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第25話 帰省中の新幹線で性の悩み相談が始まった
新幹線のプラットホーム。
高瀬と成瀬、ルルと龍樹が並んで立っていた。
「ケンちゃん、荷物少ないわね」
「遠征慣れしちゃって、最小限にしてます」
ルルのスーツケースと違い、成瀬は少し大きめのショルダーバッグ一つだ。
「遠征?何かスポーツをやってたのかい?」
成瀬の答えに龍樹が引っかかったようだ。
「バレーやってました。結構強いチームだったんですよ」
「へぇ、だから円陣だったんだ」
「何それ?」
ルルが尋ねたところで、新幹線の扉が開いた。
ゾロゾロと乗り込む帰省客に合わせて、四人も乗り込んでいく。
「円陣組んだんですよ。シンさんの家で」
成瀬は指定席の番号を見つけると、ルルのスーツケースを持ち上げるのを手伝い答える。
「なんで?なんか試合でもやったの?」
結構緊迫した状況だったのではないのかと、ルルは不思議そうにスーツケースを押し込んでいた。
「ハグだよ。ケンが円陣て言っただけだ」
高瀬は一つ高い位置からスーツケースを押し込んだ。
「だって、なんか一体感があったから」
成瀬はそう言いながら、座席へ座ろうとして、思いつき、レバーを踏む。
クルリと回転させた座席は、四人がけのボックスシートになった。
どうですかと高瀬に笑いかけたら、多少嫌そうな顔が返ってきて苦笑する。
ルルは喜び、龍樹は無表情だった。
「でも、いいわね。一体感。たっちゃんも一緒にやったんでしょ?」
「あぁ、成瀬くんに家族全員大好きって言ってもらった。……mignon」
最後の一言に、龍樹はニッと口角を上げた。
成瀬は口を閉じる。
恥ずかしさに顔が熱くなった。
「家族……?私は?」
ルルは高瀬の前にズイッと体を寄せて、少し膨れたような顔する。
ようやく普通に触れ合えるようになった高瀬に触れてもらいたいのだろう。
ねだるような仕草は可愛らしいと、成瀬は思った。
「あーもう、お前もだよ、豪」
諦めた顔で高瀬はルルを抱きしめる。
嬉しそうに笑うルルは、龍樹に引き剥がされた。
「豪は僕の恋人だ。長いハグはやめてくれ。あと、僕も抱きしめてほしい」
「なんでだ」
龍樹の追加の言葉に、高瀬は呆れる。
成瀬も負けられないと、声を上げた。
「そ、そうですよ。龍樹さんはダメです。シンさんは俺の恋人なんで、キスもやめてください」
「え?」
ルルの表情が固まり、成瀬はマズいと口をつぐむ。
龍樹が無表情のまま、指で眼鏡を直した。
ルルさん、怒ったかな……。
「またやったの?」
ルルは呆れたように龍樹の腕を引っ張る。
「挨拶だ」
「嘘、ここは日本です!」
「またってなんですか……」
「龍樹はキス魔だ。気をつけておけ」
「失礼だな。臣と玲央くらいにしかしない。この前は成瀬くんにもしたけど」
「たっちゃん、それがキス魔よ……」
成瀬は独特な空気感の三人に、口を挟めなくなった。
旅行は始まったばかりだが、波乱の予感がする。
新幹線のトイレは少ないので、占領したら悪いと思いつつ、成瀬は腹の痛みに耐えていた。
コレットさんに貰ったご飯、やっぱり冷凍しておくんだったな……。
なんとかトイレを出て、座席に戻ると、遠くから頭ひとつ出ている高瀬がすぐに成瀬を見つけ、心配そうに見つめてくる。
成瀬は笑顔を作りつつ、グルリと鳴った腹を抱えてまたトイレに戻って行った。
「ケン……」
「臣のせいじゃないか?」
「は?」
「臣、今日も寝不足だろ」
「………………」
「あー、ちゃんとケアしてあげないとダメよ?結構辛いんだからあれ」
「…………悪かった、豪……」
「最近のたっちゃんは無理しないから大丈夫」
ルルは、安心してと龍樹の指に手を絡める。
そんな二人を見ながら、高瀬は昨晩の行為を思い返していた。
何度も求められたが、満月の夜と違って、応えるのには苦労した。
「はぁ~~~」
「なんだ、中出しを後悔してるのか?」
「してない。そもそも……いや、なんでもない」
「成瀬くんて、体力あるよね。結構求めてくるタイプでしょ」
「は?…………お前、もしかして……」
高瀬は満月の夜のことを思い出した。
「僕は悪くない。待ってるところに来て、いきなり始めたのは君たちだ」
「…………だからって……」
「何?」
ルルはなんのことだか察せない。二人の間のギリギリとした空気に頭を捻り考える。
「朝までいたのか?」
「満月の衝動の観察にちょうど良かったからね」
ぐぅと高瀬は唸る。
ようやく察したルルは、呆れたため息を吐き高瀬を宥めた。
「でも、あれだけ体力ある子、昨日は満足させられたのか?」
「……………………」
高瀬は無言でイライラを伝える。
「あ、良かったら、これ試すか?」
龍樹が見せてきたスマホの画面はアダルトグッズだ。
高瀬は思わずスマホを叩き落としそうになり、堪えた。
「これは僕たちのおすすめだよ。豪もかなり気に入ってたみたいだし」
「ちょ……ちょっと!たっちゃん!なんて話してるのっ!?」
ルルが慌ててスマホを取り上げ、ギリギリと拳を握る高瀬に謝った。
「でも、臣。どちらかが無理をしている行為はどちらも満足できないだろ」
龍樹の核心に、成瀬の元カノと別れた原因を思い出した。
「成瀬くんとは話をした方がいいと思う」
「それは……そうね。ケンちゃんちょっとトラウマあるし」
「あぁ…………」
二人の言葉に、高瀬は小さく答えた。
新幹線の車窓は、山並みが大きくなってきていた。
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