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#02 ミンチン♡ラビニアのピロートーク&発情セーラ→ロッテイへの未遂事件&ラムダスの手コキでセーラ
すべてが狂い始めたのは、半年前。アイツが転校してきたあの日からだった。
学園の至宝——ダイヤモンド◇プリンス。
その日の朝、学園の門をくぐったのは、莫大な財力を持つクルー家の御曹司、セーラ・クルーだった。彼の父親であるラルフ・クルーは、インドのダイヤモンド鉱山で大成功を収め、巨万の富を築き上げた伝説的な人物である。
豪華な馬車から降りてきたのは、まさにその圧倒的な富を象徴するかのように、光り輝く黄金のオーラを纏った少年だった。その容姿はどこか現実離れしていて、見る者によって「可憐」とも「雄々しい」とも取れる不思議な魅力があった。
そしてその背後には、影のように寄り添うインド人の執事、ラムダスが控えていた。院長室での挨拶を終えた後、父親のラルフはラムダスを呼び寄せ、小声で念を押した。
「ラムダス、分かっているな。あいつももう年頃だ。もしかすると近いうちに『初ラット』が来るかもしれない……その時は頼むぞ」
ラムダスは深く一礼し、「お任せください」と静かに微笑んだ。
◇
その日の夜。
ミンチンの自室。シーツに包まったラビニアが、事後の気怠い空気の中で、自分を抱いたばかりのミンチンに甘えていた。
「ねえ、先生もあの|転校生 のコト……気になるの? 執事まで連れ込んで、特別扱いしすぎだよ……」
人前で見せる優等生の仮面を脱ぎ捨て、ラビニアは年相応の幼さでミンチンにすり寄る。
「オイオイ……どうしたんだよ。柄にもなく嫉妬かい?」
ミンチンは余裕の笑みでラビニアの髪を撫でた。
「クルー家は超大金持ちなんだ。私は仕事でパトロンの機嫌を取っているだけだよ。今度、あの子のために盛大な誕生日会も開いてやらなきゃいけないしね」
「……本当? |ぼくだけを見ててくれないと、嫌だよぉ」
ラビニアが熱っぽい吐息を漏らしながら、ミンチンの首筋に腕を回す。
「ふふ、おしゃべりが過ぎるね。……もっと喉の奥を鳴らして鳴いてごらん。その方が可愛げがある」
「あぁっ…/// またするのぉ…/////」
——ずちゅ♡*
再びシーツが激しく揺れ、甘い喘ぎ声が部屋に満ちていく。
しかし、陶酔に浸るラビニアは知る由もなかった。慈しむように彼を抱くミンチンの瞳の奥で、セーラから漂っていた極上の残り香に対する、飽くなき支配欲が黒く渦巻いていることに。この「アルファ」を自任する教育者が真に屈服させたいと願う獲物は、腕の中の少年ではなく、あの黄金の転校生 であった。
◇
放課後の体育館裏。
セーラが転入してきてから数日。アーメンガードの様子がおかしいことに、ロッティは焦っていた。アーメンガードはもう僕のことを見てくれない…… あのセーラって転校生のことばかり……。
耐えきれなくなったロッティは、放課後、セーラを体育館の裏へ呼び出すなり、なりふり構わずに叫んだ。
「アーメンガードを取らないでっ……!」
泣き叫びながらセーラにすがるロッティ。その極限まで高ぶった感情が、自覚なきΩ(オメガ)特有のあの匂い……甘いフェロモンを、毒霧のように周囲に撒き散らしてしまった。
その匂いを至近距離で浴びた刹那——セーラの様子が急変する。
「……ッ……はぁ、はぁっ!」
荒い息を吐き、瞳孔が開く。理性を完全に失ったセーラは獣のように豹変すると、凄まじい力でロッティを押し倒した。
「……セーラくん//なに、すゑ……の、やだっ///」
悲鳴を上げるロッティの服を引き裂くセーラ。
「イヤ……/// らめッ…///// そんなのダメッ」
「……ッ、……」
「意地悪しないで!」
「嫌い!」
——と、その時だった。影から音もなく、ラムダスが現れる。
「失礼します」
ラムダスは手慣れた様子でセーラを引き剥がすと、腰が抜けて震えるロッティに「申し訳ございません」と一礼し、暴れるセーラを個室へと連れ去った。
自室のベッド。ラムダスは暴れるセーラに強い薬を飲ませたが、熱は引かない。
「しかたない……少しだけ、失礼します」
ラムダスは白い手袋を外し、手慣れた、官能的な手つきでセーラの処理を始めた。暴れる若き主人の熱を、冷ややかな大人の指先が強制的に解放へと導いていく。
「ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"……っ!!」
激しい熱狂が過ぎ去るとやがて静粛が戻り、そして——賢者の刻 が、訪れた。
——カチャリ。
断末魔のような絶叫を、磁器の触れ合う繊細な音が切り裂いた。熱情の残滓 は霧散し、室内にはただ月光とダージリンの芳香だけが漂っている。
先刻までの獣じみた呼気は消え、セーラの瞳は極北の湖面のように冷徹に澄み渡っていた。
「……ふぅ。世界が明晰 に見える。礼を言う、ラムダス」
「恐悦至極に存じます」
影のように控えるラムダスが、静かに頭 を垂れる。セーラの白皙 の貌 は、もはや生身の人間というよりは、精巧に造り込まれた冷たい彫像のようであった。
「ときに、明日の講義は何限からであったかな?」
「休日にてございます、セーラ様」
「そうか。ならば、しばしこの静寂を愉しむとしよう。今日はもう下がれ」
ラムダスは一切の物音を立てず、退室の礼を執る。
学園の至宝、セーラ・クルー。彼はこうして、人知れず「完璧な少年」という名の虚構へと回帰するのだった。
他者の運命を狂わせる「怪物」としての本性を、その麗しき皮殻 の内側へ、再び深く封じ込めるために。
つづく
—
あの日、学園に信じられない噂が駆け巡った。セーラくんのお父様が亡くなって、彼が無一文の孤児になってしまったって……。院長先生は激怒して、セーラくんの荷物を全部奪い、屋根裏部屋へ追放してしまったんだ。
でも、本当の悲劇はそれじゃなかった。深すぎる絶望が、完璧なアルファだったセーラくんの体を『オメガ』に変えてしまっただなんて……。
冷たい部屋で一人、抗えない甘い熱に震えていたなんて、この時の僕たちはまだ知る由もなかったんだ。
次回、A-Little-Prince 第3話。
セーラくん、あんなに苦しそうに……どうしちゃったの?
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