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第12話
18の誕生日以降、頻繁に自宅へやってきていたサカキがぱたりと現れなくなった。
会いに来なくてせいせいしたけれど、最後に別れたときあまりにも寂しそうだったことはずっと気がかりだった。
夏の大会へ向けて部活に精を出す友人を見送り、葉太はいつものように自転車へまたがって一足先に下校した。
このところ、風邪をひいたのか体調があまりよくない。
(風邪とは違う気もするけど、疲れてんのかな?)
高校から延びた坂を自転車で下っていく。坂の桜は、青々とした緑がしげっていて、しだいに強くなる日差しをきらきらと反射する。
「あぶねっ」
空を見上げたとき、ふいにふらついてしまい、自転車ごと転倒しそうになったが、持ち直した。
ゴールデンウィークがあけ、葉太は久しぶりに龍神を祀る神社へ立ち寄ることにした。
連休中、家でいつもどおりに過ごしていたけれど、サカキが姿を現すことはなかった。
(神棚に話しかけても返事ないし)
なら勝手に結ばれた、番の契約もなくなったということでいいのだろうか。
(あれだけ迫ってきてたのに、急に諦める理由がわからん)
最後にサカキと会った日、祖母に龍神を祀る理由やサカキのことを聞いたものの、『お世話になってるんやから、大事にせなあかんよ』とはぐらかされるだけだった。
T字路を右へ曲がって池の前にある龍神神社へ向かうと、途中で工事を知らせる看板が立っていた。その奥には工事区画を示す白い柵があり、進めなくなってしまった。
(どこか、入れそうな隙間……)
看板の前に自転車をとめ、神社へ行ける道はないかと探していると、仕切りの中から作業服の男が出てきた。
「ダメダメ、ここは立ち入り禁止。工事車両も来るから、勝手に入るな」
「そこの神社にお参りしたいんですけど。いつまで工事するんですか?」
「神社なら他あたってよ。ここ、もう壊して工場になるんだから」
初めて聞く話だ。作業着の男が葉太のいる工事区画出入口の脇を指さす。そちらを見ると、確かに企業名と工場建設の工期が書いてある。
「神社、なくなるんですか?」
「そうだよ」
「何で急にそんな」
作業員はめんどうくさそうに、帰らずに食い下がる葉太を見る。
「詳しいことは知らないよ。工事に来てるだけだから。お祓いを明後日にやって、池の埋め立てから始めるはずだ」
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