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第4話(※)

志水日晴鳥(しみずひばり)にとって、山女惺厳(やまめせいがん)とは単なるクラスメイトにしか過ぎなかった。 教室の中では常に静かで、空き時間は本を読んでいる。昼休憩はどこかへ行くのか教室にはいない。 自分が大声で騒ぐと迷惑そうな顔でよくこちらを見ていた。誰と群れるわけでもない、ずっと体温の冷めた男だと志水は思っていた。お互いに苦手なタイプなのは話さなくても空気でわかっていた。 なのに雑踏の中で山女を見つけ、思わず声をかけてしまった。 クリスマスの人混みの中、ひとりぼっちで歩いているのを見たせいかもしれない。 ひとり寂しいとほのめかすと家に招き入れてくれた。はっきりいって想定外だった。その上自業自得とは言え、あの後あんな目に遭うとはそれこそ考えにも及ばなかった。 一番想定外だったのは他でもない、今二人のこの状況だ。まさか、こんな風に体を寄せ合うクリスマスを過ごすことになろうとは――。 性的虐待されたことはないけれど、男に馬乗りになって殴られたことは何度もあったから、はじめ山女に組み敷かれた時は体が震えた。攻撃されているわけでもないのに息がおかしくなりそうだった。 だけど、山女は優しく何度も撫でてくれたし、キスしてくれた。冷たくなってた自分の指先が少し温かくなっていくのがわかった。それに気付いた途端、今度は恥ずかしさが沸騰してきて、触れられる度逃げた。 山女はそれでも優しくて、たくさん待つ時間をくれた。 苦手だと思っていた男は、自分と似た環境に育って、今はおんなじ、ひとりぼっち。 ひとりになったと泣く山女は、学校では一度たりとも見たことがないくらい、弱々しくて。それが本当の姿なんだと思うと、守ってやりたいと思った。 無力な自分が、初めてそう思った相手だった。 山女は番犬のように志水の命令を厳正に守り、今は解放された反動で好物の餌でも貰えたかのように志水を味わっていた。首筋に、肩に、胸に、幼いこどもの独占欲みたいな跡をつけてまわる。強く吸うたびに湿った声で志水は鳴いた。胸の尖った部分を執拗に舐めると、がくがくとその体は震えた。 「んっ……、い、たい」 臍や薄い腹を舐めると、志水の中心は熱を持ち、硬くなった。そこに触れてやると短い悲鳴のような声が上がった。山女は志水の耳朶を甘噛みし、大きな手の平と長い指ででそこを強く刺激した。強く握りながら擦り上げると先端はいやらしく濡れた。 「惺厳っ……、強……っ、ん」 志水は力ない手で山女の腕を押す、羞恥心が拭えないらしく、顔を真っ赤にしてかぶりを振る。 「だめ……、だ、め、出るからぁ……」 志水の身体は刺激にあまりにも弱くて、山女の自覚のない支配欲はますます高まっていった。すぐに達してしまわないように根元を握り、今度は口に志水のものを含んだ。 「う、嘘っ、やめ……っ、惺厳っ、だめ、だめ!」 ビクビクと志水の内太腿が痙攣している。柔らかいそれが山女の頰に触れ、山女は妙に興奮した。 舌で先端を執拗に弄り、少しだけ口に含んでみたり、全部を飲み込んでみて強く吸い上げたりと山女は志水を追い詰めていく。 「ああっ……だめ、イくっ、イきそうっ、やだっ」 「いいよ、出して」と山女は短くそう告げると大きな舌でベロリと裏側を舐め上げ、吸い上げるように全てを口に含む。志水の身体がビクビクと震えて、その味が口の中に広がる。その時山女の中にあったのは、嫌悪感ではなく完全なる征服感だった。 山女にとっては初めての感覚と感情で、初めて知る自分自身に酷く興奮してしまったらしく、その股間を見て怯んだ志水が小さく悲鳴をあげた。

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