ち着け童貞……」
「童貞……今日、卒業する……蓮……蓮の……童貞……」
「おい、バグんな。童貞はお前だ。もう良い、自分で脱ぐ」
蓮はバルドの頭をポンポンと撫でながら、さっさとパンツ一枚まで脱いだ。
「ほら、いつもみたいに触れよ」
「いつも?今日が初めてだぞ……」
「は?いつも舐めて触ってたろ」
「いつものは毛繕いだ……せ……せせせ、セックスは、初めてだ……」
蓮の腹の上に手を置いたまま、小刻みに震えるバルドに、蓮はとうとう怒りが爆発した。
「お前なっ!今日泊まって行けってキメた癖に、いざってなるとなんでそんなに緊張すんだよ!」
ガバリと体を起こして、ベッドに立ち上がり、緊張し震えているライオンを見下ろして説教をする。
(童貞だから優しくリードしてやろうと思ったのに、魔鳥の丸焼きは出てくるは、ボタンも外せない、挙句いつものは毛繕いだと!?)
蓮は拳を握って、バルドを睨む。
「俺は、いつもの毛繕いで興奮して毎回期待してんだよ!抱くって決めたくせにヒヨってんな!」
「ご、ごめん……悪かった……」
どんどんと小さくなっていくバルドに、蓮は一つ大きくため息をついた。
「もう良い。俺がやる」
「え?」
「まず脱げ!」
「あっ」
服を脱がせば、サッと腕で身体を隠すバルドの肩を思いっきり叩く。
しかし、叩いた蓮の方がダメージが大きかったようだ。
ジンジンとする手のひらでバルドの胸に触れる。
逞しすぎる硬い筋肉に指を滑らせて、バルドの快感を探す。
「んっ……フハハっくすぐったいな……」
「おい……思っても言わないんだよ、それは。笑い方も変えろムードがねぇ」
低く怒気を孕む蓮の声にバルドは、素直に謝った。
「はぁ、下も脱げ」
バルドが羞恥に顔を染めると、蓮はキッと目を細める。その視線にピシッと姿勢を正したバルドは、一気に全部脱ぎ捨て、蓮から眼を逸らす。
(デカっ…………)
勢いよく脱いだバルドの下半身には、ブランと存在を主張するバルド自身が鎮座していた。
蓮は、その大きさに目を見張ったが、バルドにヒヨるなと言った手前、思ったことを表情に出さないように気をつけた。
しかし、問題はバルド自身の元気がないことだ。
「なんで勃ってねぇんだ」
「いや、だって、怖い……蓮怒ってるだろ」
「獣人のお前に怖いとか言われたくない。勃たせろ」
ギュッとバルド自身を握り、蓮は上下に擦り始める。
「あっ……蓮っ……」
「うるせぇ、勃たなきゃ始まんないだろ」
抵抗しようとするバルドの手が届く前に、蓮はバルド自身を咥え込んだ。ジュルジュルと吸い上げ、咥えきれない部分は擦ってやる。
「あ、汚い……んあぁっ……」
「正直な身体だ。上出来……」
しっかり勃ち上がったバルドを見て、蓮は舌なめずりをする。
多少潤んだ目でバルドに見つめられ、征服欲のようなものが満たされる感覚があった。
「次はバルドの番だ」
「え……いや、蓮の……引きちぎったら……」
「………………それは……嫌だな……」
蓮は思わず自分の中心を触って、勃ち上がりかけたそれを守るように隠した。
「あぁ、もう、触るのが無理なら後ろいじってくれよ……」
挿入の準備をしてくれと、蓮はベッドに四つ這いになり、バルドに起きるように言う。
尻を高く上げて、バルドに向ければ、恐る恐る双丘を舐められた。
「ぁっ……いや……穴……穴だよ」
「あ?な?」
またバルドが自動音声で答えてきたことに、蓮は拳を握る。
「~~~~~お前は、一回女を抱いてこい!童貞ライオン!」
「なんでだ?!」
「わかりやすく穴があるからだよ!」
「そ……そんな酷い言い方ないだろ!女性に謝れ!」
「今はそんな紳士道いらねぇんだよ。女でも男でも穴に入れて二人で気持ち良くなるんだろ」
「……二人で……マリアージュか?!」
「ん?あぁ、まぁ、そうだな」
そう答えるが、蓮の過去のセックスは、独りよがりだっり、自分のテクに自分で酔っていた事しかない。
しかし、今はバルドと気持ち良くなりたい。ちゃんと抱かれたいと思っている。
「二人で気持ちよく……」
「あぁ、今日はもう見てろ。次はバルドの指でしてくれよ」
そう言って、蓮は自分で後ろを慣らしはじめる。
潤滑剤を使ってクチュクチュと中を掻き回しながら、蓮の息は上がっていった。
「蓮……大丈夫か……」
バルドは、だんだんと目尻が下がっていく蓮にそっと手を伸ばす。
しかしどう触ればいいかと悩んで、蓮が好きな乳首に触れた。
「んあっ!……あはっ……おま……」
「あ、悪い……」
「いい、やれ……もっと……気持ち良い……」
強い目でそう言われ、バルドはオズオズと乳首に触れる。
「んっ……あぁんっ……も、挿れる……」
蓮は我慢できずに、脱ぎ捨てた自分のズボンのポケットから、ゴムを取り出す。
バルドに付けようとするが、蓮のゴムでは先端に少し被っただけで全く降りて行かなかった。
「れ……蓮……痛い……」
「あ、あぁ、みたいだな……」
チュポンと先っぽからゴムを取り、蓮は先ほどの昂った気持ちが萎んでいくのを感じた。
(デカすぎんだろ……)
「あー、ゴム持ってたりするか?」
ダメもとで聞いてみたら、バルドはチェストの引き出しを開ける。
中には大きなサイズの、大量のゴムが入っていた。
「なんでこんなに……」
「ぜ、全部貰いもんで……」
なぜか焦るバルドの説明を適当に流して、ゴムをバルド自身につける。
そして、その腰に跨った。
「んっんんんっ……あぁっ……ぅぁっ……」
「あっ……蓮……痛くないか……?」
蓮はその問いに答える事が出来ずに、首を振りながら必死に圧迫感を逃していた。
バルドはどうしたら良いかと、そっと乳首を触ってみた。
「んっ、ぁっ……バルド……」
「蓮……気持ちよくしてやる……」
「んっ……ははっ……」
蓮は苦しい中で笑う。
(この状態は、バルドも辛いだろうに……)
蓮の心配だけをするバルドの自制心を、心の中で賞賛した。
ゆっくり息を吐き、グッと腰を沈めたら、ようやく全てを飲み込めた。
「あ、あったかい……蓮、痛くないか……」
バルドは蓮を気遣いながらも、初めての気持ちよさに感動していた。
その顔に、蓮はここからだとニヤリと口角を上げて腰を動かす。
「んんぁっ……でか……バルド、気持ち良いだろ……」
「ぅ……ぁっ……あぁっ……たまらない……蓮……気持ち良い……」
「もっとよがれ……はぁっ……はっ……」
「あぁっ……あっ……蓮も……二人でマリアージュだ……」
そう言ったバルドは、蓮の腰を掴み、グンと自分の腰を振った。
「んあぁぁっ!」
力強いバルドの一撃に、蓮の目の前に星が散った。
「あぁっ……ぅあぁっ……ぁはんっ……」
何度も何度も打ちつけられ、蓮は意識を飛ばしそうな程の衝撃と快感を感じ、ぐったりと力が抜けていった。
バルドは身体を起こして蓮を抱きしめると、ゆっくりベッドへ押し倒して、今度は上から押し込むように腰を打ちつける。
「蓮……蓮……気持ち良い……これ、気持ち良い……」
「あぁぅっ……あんっ……俺も……たまんな……バルド……」
バルド越しに揺れるライオンの尻尾を見ながら、蓮は快感の限界を感じた。
「ダメだ……も……いく……でる……」
「うぅっ……蓮……っ……」
ブルリとバルドの体が震え、中でドクドクと脈打つのを感じて、蓮もたまらず欲を吐き出した。
「はぁ……はぁ……はぁ……」
「蓮……すごいな……これ……気持ちよすぎる……」
「だろ……はぁ……はぁ……」
バルドが蓮の頬を撫で、首筋を舐める。汗ばんだ肌が少ししょっぱく感じ手触りもしっとりとしていた。
蓮の身体を弄っていると、下半身の中心でクッタリとしている蓮自身に手が触れた。
フニャりとしていて、なんだか可愛らしいとバルドはそっと撫でる。
もう、怖さは無い。
「んんっ……イったばっか……んはっ……」
蓮が身を捩るのが可愛く、バルドはそっと優しく握り込んで擦ってみた。
蓮が出した白濁の滑りもあり、クチュクチュと音が鳴る。
だんだんと硬さと質量を増してくるそれに、バルドの手が止まる。
「………………これ……そうか……」
「待て……」
バルドの思考を読み取った蓮は、尻に力を入れ、未だ中にあるバルド自身をギュッと締め付けた。
「んんっ、ちょっと、良いのが出来そうなんだ……」
「ふざけんな!今日はお預けだ」
やっぱり料理をしに行こうとしてんのかと、蓮はバルドの腰に足を絡める。
そして、溶けそうな目で、バルドを見つめた。
「もっと……してくれよ……」
蓮の甘えた声に、バルドはゴクリと喉を鳴らし、蓮の中で大きくなった。
「んっ……わかった」
スンと蓮の首筋の匂いを嗅いで、バルドはニカっと笑う。
「もう一回だな……」
チェストの中のゴムはすぐに無くなりそうだと蓮も満足そうに笑った。
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