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#51 元手下のジェシーに辱めを受けるアーメンガード

冬休みが明け、学園に再び生徒たちの喧騒が戻ってきた。 新学期の初日。冷え切った廊下の片隅で、アーメンガードは足早に歩き去ろうとするロッティの腕を強く掴み、壁際へと追い詰めていた。 「離してよ、痛いな……っ」 「とぼけるな、ロッティ。デュファルジュ先生から、セーラ宛の重要な手紙を預かっているはずだ! 今すぐ僕に渡してくれ!」 必死の形相で詰め寄るアーメンガード。しかし、かつて自分を慕っていたはずのロッティの瞳には、氷のような冷たい侮蔑の色が浮かんでいた。 「……知らないね。何のことだか」 「嘘をつくな! 先生が君に託したと言っていたんだ!」 「だから、知らないって言ってるだろ!」 ロッティはアーメンガードの手を乱暴に振り払った。そして、軽蔑しきった声で吐き捨てるように言った。 「……仮に知っていたとしても、君になんか絶対に教えてやるもんか。君はあの時、僕を見捨ててラビニアを選んだくせに。(33話参照)今更いい人ぶって、セーラを救うヒーローにでもなりたいのかい? 虫酸が走るよ」 「ロッティ、それは……!」 返す言葉を失うアーメンガードを残し、ロッティは軽蔑の眼差しを向けたまま、足早にその場を立ち去っていった。 ◇ 数日後の昼下がり。 ロッティの身体には、明らかな変化が現れ始めていた。身重の腹は制服の上からでも少し丸みを帯びているのが分かり、歩き方もどこか庇うような不自然さがあった。 それを、新生徒会を牛耳るジェシーたちが見逃すはずがなかった。 「おいおい、なんだその腹? オメガの分際で、どこぞの馬の骨の子でも孕んだか?」 中庭に続く廊下で、ジェシーたち数人が下劣な笑い声を上げながらロッティを取り囲んだ。ロッティは青ざめ、必死にお腹を庇いながら後ずさる。 その光景を遠巻きに見ていたラビニアは、ガタガタと震え上がり、一歩も動くことができなかった。また自分がターゲットにされるかもしれないという恐怖が、彼女の足を床に縫い付けていた。 ——と、その時だった。 「……そこを退きなさい。彼に触れるな」 凛とした声が響き、群れの前に歩み出たのは——セーラだった。 しかし、ジェシーたちは一瞬きょとんとした後、腹を抱えて爆笑した。 「はっ! なんだお前? 院長の慰みもんが偉そうに口出してんじゃねえよ!」 「オメガの分際で生意気なんだよ!」 セーラの言葉など全く相手にされず、ジェシーが嘲笑いながらセーラを乱暴に突き飛ばそうと手を伸ばした、まさにその刹那。 「セーラに触るな!」 横からアーメンガードがしゃしゃり出てきて、ジェシーを強く突き飛ばした。 「チッ……元・会長サマが、粋がってんじゃねえぞ!」 ジェシーの怒声と共に、生徒会の面々が一斉にアーメンガードに襲いかかった。多勢に無勢。アーメンガードはあっという間に床に押さえつけられ、無数の蹴りと拳を浴びせられる。 「やめて! もうやめて……っ!」 セーラが悲痛な声を上げて許しを乞うが、興奮したジェシーたちの耳には届かない。セーラはただ、目の前で繰り広げられる惨劇を震えながら見ていることしかできなかった。 「おい、この元・権力者の負け犬に、身の程を教えてやれ!」 ジェシーの合図で、生徒会の者たちがアーメンガードの制服を乱暴に引き裂き、シャツのボタンをむしり取っていく。さらにズボンまでもが容赦なく引きずり下ろされた。 白日の下、大勢の生徒たちが嘲笑する中で、アーメンガードは下着一枚の姿にまで無惨に剥がされ、床に這いつくばらされた。かつての威厳など欠片もない、惨めで屈辱的な姿。 「……やめろ……見るな……ッ!」 アーメンガードは屈辱に顔を歪め、ボロボロになった布切れで必死に身を隠そうと身悶えした。 散々おもちゃにして飽きたのか、ジェシーたちは下劣な笑いを浮かべて吐き捨てた。 「次逆らったら、その最後の1枚も引っぺがして、晒し者にしてやるからな」 高笑いと共に去っていくジェシーたち。 冷たい床に残されたアーメンガードの元へ、セーラは静かに歩み寄り、自分の上着を脱いでその震える肩にそっと掛けた。 ◇ ——その夜。 ミンチンの不在の部屋で、一人ベッドに横たわっていたセーラの脳裏に、昼間の光景が何度もフラッシュバックしていた。 大勢の前で下着姿にまで剥ぎ取られ、床に這いつくばるアーメンガード……かつて自分を冷酷に見下していたアーメンガードが、無惨に尊厳を砕かれ、屈辱に顔を歪め、涙を滲ませていたあの表情——。 「ふぅ…」 唐突に、セーラの口から熱い吐息が漏れた。 自分を助けようとしてあんな目に遭ったのだ。同情や申し訳なさを感じるべきなのに。それなのに、なぜかセーラの下腹部の奥深くで、どろりとした甘い熱が渦を巻いていた。 (どうしよう……。。。) かつての加害者が無惨に蹂躙される姿に、理屈ではない、暗くて歪んだ興奮を覚えてしまっていた。身体の奥が疼き、オメガ特有の甘いフェロモンがじわじわと部屋に満ちていく。 この火照りを、どうにかしなければ? 冬休みの間、この甘い熱を優しく受け止めてくれた『あの温もり』がどうしても欲しくなったセーラは、ふらつく足取りでベッドを抜け出し、屋根裏部屋の階段を下りてベッキーの部屋へと向かった。 薄暗い廊下を抜け、ベッキーの部屋の扉の前に立つ。そっとノックしようと手を伸ばした、——その時だった。 「……大丈夫よ、ロッティ。私がついているからね」 「ベッキー……怖いよ、僕……」 扉の向こうから、すすり泣くロッティの声と、それを優しくあやすベッキーの甘い声が聞こえてきた。 昼間の恐怖から逃れるように、ロッティはベッキーの腕の中に身を委ね、慰められていたのだ。 伸ばしかけたセーラの手が、空中でピタリと止まる。 魔法の国は、もう終わってしまったのだ。ここにはもう、自分だけを受け入れてくれる甘美な孤独はない。 身を焦がすような熱と疼きを抱えたまま、セーラは音を立てないようにゆっくりと後ずさりし、誰にも知られることなく、暗い廊下の奥へと身を引いていった。 つづく 51話グラレコ https://fujossy.jp/fanarts/8198 — バレンティーヌスの祭日。いつも優しいベッキーが、すごく真剣な顔をして(ロッティ)の頬を包み込んでくれた。 「僕が責任を取る。君とお腹の子の責任は、全部僕が取るから」 ありがとう、ベッキー。君が一緒にいてくれるなら、僕はもう何も怖くない。 次回、A-Little-Prince 第52話。 去年の祭日に、セーラにチョコを渡していたアーメンガードのことなんて……もう完全に吹っ切れたよ!

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