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#40 院長に捨てられたアーメンガードと、ラビニアのセーラへの告白 濡れ場あり

重厚な天蓋付きのベッドがきしむ音、そして淫らな水音が薄暗い寝室に響く。 ——ぬちょっ…   ——ぬちょっ… そして、ひきつったような乱れた吐息——。 「あっ、ぁ……っ! し、知りません……! 僕は本当に、あの手紙のことは何も……ッ」 ——ぬちょっ… シーツに顔を押し付けられ、アーメンガードは無様に泣き叫んだ。背後からのしかかるミンチンの重みは、薬で焼け焦げるように熱りきったアーメンガードの体温とは対照的に、どこまでも冷たい。 「嘘をつくな!」 ——ぬちょっ…   ——ぬちょっ… 不意に、汗に濡れた髪の毛を背後から乱暴に掴み上げられた。 「ひっ……!」 ぐいっと首がのけぞらされ、逃げ場のない状態で耳元にミンチンの唇が寄せられる。激しく身体を打ち付けられながらも、アーメンガードを見下ろすその視線や声には、微塵の情欲も混じっていない。まるで冷徹な尋問官のように、アーメンガードを完全に組み敷き、退路を塞いでいく。 ——ぬちょっ…   ——ぬちょっ…    ——ぬちょっ… 「僕はそんな手紙の存在を知らないし、受け取ってもいない! ……でも、もしデュファルジュ先生が僕宛てに封筒を渡すなら、セーラが頼んだあの手紙の返信ってことじゃないですか!」 ——ぬちょっ… 「セーラが頼んだ手紙だと? 何を言ってる? 全て話せ!」 ミンチンの激しい追求に、アーメンガードは口を割る。 ——ぬちょっ… 「セーラが出したいと言う手紙を、僕が頼まれてデュファルジュ先生に渡したんです……! だから、中身はセーラ宛ての手紙なんだと思います……ッ」※12話参照 「なぜ、お前が私に隠れてセーラのために働くか!」 ——ぬちょっ…   ——ぬちょっ…    ——ぬちょっ… 容赦なく突き上げられ、アーメンガードは悲鳴のような声を上げた。 「ああっ……! む、昔のことです! 先生に可愛がっていただく前のことなんです……ッ」 ——ぬちっ… っ っ っ ・ ・ ・ 「お前、セーラのことが好きなんだろ?」 ——ぬちょっ… 冷酷な嘲笑とともに吐き捨てられた言葉に、アーメンガードは必死で首を横に振った。 ——ぬちょっ… —ぬちょっ… 「許してください……! 今は先生のことしか愛してません……ッ! 僕は中継ぎを頼まれただけで、中身は本当に知らないんです!」 ——ぬちょっ… ぬちょっ… ぬちょっ… 「嘘をつけ! 言え、セーラのことが好きだと!」 ——ぬちょっ… ぬちょっ…   ——ぬちょっ… ぬちょっ… ぬちょっ… 「言え、セーラのことを愛してると!」 ——ぬちょっ… ぬちょっ… ぬちょっ…   ——ぬちょっ… ぬちょっ… ぬちょっ… 「言え!」 ——ぬちょっ… ぬちょっ… ぬちょっ… ぬちょっ…   ——ぬちょっ… ぬちょっ… ぬちょっ… ぬちょっ…    ——ぬちょっ… ぬちょっ… ぬちょっ… ぬちょっ… 「あ”」 ・ ・ ・ ・ ⚡️ 愛してます… セーラを…///// 「⚡️゛あ゛⚡️゛あ゛⚡️゛あ゛⚡️゛あ゛」 ぬちっ… ・ ・ ・ ゆさ… ゆさ…   ——ぬちゅうううう…… * 事後。——それはいつもと異なる賢者の(タイム)だった。 荒い息を繰り返しながらシーツにくるまるアーメンガードを尻目に、ミンチンは寝台から降りると、淡々とガウンを羽織った。 ——シュッ、とマッチを擦る小さな音が薄暗い部屋に響く。 ミンチンはくわえたタバコに火をつけると、ゆっくりと紫煙を天井に向かって吐き出した。 「ふぅ……」 「院長先生……」 煙の向こう側、熱っぽい瞳で甘い言葉を待つアーメンガードに対し、ミンチンは振り返りもしない。 「もう寝る。さっさと服を着て出て行け」 「え……?」 「耳が遠くなったのか。用は済んだと言っているんだ」 いつもなら、事後には少しばかりの甘いピロートークで優越感を与えてくれたはずだった。だが、今のミンチンの声には、塵ほどの温度も感じられない。手紙の件で疑われている——その絶対的な事実が、アーメンガードの心に冷水を浴びせた。 「そ、そんな……待って、先生……!」 「しつこいな」 冷たく見下ろす視線に射竦められ、アーメンガードはそれ以上何も言えなかった。惨めさに打ちひしがれながら、震える手で衣服を身につけると、すぐさま追い出された。 ◇ 自室へ戻ったアーメンガードの精神は、完全に限界を迎えていた。院長に拒絶された絶望と、過剰に摂取した薬によるヒートの暴走が、彼の理性をドロドロに溶かしていく。 「ハァッ……ハァ……くそっ、くそぉぉぉッ!」 部屋の片隅で息を潜めていたラビニアを見つけるなり、アーメンガードは獣のように飛びかかった。 「お前だ! お前が俺を慰めろ! 俺のペットなんだから、さあ鳴けよ!」 無理やりラビニアをベッドに押し倒し、乱暴に唇を塞ぎ、肌を貪る。だが、どれほど肌を重ねても、アーメンガードの渇きが満たされることはなかった。薬で無理やり引き出された熱は、オメガであるラビニアのフェロモンでは到底鎮まらないのだ。 「ちくしょう……違う、違う! お前なんかじゃない!」 ——バシッ……! 苛立ちのままに振り下ろされた拳が、ラビニアの頬を激しく殴りつけた。 「下手くそが! さっさと出て行け、目障りだ!」 床に投げ出されたラビニアは、口の端を切って血を流しながら、恐怖と屈辱で震え上がった。「ひどい… ひどすぎるよ」ラビニアはふらつく足で立ち上がり、無我夢中で部屋から逃げ出した。 ◇ 深夜の冷たい廊下。 行くあてのないラビニアが、ふらふらと無意識に辿り着いたのは、埃っぽい屋根裏部屋だった。 ギィ……と古びた扉を開けると、月明かりの下、セーラがベッドの端に座っていた。 「……ラビニア? どうしたの、こんな夜更けに」 振り返ったセーラは、ラビニアの顔を見るなり息を呑んだ。青ざめた顔、乱れた衣服、そして頬に赤く腫れ上がった生々しい痣。 「どうしたのその傷?」 「笑えよ、セーラ……」 ラビニアは壁に寄りかかり、力なく自嘲した。 「今のおれは、アーメンガードの惨めなペットだ。ざまぁないよな、今じゃあいつの足元で這いつくばって、殴られて……こんなザマさ」 セーラは何も言わず、ただ痛ましそうな瞳でラビニアを見つめていた。その真っ直ぐで優しい視線が、かえってラビニアの惨めさを抉り出す。 「……のこと、憎いだろう? だって、お前には散々ひどいことしてきたもんな」 ラビニアは堰を切ったように、自嘲交じりに言葉を吐き出した。 「お前をいじめて、貶めて……そうやって優越感に浸ってた。最低だよな。お前みたいに誰にも屈しない強さが、本当はずっと羨ましかったのかもな」 自らの罪を数え上げるように、ラビニアの声が震える。 「今更、こんなこと言える立場じゃないって分かってる。……でも、どうしようもないんだ。は、お前のことが……好きなんだ」 静かな告白。セーラはわずかに目を見開き、ゆっくりとラビニアに歩み寄り、その傷ついた頬に手を伸ばそうとした。 「……ょ、よせよ…」 ラビニアは怯えたようにセーラの手を遠ざける。 「の身体は……まだあいつに依存してるんだ。殴られても、それでも……あいつを求めてしまう。は、汚れてるんだよ……!」 セーラの清らかな手に触れる資格など、自分にはない。ボロボロと涙を零しながら、ラビニアは背を向け、逃げるように屋根裏部屋を後にした。 ◇ 翌日、院長室。 朝の光が差し込む部屋で、ミンチンは自身のデスクの前に立った。ふと、昨日アーメンガードに見せつけた『空の封筒』が気になるり、視線を落とすが—— 「……」 机の上にも、引き出しの中にも、あの封筒はどこにも見当たらない。 「あのクソガキ…… あの封筒を持ち去った?」 ミンチンは状況を悟り、冷たい口元を歪めて低く嗤った。 「……まあ良い。現物がなくとも、結果は同じことだ」 静寂に包まれた院長室に、ミンチンの不気味な笑い声だけが響いていた。 つづく 40話グラレコ https://fujossy.jp/fanarts/8169 — 「院長先生がお呼びだ」冷たく言い捨てて、お前をあの部屋へ向かわせた。先生がお前を呼んだ理由なんて、本当は察がついてる。もう(アーメンガード)は用済みで、先生は手紙を餌にして、お前に何を要求するつもりなのかも…… 気づけば、お前を温めていた『たった一枚の毛布』を床に叩きつけて、奪い取っていたんだ。 次回、A-Little-Prince 第41話。 こんな惨めな嫌がらせしかできない自分が嫌になるよ……。本当は愛してるのに……ッ!

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