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第8話 オルヴァ様の未来のために!

「すっ、すみません。私はまた……」 「いや……君は『迷い子』だから、色々と考え方が違うんだろう。とても新鮮だな」 「なるほど、そうかもしれません」 「それに、王族に対してまったく物怖じせず発言するところも、すごいというかなんというか……」 「えっ? ひょっとして、まずかったですか……?」  思い返せば、さっきから俺は国王や前王妃や王子様方を貶すようなことを口にしていたような……?  ちらりとローゼン氏の様子を窺うと…………やばい、今にも死にそうな顔をしている。俺の発言なんてひとつも聞こえなかったってことにしたいって顔だ。冷や汗が、タラタラと俺のこめかみを伝う。 「……どうしよう、ごめんなさい……」 「ふっ……ぶふふ」  ——えっ? 笑ってる……!?  真っ青になっている俺が面白かったのか、オルヴァ様が口元を押さえて笑っている。ずっと深い皺が寄っていた眉間から力が抜け、目を細めて笑っている。  ただ、表情筋が上手く使えていないご様子だ。頬の筋肉を使わずおちょぼ口で笑うから、大変失礼ながらデュフフと聞こえるのだ。  これじゃ宝の持ち腐れ。表情を明るくするための顔面体操もお教えしなくては——と、頭の中でプランを立てていると、オルヴァ様が細めた瞳でこっちを見た。 「……ありがとう」 「えっ……?」 「少しだけ、気が軽くなった。僕らは何も聞かなかったことにしておくよ」 「あっ……あ、ありがとうございます」  ようやく腑に落ちた。オルヴァ様は、不遇な少年時代を送ったせいでネガティブド陰キャになってしまわれたのだろう。  こんなにも秀でて美しい容姿を持っているにもかかわらず自己肯定感は地の底で、人を避けて引きこもったり、結婚なんて無理だと頭から決めつけている。  このお方にもっと自信をつけて差し上げれば、簡単に結婚相手はすぐに見つかるだろう。  ……いや、見つけて見せる。  ようやく自由になれたオルヴァ様が、新たな人生を——それも、とびきり幸せな人生を歩めるように、素晴らしい伴侶を見つけて差し上げなくては。  俺は婚活コーディネーターだ。オルヴァ様のことをもっと深く知り、彼が愛し愛される素敵なご令嬢を必ず見つけよう。  ——大仕事だが、オルヴァ様のために頑張ろう。そうだな、まずは散髪と肌の手入れ。服装も、この世界の流行のものを取り入れて……ああ、その前にまずはオルヴァ様の理想の相手を確認しておかなくてはな。  やるべきことが次々と湧いてくる。  まずはローゼン氏にいい美容院(この世界ではなんというのだろう)を教えてもらおう。    やる気満々でローゼン氏に声をかけようとしたら——……青白い顔をしたローゼン氏から、重々しく釘を刺されてしまった。 「わたくしは何も聞いておりませんが、本来ならば、王族への不敬は厳罰に処されます。以後お気をつけください」 「……はい。すみませんでした」  口には気をつけようと、心に誓う。この世界では長生きできるように……

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