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第22話 満月の衝動を、恋人が受け止めてくれた夜

 その日の夜は、ご馳走を囲んでパーティーとなった。  クリスマスは過ぎてしまったが、クリスマスの料理が並んでいる。  高瀬の親戚も呼ばれたようで、成瀬は何人かに紹介をされた。  恋人として紹介をされるのはなんだか恥ずかしいが、とても嬉しい。  満月が顔を出し始めると、高瀬の様子が変わった。 「臣、大丈夫か?」 「ふぅ……あぁ……」 「シンさん…………」  龍樹が声をかけ、成瀬に目配せをする。  成瀬は高瀬の背を撫でながら、レオニアを見た。  体の弱いレオニアの方が、今は元気そうだ。  成瀬の撫でる手に合わせて高瀬の息は整っていく。 「神谷さんを、待ちたい……」 「そう……ですね……」  仕事終わりに来ると言ってくれた神谷は、少し遅れていた。  高瀬も成瀬も休みをとっているから、きっとそのせいだろう。  高瀬はその責任も感じているようだ。 「わかった、二階の部屋は整えておくよ。成瀬くんと一緒なら大丈夫だろ。神谷さんに会えたらすぐに来るんだ。今はきっと消耗が激しくて辛いだろ」 「悪い……わかった……」  パーティー会場の隅に座り、耐える高瀬を成瀬は撫でる。  どんどんと寄りかかってくる体を支えながらも、呼吸が安定してくるのを感じて少し安心した。  高瀬がウトウトとし始めた時、神谷が走り込んできた。 「シンシア!!」  成瀬に寄りかかる高瀬に、神谷は抱きついた。  高瀬も神谷の腰に腕を回して、抱きつく。 「戻って、きました……」 「うん。良かった……本当に……」 「神谷さんの声……父さんみたいで……」  高瀬の声が震える。  神谷は柔らかく笑いながら、胸に抱き締めている顔を覗き込んだ。 「そうだったんだ……。でも、もう僕じゃなくて大丈夫でしょ?」  高瀬の涙を拭ってやると、鼻を啜りながら頷いた。  ピョコンと虎の尻尾と耳が現れる。 「今日は、二人でゆっくり眠りなさい」  そう言って、高瀬の額にキスをした神谷は、成瀬に目線だけ送って、高瀬を預けた。 「あ、支店長、ありがとうございます」 「それは、僕もだよ。ありがとう、成瀬くん。年明けは頑張ってね」 「はい!」  高瀬を支えながら、成瀬は大階段を上がっていった。  高瀬の部屋は、二階の一番奥だ。  廊下の窓から、満月の光が差し込んでくる。  落ち着いていた高瀬の息が上がってきて、成瀬は優しく撫でる。 「ケン……mignon……」 「はい、mignon……」  はぁ、と高瀬が下を向いて息をつき、顔を上げた。  その目は綺麗な金色で情欲に濡れている。  成瀬は引き込まれるようにキスをした。 「んっ……はぁ……シンさん……俺……」 「…………あぁ、部屋に行こう……」  一番奥の部屋の扉を開け、閉め切る前に強く抱き締められ、唇が合わさった。  半獣化をしているのに、高瀬は怖がっていない。  成瀬は信じられていると感じて嬉しくなる。 「んはっ……ぁ……」  どんどんと服を脱がされていく。  身体中を弄られながら、ベッドに沈み込められた。 「シンさん……」 「怖いか?」 「mignon……」 「あぁ、俺も、怖くない……ケンなら、大丈夫だ……」 「はい、シンさんも脱いでください」  高瀬の服に手をかけ、全ての服を脱がせた。  部屋は月明かりのみで、薄暗いが、高瀬の体は綺麗に満月の光を浴びていた。  尻尾は揺れ、耳も興奮して伏せている。  しかし、情欲に染まる顔は優しく成瀬を見ていた。  成瀬は高瀬に手を伸ばす。 「シンさん、気持ちよくしてください」  そっと、成瀬自身に触れて、柔らかく擦ってやった。  身じろぐ成瀬の顔は快感に溶けていく。  傷付けていない。  快感を与えられている。  成瀬の反応に興奮しながらも、高瀬は安心していた。 「あぅっ……も……イク……シンさん……あぁっ」 「ぐっ……うぅっ……はっ……」  成瀬が背を逸らして欲を吐き出し、高瀬は後ろから抱きしめるように成瀬の中で達した。  何回目だろうか、何度も対位を変えている間に、随分と月の光の位置が変わっている。  息切れをしながら、成瀬が高瀬を振り返る。  その目は、続きを求めていると、高瀬は知っている。  ゆらりと期待に尻尾が揺れた。 「あぁっ……もっと……奥に……ください……」 「あぁ……いくらでもやる……」 「っ……気持ち良い……」  いくらでも……  言葉通り、成瀬を満足させられそうだ。  高瀬は傷つけないように様に力を抑えて、腰をすすめた。  今までは半獣化した衝動を必死に抑え込んできていたが、成瀬には抑えていたら相手が務まらない。  力加減だけは気をつけて、成瀬が求めるままに互いを貪った。 「……もう……無理……」 「ふっ……満足できたか?」 「はい……シンさんは?……落ち着きました?」 「あぁ、ケンが可愛いからな」  高瀬は成瀬の頬を撫でて軽くキスをする。  浅い呼吸の成瀬は多少苦しそうに応え、幸せそうに笑った。  満月の衝動なんて、もう、とっくに無い。  それくらいに激しく抱いた。  それでも、成瀬は笑っている。  高瀬は、初めて満月の夜を、成瀬と共に過ごせたことに安堵していた。  満足をして笑う恋人を抱きしめ、満月の光ではなく、朝日を感じながらようやく幸せな眠りについた。

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