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第13話

 社がなくなると、サカキはどうなるのだろう。社から通じる異空間があったので、きっとそこでは暮らせるはずだ。 「あっ、はいお疲れ様です」  作業員はスマホの着信に対応し、看板の向こうにできたプレハブの仮設事務所の方へ行ってしまった。 (もうつきまとわれなくてすむかもってこと?)  社がこの世界とサカキの世界をつないでいるのなら、きっともうサカキは来ない。祖母の家にある神棚はどうかわからないが、社を通ってサカキの世界へ行くことはなくなりそうだ。 (これで番の契約も、帳消しってことで)  そうは思うけれど、今、サカキはどうしているかが無性に気になってしまう。  道をさえぎる看板の向こうへ顔を出し、作業員が向かったプレハブ小屋をのぞき見る。まだこちらに背を向けて、電話中だ。 (覚えのない約束なんだし、律儀に守る必要なんて……)  思うけれど体は勝手に看板の向こうへ忍び込み、作業員の目を盗んで池のほとりを走り始めていた。池を埋め立てる準備のためか、周囲を覆っていた低い柵は全て取り外されている。池の周りは植木もないので、すぐ池の水にふれられるほどの近さだ。 (会うといつも、嬉しそうだったし)  サカキからのキスを思い出してしまい、頭を振って消そうとすると、視界がぐらりと揺れる。まためまいが起きた。 「わっ」 「おい、勝手に入るなよ! 危ないって、言っただろうが!」  作業員にばれてしまった。大声を聞きながらも、葉太はサカキの社をめざして駆けだした。めまいの残る視界をどうにか保ちながら、走ったけれどやはり具合はよくなかったらしい。 「危ない!!」  作業員の制止の声が聞こえたけれど、葉太は自分で止まれなかった。  策の撤去された池の方へ向かってぐらついた瞬間、目の前が回って見えたあと、どぼんと水へ沈んでしまった。 (これ、前にも……)  池に沈んでいく中、葉太はあのときのように、こちらへ向かってくる誰かを見た。

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