11 / 24

#10 セーラ♡ベッキー 寸止め濡れ場あり 

ギシッ、と隙間風の吹き込む下働きメイドの部屋、ベッキーとセーラの相部屋のドアが開いた。ガタガタと激しく震えながら部屋に入ってきたセーラの姿に、ベッドで横になっていたベッキーが弾かれたように起き上がった。 ラビニアの陰険な策略により、一日中氷水に浸かり続けたセーラの手は赤く腫れ上がり、ひび割れて血が滲んでいる。唇は紫色になり、吐く息は真っ白だった。 「ベッキー……熱、もういいの?」 「私のことはいいから! なにその手……ごめんなさい、昼間、私がふらついて倒れちゃったから……!」 ボロボロと涙をこぼすベッキーに、セーラは力なく首を振った。 「氷水で洗えって言われた服の山……何時間もかけて全部洗い終わったら、それは捨てるゴミだからやり直せって。笑ってたよ。……ご飯も、抜きだってさ」 セーラがぽつりとこぼした力ない愚痴に、ベッキーの顔が悔しさと罪悪感で歪む。ラビニアの陰湿さはベッキーも痛いほど知っていた。 ベッキーは慌てて、エプロンのポケットから布に包んだ固いパンを取り出した。 「これ、私の分……! お願い、食べて!」 「……ありがとう」 空腹で胃が痙攣していたセーラは、震える手でパンを受け取り、無言でかじりついた。パサパサのパンでも、今のセーラには涙が出るほど美味しかった。 パンを飲み込み、セーラが糸の切れた人形のように自分のベッドに倒れ込むと、ベッキーがそのまま布団の中に潜り込んできた。 「身体、氷みたいだよ……このままじゃ凍え死んじゃう」 冷え切ったセーラの身体を、ベッキーの柔らかく温かい身体がすっぽりと包み込む。凍えるような暗闇の中、二人の慰め合いの熱が、次第に高まっていく。♂ 密着した身体の熱が上がるにつれ、ベッキーの呼吸が少しずつ荒くなる。背中を撫でていたベッキーの指先が、不意にセーラの古い下着の端へと掛けられる。 ——その、まさに一線を越えようとしたときだった。 ピシャァッ!! 暗い部屋に、鋭い音が響いた。 「……っ、だめ」 「どうして?」 拒んではいるが、セーラの体はまだベッキーの腕の中に預けられたままだ。ただ、決定的な一線を越えることを、震えながら躊躇っている。 「……パンツの、上からだったらいいの?」 囁かれ、セーラは答えず、ただじっと自分の下腹部に触れようとするベッキーの手に力を込めた。 否定はしない。それが、セーラが許したギリギリの境界線だった。 ベッキーは手を戻し、布越しにゆっくりとその熱を撫でた。 手のひらから伝わる、硬さと温度。ダイレクトに触れるよりも、薄い布一枚を挟んでいるもどかしさが、かえって二人の感覚を狂わせた。じりじりとした情欲が、指先に集まっていく。 「ぁ……んっ……」 後ろから抱きすくめられたまま、セーラの声が熱を帯びていく。 握りしめたシーツに、指先が白くなるほど力がこもる。弓なりにしなった背中に、ベッキーの胸の鼓動と熱が強く押し付けられた。布一枚の隔たりがあっても、相手が自分を熱烈に求めていること、そして自分もまた、その熱を無様に欲してしまっていることが痛いほど伝わってくる。 終わりの見えない飢えと寒さ。気高くあろうと被り続けてきた『ダイヤモンド◆プリンス』は、とうに限界を迎え、ひび割れていた。今はただ、誰かの体温に溶かされたい。人の肌のぬくもりが、今の自分にはすがるほどに心地よかった。 「……神様だって、今夜だけなら、許してくれるよね」 自分に言い聞かせるように、震える唇が言葉を紡ぐ。その熱にすべてを委ねるように、背後から自分を抱くベッキーの腕に、そっと自らの手を重ねた。 「今日が終わったら……また、ただの友達だよ」 それは、自分を縛る戒律から逃れるために、自らに与えた一夜限りの免罪符。 けれど、その言葉を甘い「許し」と受け取ったのだろうか。背後からベッキーが手を回し、一段と激しくセーラを(パンツの上から)摩った… セーラの両脚が限界までピンと一直線に突っ張る。足ピン! ——と、その瞬間(トキ)だった。  ——バシッ さっきよりもずっと強く、セーラはその手を払いのけた。 「……だめっ、やめてっ!」 「なんで?」 ベッキーから掠れた声が出た。……ここまで来て そのとき、実はセーラは布越しでも、今まさに達する(イク)ところだった…… 「もう、……だめ、やめて」 顔を背け、腕から逃れようとする。さっきまでの熱が嘘みたいに。 「どうして。……私のこと、嫌になった?」 「……やめてくれないなら、嫌いになる」 震える声で突き放され、ベッキーの頭に上っていた血が一気に冷えていく。 「わかったよ、やめる……でも、どうして?」 暗闇の中、荒い息遣いだけが響く。 逃げ場をなくしたセーラは、顔を真っ赤にして、消え入りそうな声で白状した。 「……汚れちゃう、から」 少しの沈黙。 やがてベッキーは、暗闇の中で静かに微笑んだ。 「じゃあ……私にして?」 「え……?」 ベッキーはセーラの手首を掴むと、そのまま自分の下腹部へと導いた。 「え……? うそ……?」 驚きに見開かれたセーラの目に、ベッキーは寂しげに、けれどどこか大人びた顔で微笑み返した。 「……同じ、でしょ。だから、何も恥ずかしくないよ」 自分と同じ、だった。 その事実は、男としての尊厳を奪われメイド服を着せられていたセーラの心に、底知れぬ安堵をもたらした。 「私のことを女だと思ってたんでしょ?」 「……うん」 「この学園に女なんているのかしらね」 「そうなの?」 「男の子同士はいや? 私のこと嫌い?」 「嫌いじゃないけど…ゴメン…友達でいたい」 セーラの消え入りそうな、けれど確かな拒絶の声に、ベッキーは少しだけ寂しそうに目を伏せた。 「……そうだね」 無理にそれ以上踏み込むことはせず、ベッキーは名残惜しそうにセーラの身体からゆっくりと離れる。 「おやすみ、セーラ」 静かに自分のベッドへとベッキーが戻っていく。 凍え切った夜の闇の中で、セーラの身体には、ベッキーの残した熱だけがひっそりと燻り続けていた。 つづく 10話グラレコ https://fujossy.jp/fanarts/8123 — ラビニアがおれ(アーメンガード)を生徒会室に呼び出すなんて、嫌な予感しかしない。重い足取りでドアを開けてみたら……案の定だった。反省室から出てきて以来、ずっと姿を見せないと心配していたのに。廊下で見かけたあのメイドは、やっぱり君だったんだね、セーラ……! ひらひらとした屈辱的な服でラビニアたちにお茶汲みをさせられ、挙げ句の果てにわざとインクをこぼされて鞭打たれそうになる君。 やめろ! このメイドは関係ない! だったら代わりにを打て!! 次回、A-Little-Prince 第11話。 セーラ、君だけは絶対に俺が守り抜く……っ!

ともだちにシェアしよう!