13 / 24

#12 アーメンガード♡ロッテイ 濡れ場あり ——ずぢゅ♡*

コンッ、コンッ。 深夜。下働きメイドの部屋、ベッキーとセーラの相部屋の窓ガラスが微かに鳴る。 「……セーラ、窓の外に誰か」 隣のベッドからベッキーが怯えたように囁く。セーラが身を起こして窓の隙間から下を覗き込むと、暗がりから小石を投げていたのはアーメンガードだった。セーラは慌てて窓を少しだけ開ける。 「アーメンガード!? だめだよ、見つかったら退学に……」 「パンを持ってきたんだ。お腹、空かせてると思って」 窓の下から囁き返すアーメンガードに、セーラは短くため息をついた。 「……早く上がってきて。絶対に大きな音を立てないでよ」 セーラが手を引き、アーメンガードが音を殺して窓から部屋へと滑り込む。 「ほら、これ」 「ありがとう。……でも、背中の傷は大丈夫なの?」 アーメンガードはパンを押し付けると、「平気だよ。これくらい何ともない」と、傷を見せてというセーラの話をはぐらかした。昼間の生徒会室でラビニアから受けた鞭の痛みを必死に堪え、少しでも心配をかけまいと気丈に振る舞っているのだ。同室のベッキーの存在に気づくと、アーメンガードは短く目配せをして挨拶を済ませた。 しばらくして、張り詰めていた空気が落ち着きを取り戻した頃。アーメンガードは声を潜め、ずっと気にかかっていたことを切り出した。 「セーラ、君のお父さんのことだけど。少し話を聞かせてもらってもいいかい? 一体、何があったのか」 静かな問いかけに、セーラは少しだけ俯き、やがて密かに抱いていた「疑念」を打ち明けた。 「……僕のお父様が熱病であっけなく死んで、莫大な借金だけを残すなんて、絶対にあり得ないんだ。あの新大陸の事業には……絶対に、何か裏があるはずなんだよ」 「裏……?」 「真相を調べたいんだ。依頼の手紙を弁護士宛に書いたのだけど……でも、ミンチン院長の検閲を通さずに届けることができなくて」 セーラの切実な言葉に、アーメンガードは迷うことなく頷いた。 「が何とかするよ。その手紙、僕に預けてくれないか」 「だめだよ。これ以上君に迷惑はかけられない。もしもまたそれが見つかったりしたら……」 「セーラ……、お願い、にやらせて!」 それは、この逃げ場のない箱庭で、セーラとアーメンガードが命懸けの「共犯関係」を結んだ瞬間だった。 ◇ 学園の裏門。 凍てつくような闇夜の中、外套(コート)を深く被り、こっそりと抜け出したアーメンガードは、そこで予期せぬ人物と鉢合わせた。 「……アーメンガード? こんな夜更けに、一人で何をしているんだい?」 「えっ……デュファルジュ先生!?」 大きなトランクを提げ、学園を去ろうとしていたフランス語教師。驚き、何をしているのかと問うデュファルジュを前に、アーメンガードは張り詰めていた糸が切れ、セーラの密書について打ち明けだした。 事情を悟ったデュファルジュは静かに、しかし怒りを滲ませて、昼間の件で院長に抗議した結果、今夜付けで解雇されたことを明かした。 「……そういう訳で、アーメンガード、私は学園を出て行かなくてはならない」 「どうして先生が……!」 「私が学園を追放されるのは、ラビニアの家の莫大な寄付金が理由だ。金がすべてのこの学園では、ラビニアの好き勝手が通ってしまうのさ」 デュファルジュは手紙の投函を引き受けると、学園宛てではまた院長に握りつぶされてしまうからと、返信先を『デュファルジュの家』とし、また返事が来たら必ず伝えると約束した。 「ミンチン院長とラビニアには、くれぐれも気をつけるんだ」 そう言い残すと、デュファルジュは去っていった。 一筋の希望を胸に、アーメンガードは急いで学園の裏口へと引き返していった。 ◇ 誰にともなく心の中で「ただいま」と呟き、自分の部屋(ラビニア、ロッティとの三人部屋)のドアをそっと閉めるアーメンガード。足音を殺して自室の奥へと進むと、ふと違和感を覚えた。——ラビニアの気配が感じられない。目をやると、彼の領域はもぬけの殻だった。 「……アーメンガードくん?」暗がりから、ロッティの声が響いた。 「ごめんね。起こしちゃったようだね、なんでもないんだよ。もうベッドに戻りな」 そう言うとアーメンガードはロッティの肩を押して、彼のベッドへ向かおうとした。すると不意に、ロッティがすがりつくように抱きついてきた。 「どうしたんだい、ロッティ……?」 「アーメンガード…どんどん遠くに行っちゃうんだね。……もう僕のことなんか、」 ——すべてを見透かす捨てられた子犬の涙声。 アーメンガードの胸がチクリと痛む。その寂しげな声を塞ぐように、アーメンガードはロッティの細い身体を抱きしめ、そのままベッドへと押し倒した。 「……んっ、ぁ……アーメンガードくん……っ」 「コエ  」 ・ ・ ・  ゆさ… ゆさ… ——ずぢゅ♡* ・ 「あ”……っ」 ・ ・ ・ ——ぬちょっ… ・ ——ぬちょっ… ・ あっ……//// ・  すきだよアーメンガード…… やめないで// ・ 「……あ……アーメンガードくん……」 し-! シズカに ・ ・ ・ シーツの擦れる音と、甘く濡れた吐息が静かな部屋に溶けていく。 ——こす…  ——こす… ・ ・ ・ 「あっ…ん///」 ・ ・ ・ 「う…/////」 背中の鞭傷が痛んだが、そのひりつくような熱が、かえってアーメンガードの理性を甘く麻痺させていった。セーラには決して見せられない仄暗い情欲に身を任せ、言葉を交わす代わりに、アーメンガードはロッティの柔らかい肌に触れ、何度もその唇を塞いだ。 ——ぬちょっ…  ——ぬちょっ……   ——ぬちょっ…… 甘く淫らな水音が夜の静寂を破る。 ✨ 「イッちゃ……///// ・ ・ ・ ・ ⚡️  う…/////」 「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ッ・」 ・ ・ ——ぬちょっ………   「あ゛っ・ あ”ぁ”」      *     ——ぬちゅうううう…… ・ ・ 「ふぅ」 「……はぁ、はぁ……」 ◇ 熱い余韻の中、同じ毛布に包まりながら、ロッティが満足げにアーメンガードの胸元に頬を擦り寄せる。汗ばんだ前髪を撫でてやりながら、アーメンガードはふと、静まり返った部屋の空気に意識を向けた。この部屋のもう一人の住人は、今夜も戻ってきていない。 「……ラビニア、本当にどこに行ってるんだろうな。最近、毎晩の様に部屋を空けるよな」 「んー……わかんない。でも、こうして2人きりになるのは嬉しいかな…」 ロッティの規則正しい寝息が聞こえ始める中、アーメンガードはぼんやりと暗闇を見つめていた。夜を徹して不在にするラビニアの得体の知れなさと、デュファルジュの残した忠告が、心の奥底に小さなさざ波を立て続けていた。 つづく 12話グラレコ https://fujossy.jp/fanarts/8125 — 「デュファルジュ先生が協力してくれるから、もう大丈夫だ」君を救い出す希望とパンを抱えて、おれ(アーメンガード)は夜のメイド部屋へ向かったんだ。気高く純潔な君を守り抜く。その純粋な愛情だけで、の心は満たされていたのに。ドアの向こう……僕の信じていた神様は、もうどこにもいなかった。 (なんだよ、それ……) 持っていたパンが手から滑り落ちる。の中で、セーラへの純粋な信仰心が、完全に砕け散っていく音がした。 次回、A-Little-Prince 第13話。 セーラ、君の本当の姿は……そんなに汚かったのか……ッ!

ともだちにシェアしよう!