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11.魔力についての授業、お題は体で!?※R18描写なし

「……、以上が、基本的な魔力の性質だ」  魔力は、体力とよく似た性質らしい。説明を聞いたセナが思ったのはそんな事だった。この世界の一般的な人間は誰しも体内に魔力を持っている。ただし、魔法が使えるかどうかはまた別の話らしい。魔力は使うと減り、時間経過の自然回復、食事や薬に含まれる魔素の摂取、睡眠などで回復する。体の中に貯めておく魔力の量は上限があり、それ以上に魔素を摂取してしまうと魔素酔いという体調不良を起こす。食べ物や薬に含まれた魔素の内、どれくらいが魔力として吸収されるのか、どれくらいを上限として溜めておけるのかは、身体の成長とともに勝手に増える分以外にも鍛錬で増やすことができる。  それに加えて、セナは体内に取り入れる物全てから魔素を取り込み魔力に変換できるという魔力変換効率スキルを持つ。このスキルは異世界転移特典ではなく、セナ個人についた先天的スキルらしい。極端に言えば、魔素濃度の濃い場所に行けば空気からも魔素を取り込み魔力の回復ができるという事だ。この世界の人間にもごく稀に与えられ、先人が色々試したところ、精液に一番魔素が濃く含まれており変換の効率が良いのだとか。 「そういう訳で、まずはステータス画面から魔力、マジックポイントの上限量を見てみろ」  ギルドマスターの部屋の応接ソファに座ったセナは、メモ代わりのノートを片手にロコの講義を聞いていた。セナが魔素や魔力の事を聞きたいと言っていた、とゼガイからクエスト帰りのロコに伝えてもらったところ、さっそく次の日からお呼びがかかった。いつものローブ姿ではなく、今日は黒いシャツに黒いスラックスの普段着姿だった。  セナが異世界転移者であることが広まるのを少しでも避けるため、ギルドマスターの部屋を借りての講義となる。ロコは意気揚々とやってくると基本的なことから順にセナに説明し始めた。 「ステータスオープン」  ステータス画面を呼び出し、先頭辺りの基本情報を眺める。マジックポイント、いわゆるMPと呼ばれる部分には50/???と書かれていた。最初にステータス画面を見た時にも視界には入っていたが、自分のスキルの話が中心であったし多量の情報が羅列しているため気には留めていなかった。 「???ってなってます」 「……、俺の鑑定スキルが未熟なのかと思っていたが、お前から見ても数値は見えないんだな?」 「はい」 「なら、お前の魔力上限はないんだろうな」 「ない!?」 「そうだ。回復した端から消費していくのだから、そもそもあってないようなものだが」  じっくりと眺められ、多分ロコが鑑定スキルを使ってセナのステータスを見ているのだろうと分かっていても居心地が悪い。顔の整った人間にまっすぐ見つめられるのは、どことなく気恥ずかしく落ち着かない。 「なら、どんなにたくさん吸収しても魔素酔いにはならない?」 「恐らくは」 「へー……」 「ごく稀にそういう人間はいる。他の異世界転移者がどうなのかは、ミルラが資料を持って帰ってくれば分かるかもな」 「……、最短でもあと3日。向こうで問題が起きればもっとかかるな」  そう言ってから、ロコは執務机で資料を読んでいるゼガイを見る。書類に顔を向けたまま視線だけでこちらを見返したゼガイは、すぐに視線を外して答えた。ギルドマスターの仕事は事務仕事が多いらしく、さっきから書類を読んではサインをしている。 「問題とは?」 「転移者の引き渡し要請とか、」 「断固抗議する」 「お前は後見人じゃねえだろうが」  間髪入れずに強い口調で言い放ったロコに、ゼガイが呆れた声を出す。セナとしてはこの世界の数少ない信頼できそうな人間が反対してくれるのは有り難い。引き渡された先で、この安全な生活が保障されているとは限らないからだ。  そもそも、この世界の仕組みや常識を知るごとに、自分のスキルがどれほど他人にとって有益で、自分にとっては時に命を脅かす可能性すらあるものか実感した。  ゼガイが、あるいは最初に出会ったクロエネダのメンバーに悪意を持った人間だったなら、セナはすでに命を落としていたかもしれない。魔物に襲われていたところを放置されていたかもしれないし、その場でクロエネダたちの手で殺されていたかもしれないし、スキルを利用して体液を絞られたり金蔓にされていたかもしれない。そして、冒険者を生業としている人間には、冗談抜きで顔色一つ変えずそういったことを実行できる者がいる。しかもそれが割と多いのだからセナにとっては恐怖でしかない。  そのどれもを回避できて、なおかつこの世界で生きていく術ができるまで保護してくれるというのは非常にありがたい事だった。 「ゼガイさんだって、後見人であるにもかかわらずセナを手籠めにしたと聞いたが?」 「1回目はギルドマスターとしての責務、2回目は人命救助だ。なあセナ?」 「え……、あ、はい、ソウデスネ」  おどけたウインクを送られても、セナは片言で頷くしかない。1回目だって2回目だって、ゼガイは途中から明らかに楽しんでいた。グズグズに蕩かされてチンポに負けた自分が言えた義理ではないが、あれは決して責務や人命救助のためだけの行為じゃなかった。思い出すだけで腰がソワつくので、頭の中でモザイクをかけて思い出を抹消する。 「……で、ステータスアップはどうだったんだ?」 「しっかり上がってたな。効果は半日~1日。HP、MPから始まって攻撃、防御、回避、スキルにもブーストがかかった。疲労回復効果もあったな」  体液に含まれる魔力の量だとか、ステータスの上昇率と体液の量の関係だとか話し始めて、セナは聞き流しながらロコが持ってきた資料の本を手に取った。子供向けの、基礎的な魔力の仕組みと魔術の本だった。ステータス画面を開き、未開花スキルの所に視線を落とす。 「えーと……」  日々の行動以外に魔道具を使用するだけでも、魔法を使っている経験値はもらえるらしい。以前はほぼうっすらとした文字の輪郭しか見えなかったいくつかが、視認できるようになってきた。 「水魔法……、風魔法……?」  どうやら水と風の魔法のスキルが開花する可能性があるらしい。本を捲って水の初級魔法の欄を見る。水が出るだけの魔法がすべての基礎となるようだ。好奇心から試してみようと指先を上に向け、初級魔法の所に書かれてある詠唱を行ってみる。書かれてある文字は日本語ではないが、読めるので問題ない。ただし物慣れぬ詠唱なので小声でぶつぶつと呟くだけだ 「水のエレメントよ、我が魔力の元に集え。アクア、っぅええ!?」  ひゅう、と指先から何かが抜けるような感覚がして、それが多分魔力という物なのだろうと思った時には目の前に水球が浮かんでいた。思っていた以上に大きな水球はすぐさまセナに向かって落下し、弾けて水浸しにした。 「ぉぶっ!!うぇッ……!」 「セナ!?」 「何してんだお前さんは」  頭から突然水を被って噎せ返るセナに、話に夢中になっていた二人が振り返る。服も膝の上の本も水を含んでびしょぬれになっていた。勿論の事、座っているソファも床も水浸しだ。 「魔力のコントロールもできないのに魔法なんか使ったらそうなるに決まってるだろう」 「いやその……好奇心で……すみません、ソファが」 「水は拭けばいいが。お前さんはステータスちゃんと確認しとけ」  ゼガイが部屋を出ていくのを見ながら、セナは再度ステータスを開く。さっきまで50あったMPは、25にまで減少している。 「25まで減ってる」 「魔力の制御をせず一気に放出したからだろう。驚いて集中が途切れたから消費は半分で済んだし、水もそれぐらいの量で済んだだけだ。もしそのまま継続していれば、この部屋全体が水浸しだ」  すぐに戻ってきたゼガイから大きなタオルを受け取り、魔力のコントロールから始めなければならないのだと実感した。未熟であるからこそ、持っている魔力を総動員して魔法を発動してしまうらしい。 「すみません、ほんとに」 「まあよくあることだ。あんまり気にすんな。こっちはやっとくから、とにかく着替えてこい」 「はい」  水が滴る本をゼガイに渡して、セナは自宅で着替えようと部屋を出る。受付嬢やギルドにいた冒険者たちの好奇に満ちた視線を感じながらも素通りし、ギルドを出てすぐ裏にある自宅へ向かった。ついてくるロコが、指先に小さな水球を浮かばせながら言う。水球は重力に負けて落ちることもなく、ロコの人差し指の上に浮遊していた。 「コントロールはイメージだ。どのくらいの規模で魔法を発動するか、明確にイメージして詠唱するといい」 「何も考えずに唱えてました」 「……、体内の魔力を全部使っていいと言ってるようなものだ。魔力が減れば自然と集中力は途切れて魔法も途切れるが、運が悪ければ死ぬぞ」 「気を付けます……。あれ、ロコさん詠唱は?」  とにかくコントロールから始めなければならないのだと痛感した。魔力を制御せずに魔法を使えば、消費も規模も無尽蔵だ。日常的に魔法を使うなら、しっかりコントロールできるように訓練する必要があるだろう。 「俺は詠唱キャンセルのスキルを持っている。その分魔力の消費が高いが、各魔法のスキルを持っているから今のところ相殺されている」 「そういうのもあるんですねえ」  ギルドの建物に沿って裏手に回り、自宅に辿り着く。勝手知ったるとばかりにロコが今のソファに座るのを横目に、セナは寝室で服を着替える。生成りのシャツにカーキのカーゴパンツで戻ってくると、浴室の扉前に置いたカゴの中に濡れた服を放り込んだ。 「少し練習してみるか」 「いいんですか。夜にクエストがあるんでしょう?」 「ああ。だがまだ時間がある」  ロコの隣に座ると、手を出せと言われて右手を差し出す。掌を上に向け、手の甲にはロコの手が添えられた。 「目を閉じろ。体の中の魔力の流れを実感できるか?」  言われるがまま目を閉じてみるが、これまで魔力の流れなどなかった世界にいたセナが急に実感しろと言われてできる物ではない。 「……、わかりません」 「俺から少し魔力を流すぞ」  じわ、とロコの手が温かくなる。触れた手の甲から染み入るようにセナの手に伝わり、そこから手首、腕、肩辺りまで暖かさが流れてきた。肩からは一気に全身へ広がり、これが魔力の流れかと一度気付けば、追いかけることは何とかできるようになる。 「分かるか?」 「何とか……」  気を散らすとすぐに分からなくなってしまいそうな感覚だが、ロコが微量の魔力を絶え間なく送り続けてくれているおかげで見失わずに済んでいる。しばらくの間追いかけて確かめていると、魔力は体中を循環し最終的に下腹部の辺りに集まっているようだった。 「全身を巡る魔力を手の先から少し先に集める。それから、指先程度の水の塊をイメージする」 「は、はい……」 「詠唱を」 「水のエレメントよ、我が魔力の元に集え。アクア……!」  さっきと同じように指先から何かが抜けるような感覚はするが、明らかに量が少なかった。恐る恐る目を開けると掌の上に小さな水の塊が丸く浮かんでいる。球形を保った透明のそれは、ゆらゆらと水面を揺らして窓からの光を反射している。 「おわ……できた…?」  集中を途切れさせないよう、小声で言うセナにロコは満足げに頷く。一瞬そちらに視線をやった瞬間、水球が大きくへしゃげたので慌てて意識を戻した。 「まあ上出来だろう。今度はそれを吸い取るようなイメージで手を握れ」 「はい……っ」  言われた通り、手のひらに水球が吸い込まれるのを思い浮かべながら掌を握り込む。目の前で本当に水の塊は掌に吸い込まれ、跡形もなく消えてしまった。 「消えた……」 「魔法は放つだけじゃない。放つ規模の調整や発動前に消すことが出来て初めてコントロールできているという事になる」 「わかりました」 「ただ、具現化した魔法は消したとしても魔力が体に戻ってくるわけじゃない。使い過ぎは禁物だ。特にお前はな」  ステータスを開けば、MPが15に減っている。あんな小さな水を出しただけで10もMPを消費してしまうのであれば、鍛錬を繰り返しスキルが開花するまでは不用意に使うことは避けた方がいいだろう。 「はあ~~……、これは疲れる」  怠くなった体をソファに預けて、セナは大きくため息をついた。脱力感やめまいはまだないが、疲労感が強い。今日はゆっくり休息をとった方がいいだろう。 「この程度なら慣れれは造作もなくなる。魔力は使えば使うだけ鍛錬になる。無理せず続けるといい」 「はい、ありがとうございます。ロコさんて冒険者になる前は先生でもしてたんですか?」 「……どうしてそう思う?」 「だって、魔力なんて全く触れてこなかった俺に分かりやすく説明してくれるし、最初に会った時もイロイロこの世界の事を教えてくれたじゃないですか」  考え込むような顔をするロコが、ジッとセナを見る。最初に会った時のように、観察する人の視線だ。温度のない、大正の全てを見通さんとする視線。居心地が悪くなって、余計なことを聞いたかもしれないと冷汗が滲む。 「両親も兄弟も、魔法関係の仕事をしていてな。兄が王立の魔術学園で教師をしているから、やはり兄弟なのかと思ってな」 「へえ。じゃあご家族みんな魔力が強いんですか」 「そうだな。両親はトストアル王城で近衛魔術師だし、姉は王立の魔術研究所で働いている」  それはいわゆるエリートというものではないのだろうか。言われてみれば、服装の価格帯などもロコは他のメンバーに比べて上質なものを身に着けていた。魔法が編み込まれていたり魔石が使用されているからかとも思っていたが、裕福な家庭に育ったのも要因の一つらしい。 「それでなんでロコさんは冒険者に?」 「俺は魔法自体よりも魔道具の開発に興味があってな、一つは素材の採集に最適だからだ」 「素材」 「魔道具についてる魔石。魔石から魔力を引き出して魔法を発動させる特殊な回路。そういったものを作るのに、ダンジョンでの素材がいる」  確かに、セナに与えられた家に初めて来たときも、ロコは家の設備を色々見て回ってはぶつぶつ言っていた。家の鍵や水道、冷蔵庫、シャワーまで逐一調べては発動させ、興味津々で見分していたのを覚えている。 「それに、冒険者を続けているといろいろな発見があっていい。新しい魔道具のアイデアや、お前みたいな者に会うとかな」 「俺ですか?異世界転移してきた人ってことですかね?」 「そうだ。異世界転移者など一生の内に会える人間の方が少ないはずだ。俺の家族だって、実際に会った者はいない」  実際に起こる現象とは言え、早々頻繁に起こることではないと言われていた。田舎にいる人間なんかは只のおとぎ話だと今でも思っているらしい。 「そこで、だ。セナ。俺はこの幸運を逃す手はないと思っている。お前のスキルを研究したい」 「……それは」 「手始めにステータスアップの体液をもらいたい。どれくらいステータスが上がるのかを調べたい」  ロコはゼガイにも詳しく聞いていた。異世界転移者やセナのスキルにも興味を持っていた様子だから、ロコの希望はセナの予想の範疇ではあった。 「いやあ……それは、ミルラさんの資料を待ってからでもいいんじゃ……」 「実際に試してみるのが一番早い。今日は夜にクエストもあるし、試すにはちょうどいい。そうだな……、気が乗らないというなら、救助代、教師代として、というのはどうだ」  気が乗らない様子なのを察したロコが、痛いところをついてくる。この世界の知識が少ないセナをダンジョンから救い出し、聞かれるまま知識を与えてくれた礼はしなければならないと思っていたからだ。 「……わかり、ました」 「助かる。よし、ならさっそく頼む」  頼む、と言われてはいどうぞ、とできる物ではない。だがロコの方は躊躇いもなくソファの前の床に膝をつくと、セナのズボンに手を伸ばしてきた。手際よくウエストのボタンを外し、スラックスを引っ張ってずり下ろそうとされる。 「腰を上げろ」 「は、はい……。ロコさんは、抵抗ないんですか、その……」 「俺は今まで男の生殖器に触ったことはないが」  言われた通り腰を浮かせたセナのスラックスと下着をずり下ろしたロコは、萎えたままのセナのチンポを見つめながら言う。ゼガイもミルラも抵抗なくセナに手を出してきたのでこの世界では同性同士の性的な接触も当たり前なのかと思っていたが、ロコはそうではないらしい。

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