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#30 アーメンガードによるラビニア調教 濡れ場あり
——チュン、チュンチュン。
窓の外から聞こえる冷やりとした鳥のさえずりで、ラビニアは重い瞼を開けた。
「……あ……」
寝返りを打つと、シーツがひんやりと冷たい。部屋にはロッティの姿も、そしてセーラの姿もなかった。
(……逃げられた、か)
自身の身体の奥には、昨日過剰摂取したドーピング薬の熱が、まだじっとりと燻 っている。熱に浮かされた頭に、昨夜の光景が容赦なくフラッシュバックした。
セーラの前でプライドを完全に投げ捨て、涎を垂らしながら乳首を責められて狂喜した自分の、無様すぎる姿。
(……なんでおれが、あんな無様な姿に……っ!)
悔しさと自己嫌悪で、ラビニアはシーツをギリッと握りしめた。かつて絶対的支配者だった自分のプライドが、跡形もなく砕け散っていくのがわかる。それなのに——発情の熱に完全に支配されたこの身体は、まだ昨夜の『続き』を求めてぐずぐずと泣き濡れていた。
はぁっ…… はぁっ…… はぁっ……
逃げ場のない火照りに耐えきれず、ラビニアは震える手を伸ばし、熱く反応 が収まらない場所を自ら慰めはじめた。
——スコ…
——スコ…
——シコ…
——シコ…
はあ……ぁ……
はあ……ぁ……
虚しい一人慰めに耽るが、ドーピング薬がもたらす果てのない渇きは、自分自身の指先程度では一向に満たされることがない。イきかけては落ち、またすぐに熱がぶり返す。
(……どうして……っ、キリがない……っ!)
際限なく押し寄せる淫らな快感の波に絶望しかけたその時、ふと、這いずるような視界の端に自分の鞄が映った。限界を迎えたラビニアは、震える手を伸ばして鞄を引き寄せ、その奥底から鈍く光る銀色の金属の輪を取り出した。
——ミンチン院長から渡されていた、『Ω(オメガ)用鎮静チョーカー』。
「……っ」
震える手で、それを自らの首にカチンと嵌める。その刹那——
(……!)
まるで冷水を浴びせられたかのように、狂おしいほどの身体の火照りがスッと引き、視界の霞みが晴れていく。強制的な神経パルスの遮断。完璧なまでの『賢者の刻 』が訪れ、ラビニアの頭は恐ろしいほどにクリアになった。
「ははっ……すごいな、これ」
冷や汗を拭いながら、ラビニアは薄く笑った。熱から解放されたことで、忘れかけていた本来の冷酷なプライドが静かに蘇ってくる。
(おれはまだ、アーメンガードの完全な犬になったわけじゃない……)
冷たい怒りを再燃させた、——その時だった。
——コツ、コツ、コツ
廊下から重い足音が近づいてくる。アーメンガードだ。昨夜はミンチン院長のところで過ごし、今、朝帰りしてきたのだろう。
ラビニアは間一髪で首からチョーカーを外し、枕の下へと滑り込ませた。外した瞬間、再び薬の熱が波のように押し寄せてくる。だが、先ほどチョーカーによって一度強制的に頭を冷やしたおかげで、完全に本能に飲まれる手前で、確かな理性の芯が残っていた。
——ガチャッ。
「……なんだ。ご主人様が帰ってきたのに、出迎えもないのか?」
部屋に入ってきたアーメンガードは、ベッドに横たわるラビニアを見下ろし、傲慢な笑みを浮かべた。そのまま制服のタイを緩めながら、強引にラビニアの上に覆いかぶさる。
「あ……っ、」
「昨夜はお楽しみだったみたいだな。部屋中、むせ返るような雌の匂いが充満してるぞ」
アーメンガードはラビニアの顎を乱暴に掴み、逃げ場を奪うように顔を近づけた。
「……やったんだろ? 何回やったんだ?」
「……っ、関係ないだろ……」
「関係ないだと? お前は俺の『ペット』だろうが。言え! ロッティとやったんだろ?」
アーメンガードの指先が、ラビニアの最大の弱点である胸の突起を容赦なく抓り上げた。ok ✨
「あ”ん…////」
「ほら、鳴けよ。……どうせお前が『受け』だったんだろ? なあ、そうだろ? 」
ネチネチとした嫉妬と嗜虐心をむき出しにして、アーメンガードは執拗に責め立てる。薬の熱が残る身体は抗えず、ラビニアの口からは甘く濡れた喘ぎ声が漏れ出てしまう。
「だめぇ だめぇ…/////」
「なら、やめちゃうけどイイのかな?」
「意地悪//も~」
「そうさ、俺は意地悪だ」
「お前、セーラともやったんだろ? なぁ? そうなんだろ!?」
「んッ…/////んッ… セーラなんて、関係ない、関係ないよぉ」
「本当だな? 嘘をつくと承知しないぞ」
「ほんとう… だよぉ」
ok ok ok ✨
「あ”ん…////」
「また乳首でイクのか、変態だな」
ok ✨
「どうしよう…/////」
ok ✨
⚡️「あ゛っ……/// あぁっ……/////」
だが。
快楽に身をよじらせながらも、ラビニアの『瞳』だけは違った。涙で潤みながらも、アーメンガードを氷のように冷たく、鋭く睨みつけていたのだ。チョーカーによって取り戻したプライドが、完全な服従を拒絶していた。
「……ん?」
その屈服していない反抗的な目を見た瞬間、アーメンガードの動きがピタリと止まった。
優越感に浸っていたアーメンガードの顔に、苛立ちと歪んだ加虐心がドス黒く浮かび上がる。
「……身体はこんなにだらしないのに、目が反抗的なんだよな、お前は」
アーメンガードはラビニアの髪を乱暴に掴み上げ、その耳元で冷酷に囁いた。
「密室で可愛がってやるだけじゃ、お前のその無駄なプライドは折れないみたいだな」
「……っ!」
「いいだろう。お前がどれだけ惨めな立場になったか……。みんなの前で、昔お前が俺にやったのと同じ方法で、教えてやるよ」
底冷えのする残酷な宣告。それが何を意味するのかを悟り、ラビニアの背筋に氷のような悪寒が走った。
◇
一方、その頃。昨晩、帰る場所をなくして夜の学園を彷徨っていたロッティは、使用人のベッキーの部屋で一夜を明かしてしまった。
——チュン、チュンチュン。
窓の外から聞こえる雀の鳴き声と朝の光に、ロッティはゆっくりと目を開ける。ぼんやりとした頭で見上げた視界には、見慣れない景色が広がっていた。
「……知らない天井だ」
どこかで聞いたような台詞をポツリと呟きながら横に視線を向けると、隣にいるはずのベッキーの姿はなかった。
そうだ、昨日の夜……。
(……僕……最近、こんなの多いな)
ヒートのせいとはいえ、自分の身体の節操のなさに深く絶望する。重い溜息をつき、ベッドから出ようと身をよじった瞬間だった。
「痛っ……」激痛が走る。
痛みを堪えて、ふとテーブルの上に目を移すと、そこには一枚のメモが……
『仕事に行くね。鍵はポストに入れておいて』
そのメモを読むとロッテイは、慌ただしく身支度を整えて、痛むおしりを庇いながら、内股気味でそっと部屋を後にした。
つづく
30話グラレコ https://fujossy.jp/fanarts/8159
—
『ペット』の分際で、主人の邪魔をするなんていい度胸だな、ラビニア。
しかも、俺 の部屋を開けたら、……あろうことか、セーラと縋り付くように抱き合ってやがった! あの光景を見た瞬間、自分でも引くくらい、頭の奥でドス黒い怒りが沸点に達するのが分かったよ。
次回、A-Little-Prince 第31話。
いいか、セーラ。お前がまたラビニアから助けを受けたりしてみろ。今度はあいつが、お前以上の『地獄』を見ることになるからな。……覚えてろ!
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