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#15 公開、「セーラ❤︎ラムダス」の鑑賞会
誇り高き『ダイヤモンド◇プリンス』であったセーラが、隙間風の吹きすさぶ冷たい馬小屋へと完全に追放された夜。
絶望の底でセーラが薄い毛布にくるまり、身を切るような寒さに凍えているその頃——。赤々と燃える暖炉の火に温められた豪奢な院長室は、外の冷気など嘘のように暖かく、むせ返るような情欲の熱に満たされていた。
毎夜の恒例の、絶対的支配者とペットの交尾。乱れたシーツの上で、甘く淫らな水音が部屋の静寂を舐めるように響いていた。
——ぬちょっ…
——ぬちょっ…
—ぬちょっ…ぬちょっ… ぬつちよ
つ「ううう…/////
——ぬちょっ…
*
——ぬちゅうううう……
・
「ゑ゛」
❤︎
絡み合う肌が奏でていた淫らな水音が、潮を引くように静まっていく。むせ返るような熱狂の嵐が過ぎ去ったあとの部屋に、冷ややかで静謐な思索の時——賢者の刻 が訪れた。
与えられた快楽の余韻に甘く輪郭を溶かし、すり寄ってくるラビニアの熱をよそに、ミンチンは気怠げに身を起こす。
昏い銀光を放つ冷酷な金属の輪——『Ω 用鎮静チョーカー』。主の指先から無造作に放られたそれは、火照るラビニアの白い胸元へと落ちた。
「おまえ、近頃随分とあの薬を過剰摂取 しているようだが……Ωの脆弱な内分泌系で乱用を続ければ、いずれ中枢神経に不可逆的な損傷をきたす。ホルモン受容体の暴走による底なしの発情 から抜け出せなくなった時は、それを使え。強制的に神経パルスを遮断し、脳を正常値に引き戻すリミッターだ」
ラビニアは少しだけ不満げに口を開く。
「大丈夫ですよ。乱用なんかしてないよ。ぼくが呑むのは、先生と一緒の時だけなんだから」
「いいから、持っておけ。前にセーラから没収したα 用の制御チョーカーとは違うんだ。それはΩ の専用の代物だから」
「うん…… ところで、明日の夜、馬小屋で何が起こるの?」
「それな……セーラにたっぷりと薬を飲ませて、そこにあの下男をぶち込んだらどうなると思う? ……最高に汚らしい獣の交尾を、アーメンガードに特等席で見せてやるのさ」
◇
翌日の夜。
冷たい風が吹きすさぶ馬小屋の外に、ミンチン、ラビニア、そして俯きがちなアーメンガードの三人が立っていた。
「そろそろ、たっぷりと盛った薬が効いてきた頃じゃないかな」
隙間だらけの板壁の向こうから、抑えきれない獣のような喘ぎ声と、肉がぶつかり合う生々しい水音が絶え間なく響いてくる。
——ぬちゃっ…
——ぬちゃっ…
——ぬちゃっ…
ミンチンが低く囁き、壁の隙間を顎でしゃくった。アーメンガードは吸い寄せられるように、その暗い隙間に目を向ける。
「ほら、よく見ろよアーメンガード。お前が庇っていた気高きプリンスが、下男相手にあんなに蕩けきって……自分から腰を振って啼いてるじゃないか」
——ゆさ…
——ゆさ…
ミンチンの実況解説が、耳元でねっとりと響く。
壁の向こうにいるのは、自分が命懸けで守り、神聖視していたあのセーラだ。だが今の姿は、尊厳など微塵もない、ただ下男に溺れて発情するだけの哀れな獣だった。
アーメンガードの脳裏に、不意に一つの記憶がフラッシュバックする。
——バレンティヌスの祭日。勇気を振り絞って捧げた自分の純粋な告白は、『ごめん……友達でいたい』という言葉で優しく、しかし残酷に拒絶された。
(俺には……あんなに冷たかったのに)
心の中で大切に祀り上げていた偶像が、音を立てて砕け散る。失望と憎悪、そして仄暗い嫉妬が入り混じり、アーメンガードの瞳からボロボロと大粒の涙がこぼれ落ちた。
馬小屋から漏れ出す濃密なΩのフェロモンが、夜の帳 に立ち込める——そのむせ返るような甘い芳香が、今宵の余興の観客達を狂わせる。
三人の呼吸が次第に荒くなる。
α であるミンチンの瞳にはラット(暴走発情)の予兆が現れ、抑えきれない血の疼きが仄暗い熱と共に脈打っていた。
興奮で身体を火照らすラビニアは甘い吐息を漏らし、ミンチンの腕にすり寄る。しかし、ミンチンはラビニアの存在など眼中にないかのように、その腕をあっさりと払いのけた。
ミンチンの血走った視線の先には、壁に手をついてボロボロと泣き崩れているアーメンガードの姿があった。ミンチンは静かに歩み寄り、傷つき果てたアーメンガードの肩を力強く、そして優しく抱き寄せる。
「辛かったな……少し俺もやりすぎたかもしれない。でも、分かっただろう? 今日はうんと泣くんだな」
心の隙間を完全に抉られたアーメンガードは、抵抗することなくミンチンの胸に顔を埋め、声を出して泣きじゃくった。ミンチンは宥めるようにその背中を撫でながら、アーメンガードの肩を抱き、そのまま自分の寝室へと消えて行く。
暗闇と寒空の下。
すり寄った手を宙に浮かせたまま、ラビニアは一人ポツンと取り残された。自分が特別な寵愛を受けるペットなどではなく、あっさり捨てられる都合の良い存在だったことを突きつけられ、ただ呆然と立ち尽くすことしかできなかった。
つづく
15話グラレコ https://fujossy.jp/fanarts/8128
—
ミンチン先生が提案してきた『快感耐久チキンレース』。先に絶頂に達するか、ギブアップした方が負けだって? ははっ、俺 、こういうの強いかも。このゲームで勝って、先生を俺に夢中にさせてやるんだ。
「じゃあ、最初は私が責めよう。いくつにする?」
「100」
余裕で数え始めたはずだったのに……。先生の指先が触れるたび、頭の中が真っ白になっていく。ちょっと待って、これ……全然無理……っ!
次回、A-Little-Prince 第16話。
先生、もうダメ……っ、俺、負けちゃう……っ!
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