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第3話 共同作業で料理。いや、焼かれてる!
夕食後、気付いたらバルドのベッドで一緒に寝ていた。
蓮は、寝苦しそうに唸るバルドの声で目を覚ます。
バルドに触れれば、体温がかなり高い。
獣人は平熱が高いというが、これは苦しんでいるのだろう。
氷枕を作りに行こうとベッドを降りようとしたら、腰にバルドの腕が巻き付いた。
「どこ……行く……?」
「厨房。氷枕作ってきてやる」
「やだ……ここに……」
「すぐ戻ってくる。ボーッとした意識であまり動くな」
全く力の入っていない腕を簡単に解いて、蓮は厨房へと降りて行った。
翌朝、厨房からの音で蓮は目を覚ます。
隣で寝ているはずのバルドはおらず、慌てて厨房へ降りると、コック服を肩から引っ掛けただけでほぼ半裸のバルドが包丁を持っていた。
「何してんだよ。てかなんだ、その格好……」
バルドの腹筋をチラチラと見ながら、蓮は言葉だけは心配を装う。
「袖を通すのも難しかったから」
「もう脱げよそれ」
「裸で料理はできないだろ」
「海でしてただろ」
「厨房はまた違うんだ。神聖な感じで……」
蓮はため息を吐きながら、バルドに丸椅子を差し出す。
「何作るんだ?難しくなきゃ俺がやる。火はバルドが付けてくれ」
「そうか、それなら出来るか!共同作業だな!」
嬉しそうに笑うバルドに蓮は苦笑を返す。以前やったフニャポンの共同作業を思い出した。今日の厨房にはその食材は無いようだ。
「とりあえず、ちゃんと着ろ」
蓮は座ったバルドのコック服に袖を通してやり、ボタンをかけた。
「あぁ、悪いな」
(目のやり場に困るんだよ……)
バルドの指示で出来上がったのはカラランとゴボロのスープ。
「蓮、皮剥き下手だな……」
「野菜の皮剥きなんてしたことない」
だいぶ厚く剥かれた皮は、そのまま茹でても良いくらいに身が付いていた。
「果実は切るだろ」
「それはソムリエとして必要だからな」
バルドは違いがわからないと首を傾げつつも、スープの香りには満足しているようだ。
バルドが言う通りに調味料を入れたのだからこれは蓮の力ではないが。
「バルドが片手で作るよりは良い出来だろ」
「そうだな、ありがとな」
スープに合わせるパンは、市販品を焼くと言う。
蓮がオーブンの扉を開けると、バルドはそのまま持っていてくれと言って、小さな火を左の手の平に作った。
そして、蓮の手にかざしパンを温め焼いていく。
「まて、まてバルド!ちょっ……熱いっ!」
「えっ、いつもこんな感じで……」
「自分の手の皮と一緒にすんな!そんな高温に耐えられるか!」
「わ、悪い……」
ジリジリと焼かれていた火が遠ざけられ、蓮は手を振って熱を逃す。
とりあえず、出来上がった朝食を二人で食べる。
左手で苦戦するバルドに、蓮はスープをカップに入れてやった。
「お、ありがとう」
「いいえ」
「…………違うな」
「何が?」
「スプーンでアーンの流れじゃないか?」
「は?」
間抜けに口を開けるバルドに、蓮は細い視線を向ける。
「そんな恥ずかしいことできるか」
「誰も見てないだろ?この前は、俺が蓮にしてやったのに」
シュンと丸椅子に小さくなるバルドに、蓮はスプーンを向けた。
「ほら」
「蓮!」
満面の笑みのバルドから、蓮は目を逸らす。
「その顔やめろ」
(ときめくだろ!)
蓮のスープは美味しかったが、パンは少し生焼けだった。
それから、洗顔後のバルドの髪を梳かしてやり、着替えをさせる。
三角巾を結び直してやれば、バルドはご満悦だ。
しかし、蓮は服を脱がすたびバルドの筋肉にフンと鼻息を荒くする。
(これ、怪我治るまで我慢できるか?)
夕方、再び熱が上がって来たのかグッタリとしてきたバルドをベッドへ寝かせた。
「時間はあるのに、何もできないな」
(確かにな、押し倒しそうになるのを我慢してる)
「今はしょうがないだろ」
蓮は思っている事と別のことを話しながら、バルドに布団をかけてやる。
「つまらん……」
膨れるバルドの頭を撫でてやれば、やっぱり熱い。
氷枕が必要だと立ち上がる蓮の服をバルドは引っ張った。
「なんだよ。氷枕作りに行くんだ。離せ」
「なぁ、キスしてくれ」
「…………ダメだ」
「なんで、風邪じゃないから移らないだろ」
「俺が辛い」
「あ……俺の痛みを感じ取ってくれるのか?」
何かジーンとしてるバルドに、目を伏せ、蓮は部屋を出た。
(ヤりたいんだよ!時間ありすぎだし、ずっと二人きりだし!下だけ脱がせて勝手に乗ってやろうか!)
蓮は厨房の氷にムラムラをぶつけるようにアイスピックを刺していく。
いつもより、鋭利に氷が割れていく気がした。
(そうだ!下だけ脱がせるのアリだな)
階段を上がってバルドの部屋に戻る途中に、蓮は良いことを思いついたとほくそ笑む。
部屋に戻れば、バルドは寝ていた。
そっとベッドに近づいて、バルドの服の上から、下半身を弄る。
「んっ……」
ピクッと動くのは、男の条件反射だろう。
モジモジと動く足の間に手を滑り込ませようとして、バルドの息が荒い事に気がついた。
眉間にもシワが寄っている。
熱だけでなく、痛みもあるのだろう。
「はぁ~しょうがねぇな」
蓮は氷枕を置いてやる。
「痛いの飛んでけ~」
バルドの右手をさすりながら、そっと額にキスを落とした。
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