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第41話 パーティ当日の朝

 オルヴァ様の婚活パーティ当日。  昼過ぎから、すでに城の中には大勢のご令嬢とのその家族で賑わっている。  パーティが開催されるのは、城内で最も広い大広間と庭園のある最奥の棟。今、着飾った貴族が集っている場所は、城の玄関口からもほど近い場所にある広間である。  広間の入り口に置いた長机(現代で使っていた長机とは比べ物にならないほど上等なものだ)の前に立ち、俺はキラキラしたご令嬢たちに向かって声を張った。ローゼンさんをはじめとした執務官の皆さんもサポートに入ってくれている。 「招待状をお持ちの方はこちらで受付してください! プロフィールカードをお渡しします!」 「こちらにお並びくださいませ。さあ、どうぞ」 「最後尾はこちらでーす! 順序よく一列に並んでくださーい!」  前日にしっかり打ち合わせをしておいたから、若い執務官の皆さんたちは手慣れた様子でご令嬢たちを並ばせている。  ただ、行列なんてしたことのないであろうご令嬢たちは困惑顔だ。「なんでわたくしがこんな行列に!? 失礼じゃありませんこと!?」と明らかに不機嫌になっているお嬢様もいる。  俺はそっとそのご令嬢のそばに歩み寄り、胸に手を当てて一礼した。 「ウェローニ伯爵家のフランチェスカ様。本日はようこそいらっしゃいました」 「……っ? だ、誰なの? 黒髪に黒い目……まさかあなたが噂の『迷い子』?」 「左様でございます。元いた世界では、大勢の紳士淑女のご結婚をサポートして参りました」 「へぇ~……」  フランチェスカ嬢に声をかけている俺に、周囲のご令嬢たちの視線が一斉に集まる。  物珍しげな視線もあれば、この世界にはいない黒髪の俺をどこか侮蔑するような目つきもある。……なるほど、女性たちのこういう目つきに晒されるのって、男としては結構キツイ。フィオレアン王国に戻ったばかりのオルヴァ様がへこむのもわかるな……  だが、俺はただの一スタッフだ。こんな視線はなんともない。にっこり渾身の営業スマイルを浮かべると、フランチェスカ嬢が大きな目をぱちぱちと瞬き、ちょっと表情が柔らかくなる。 「高貴なご令嬢の皆様にお並びいただくご無礼をお許しください。ただ、これは確実にオルヴァ様とのお話しする時間を取るために必要なことなのです」 「本当かしら。こんなにも大勢の女性がいるなんて知らなかったわ」 「大丈夫です。しっかりと時間は設けております。こちらのプロフィールカードに、しっかりとご自身のことをお書きください。こちらをオルヴァ様はご覧になり、あなたとの会話のきっかけにいたしますので」 「ふぅん、カードねぇ」 「アピールしたい事柄があれば、しっかり書いておかれることをお勧めします。そのほうが、オルヴァ様の目に留まりやすくなるかと」  俺は手にしていたカードを恭しくフランチェスカ嬢に手渡し、ダメ押しのようににっこり微笑んでおいた。するとフランチェスカ嬢はポッと頬を染め、「わかったわよ」と言って静かになった。  ついでにこっちを見ていた女性たちにもにっこり微笑みかけておく。比較的好意的な視線を向けてくれてもらえた手応えを感じ、俺はひそかに安堵のため息をついた。ほかにも俺に声をかけてくるご令嬢の相手を適当にこなしていると、ローゼンさんにとんと肩を叩かれた。 「リオン様、今のうちに休憩をとってください。少し顔色が悪いです」 「えっ……? そうですか?」 「我々もあなたに指導を受けたとはいえ、本番ではリオン様がいてくださらないと困ります。静かな場所で、少しお休みください」 「……わかりました」  確かに、ちょっとだけ気分が悪かった。寝不足な上に、ご令嬢たちがつけている香水の匂いやひといきれに酔いかけていたのだ。  受付を済ませたご令嬢たちは、この後広間の中に設置したテーブルでプロフィールカードを書く。ローゼンさんとはしっかり打ち合わせをしているから、多少俺がいなくても大丈夫だろう。  

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