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第48話 あの日の続きとハッピーエンド※

「……はい。演技じゃありませんでした……」 「やっぱり、そうか」 「あなたの優しいところや、可愛いところに惹かれてしまいました。こんな気持ちは初めてで、どうしていいか、わからなかったんです。恋愛なんて、したことがなかったから……」 「え?」  オルヴァ様の声に動揺が滲む。俺は俯いてた顔を上げ、首を傾げた。 「閨指導を他でもやっていたっていうのは……? あれも嘘だったのかい?」 「えっと……嘘です。オルヴァ様としたのが、初めてです……」 「ど、どこからが初めてなんだ? 一緒にベッドに入ったり、口付けしたりは……?」 「それも全部、初めてです……」 「……そうだったのか」  オルヴァ様の大きな目が丸く見開かれ、拍子抜けしたような……それでいて深く安堵したような表情になった。そこらへんはまだ騙せていたってことらしい。  気まずいような気恥ずかしいような沈黙がしばしばがれていたが、ふとオルヴァ様に突然抱き寄せられ、驚いた俺は思わず息を漏らした。 「っ、オルヴァ様……」 「……そうだったのか。なおさらリオンを誰にも渡せない」 「で、でも!! こんなの国王陛下がお許しになるはずがありません! そもそも国王陛下からご依頼いただいたのに、コーディネーターの俺がオルヴァ様とくっつくなんて……下手したら処刑されてしまうんじゃ……」 「処刑!? まさか、そんなことは絶対にあり得ない」  オルヴァ様は強い声でそう断じたが、果たして本当に大丈夫なのだろうか? カイゼル様みたく、『うちの世間知らずの第三王子をたぶらかして——』って激怒されるんじゃないのか……!?  これはヤバい状況だ。オルヴァ様と気持ちが通じたとはいえ、国王の怒りを買った俺は処刑待ったなし……!!  にわかに込み上げくる恐怖に震えていると、オルヴァ様は俺の上腕に触れ、顔を覗き込んできた。 「リオン、心配はいらないよ」 「で、でも……!!」 「コンカツパーティの前に、父上と話をつけた」 「……は、話というのは?」  ガタガタ震える俺をあやすように、オルヴァ様の手が俺の頭を撫でる。その表情にはまるで動じるところがない。 「父上は、僕の十一年間を返してくださるとおっしゃった。心から愛する相手が見つかったのなら、それ以上の幸福はない。お前の好きなようにするといい、と」 「……ほ、ほんとうですか?」 「ああ、本当だ。だから」  オルヴァ様の腕がするりと離れ、流れるような動きで俺の前に跪く。  すっと持ち上げられた右手の甲にオルヴァ様の唇が触れ、決然とした凛々しい瞳が、真っ直ぐに俺を見上げた。 「リオン。僕と結婚してください」 「……けっ、こん……」 「僕の幸せを見つけてくれると言っただろう? リオンと共に生きること——これが僕にとっての幸せなんだ」 「オルヴァ様……」  嬉しくて、嬉しくて、声が震えた。    こんな、身に余るような幸せに身を委ねていいのだろうか?   お伽話のハッピーエンドみたいな幸せが、俺の人生に訪れるなんて信じられない。  信じられない。しんじられな、けど……! 「……はい……はい!! 喜んで……っ」    オルヴァ様のプロポーズに応じた俺の声は、情けなくも涙声だった。  頷くたびに俺の目からはぽろぽろと涙が溢れ、拭っても拭ってもとめどなく溢れてくる。 「……ああ、よかった。リオン、リオン……!」  勢いよく抱きしめられ、オルヴァ様の温もりに包み込まれた瞬間、どっと涙が溢れ出す。  嗚咽を堪えることも忘れ、オルヴァ様の広い背中に腕を回す。 「好きです、オルヴァ様。許されないことなのに、俺、ずっとあなたに惹かれてました」 「……僕なんかのどこに惹かれてくれたのかわからないが……そんなふうに思ってもらえるのは、本当に嬉しいことだな」 「僕なんかなんて、もう言わないでください。あなたはとても素晴らしい人です。優しくて、可愛くて……もう、本当に」  赤く火照ったようなオルヴァ様の頬に触れる俺の指先は、微かに震えていた。指先に感じるすべらかな肌の質感は、まぎれもなく現実だ。  オルヴァ様に手を掴まれ、指先にそっと唇が触れる。形のいい、弾力のあるオルヴァ様の唇からかすかなリップ音が聞こえたかと思うと——淫美に濡れた赤い舌が覗き、俺の指先に触れる。 「あっ……」 「あのときの続きがしたい」 「あ、あのとき……」  入念な下準備をしてオルヴァ様を誘ったのに、断られたときのことだろう。オルヴァ様は俺の指にキスをしながら伏せていた目線を上げ、色っぽい目つきで俺を見つめた。 「すまなかった。……あの状況でリオンを抱くのは間違っているような気がして……できなかったんだ」 「そっ……そう、ですよね。俺こそすみません、下手な演技なんかして、あなたを騙そうと……」 「いっそ騙されてしまいたかったよ。でも、我慢した」  オルヴァ様は苦笑して、ようやく俺の唇にキスしてくれた。  待ち侘びた口付けだ。俺はうっとりと目を閉じて、オルヴァ様のキスに身を委ねた。  甘く柔らかな舌が俺の口内にするりと挿入され、そのままベッドに押し倒される。四つ這いになって俺に覆い被さったオルヴァ様の手が俺のシャツにかかるや、あっという間にはだけさせられてしまう。  早急に肌を暴かれ少し驚きはしたけれど、オルヴァ様が俺を求めているという現実が嬉しくてたまらず、全身を流れる血液が煮えたぎってしまいそうなほどに、全身がカッと熱くなる。 「ん、んっ……はぁっ……」  露わになった肩口にキスが落ちる。オルヴァ様はは熱く濡れた唇で俺の肌を愛撫し、脇腹から胸へと手を這わせた。  肌の表面を淡く撫で上げられるだけで震えるほどに気持ちが良い。俺は手を伸ばして、ぎこちなくオルヴァ様の上着を脱がせ、下に着ていたシャツを引き寄せた。  すると、柔らかな舌が僕の胸の尖りを舐めくすぐる。同時に、ズボン越しにペニスを扱かれて、俺はシーツの上で身をくねらせ、溢れ出しそうになる甘えた声を押し殺した。 「……っ、んっぅ……ふっ、ぅ……ん」 「リオン。声を、我慢しないでくれ」 「で、っ……でも、こんな声、恥ずかし……から」 「だめだ、抑えないで。全部聞きたい」 「あっ……!」  あっという間に感度を上げて硬く尖った胸の尖りを吸われ、びくんと身体が跳ねてしまう。オルヴァ様はなおもいやらしい舌遣いで俺を攻め続けた。  ちゅっ、ちゅうっ……と音をさせながら俺の乳首を弄び、乳輪を舌先で辿っては先端を捏ね、同時に絶妙な力加減で俺の屹立を高めていく 「あ、はぁっ……は、……オルヴァさま、っ……」 「ん……?」 「そこ、そんなに舐められたら、も、イっちゃいそうなので、やめて……」 「いく? ……ああ、射精してしまうということ?」 「そ、そう、そうです……!」  こくこく必死で頷くと、オルヴァ様は一旦乳首責めを止めてくれた。  そして、改めてのように俺の顔の横に両手をつき、真上からじっと俺を見つめてくる。 「リオン……。こういうことをしてるときのリオンは、本当に、可愛い」 「へ……」 「可愛い。普段は僕を教え導く君が、こんなにもいやらしい顔をして……はぁ……ものすごく、興奮する」  熱に浮かされたように、オルヴァ様の声は掠れている。こんなにもセクシーな声で興奮するなんて言われたら、こっちこそ我慢ができなくなってしまう。  ——ああ、もうだめだ。したい。オルヴァ様としたい。抱かれたい……!  俺は無言のまま、腰をくねらせてスルスルと下履きを脱いだ。オルヴァ様はやや面食らったような、それでいて期待と欲望の滲む熱い視線で俺の仕草をじっと見ている。  恥ずかしい。だって、俺のペニスはすでにこれ以上ないくらい勃ち上がっていて、先端からは涎をこぼしている。オルヴァ様のキスと愛撫ですっかり熟れてしまった俺の身体を、もっと激しく暴いてほしい。  欲に|塗《まみ》れているが、一応まだ恥じらいは残っている。膝を閉じて勃起したそれを隠しつつ、オルヴァ様を見つめた。 「オルヴァ様……今日は、抱いてくれますか?」 「っ……抱く。抱きたい。う、うまくできるかは、わからないけど……」 「ふふ……俺もです。一緒にがんばりましょう」  俺がへらりと笑うと、オルヴァ様も少し気が抜けたような笑みをこぼした。  額に触れるキス。それがそのまま、俺の唇を喰らいつくように塞いだ。舌を舌を濃厚に絡ませながら、オルヴァ様の手が俺の膝裏を掴む。  大きく脚を開かされた俺の下半身に、オルヴァ様がぐっと腰を密着させてきた。  そこにあるのは、オルヴァ様の硬く猛った雄芯だった。窮屈そうに革製のズボンを押し上げているオルヴァ様のペニスが、俺の後孔のあたりにぐいぐいと押しつけられる。  ——うぁ……すごい。もうこんなに、硬くなってる… 「……ふぁ、すごく、おおきい……」 「っ……そんなはしたないことを……」 「はしたないですか……? だって、俺としてて、こんなにおっきくなってくれるなんて、嬉しくて……」 「っ……そう、なのか?」 「嬉しいです。……だって俺も、オルヴァ様とキスするの、すきだし、触ってもらえると、すごく気持ちいいから……」  興奮のあまり、舌足らずな口調になってしまった。オルヴァ様は眉間に皺を寄せてはぁ~~~~とため息をつき、「どうしてそんな、いやらしいことばかり言うんだっ……」と苦悶の表情を浮かべた。……俺、そんないやらしいこと言ってるのかな。 「で、でも……本で読んだんですよね? こういうシーン……」 「読んだ。けど……もっと固い文章だったんだ。剛直が蜜壺に飲み込まれる、とか」 「……官能小説すぎる。そっちのほうがエロくないですか?」 「え、えろい、とは……? なんだか淫らな気配のする言葉だね」 「あ、えっと。はい、淫らな言葉なので……こういうときに、使うんです」 「っ……わ」  押し付けられている熱い欲望を愛撫するように、俺は自分から腰をすり寄せ、上下に揺らす。  するとオルヴァ様は「ああ、なんていやらしいことを……っ」と言って、眉間の皺をさらに深くすると、とうとう自らベルトを緩め、ズボンの前をくつろげた。  ——ふぁ、前より、おっきくなってる……! 「……っ、リオン」  思わず手を伸ばしてオルヴァ様の剛直を扱くと、ぬるりとした感触が手のひらを濡らした。  先走りを塗り広げるようにオルヴァ様のペニスを扱いていると、ふたたび喰らいつくようなキスが降ってきて——オルヴァ様の大きな手の中に、俺の屹立が包み込まれた。 「ぁっ……はぁ……はっ……ん」  激しく、深く重なる唇と、絡みつくオルヴァ様の舌。深いキスによって俺の性感は更に燃え盛り、腰が上下に揺れてしまう。  オルヴァ様の腰も、俺の手の動きに合わせて淫らに揺れる。ペニス同士の擦れ合う感触がたまらなくいやらしい。  キスが激しくなっていくにつれ、俺たちの唇からは湿った淫靡な音が溢れ出し、俺は夢中になってオルヴァ様の愛撫を求めた。 「んっ……ふ……ぅん」 「はぁっ……はぁ……リオンも、気持ちいい……?」 「ん、んっ……はい、きもちい、です……。どうしよ、イっちゃいそ……」 「我慢しないで。もっと、僕を感じている顔を見せてくれ」  キスをしながら、いつしかオルヴァ様はズボンを脱ぎ捨てた。そして、するりとシャツをも脱ぎ捨てて、鍛え上げられた逆三角形の肉体を露わにする。  着痩せして見えるけど、オルヴァ様の体躯は逞しい。おどおどして小さくなっていたときの姿からは想像もできないくらい、欲望を露わにして俺を抱くオルヴァ様は色っぽく、そして男らしかった。    もう我慢ができない。俺は手を伸ばして自らの後孔に指を添え、泣きたいような気持ちでオルヴァ様を見上げた。 「……もう、ほしいです。挿れてください」 「うん……僕も、もう耐えられそうにない。リオンをもっと、感じたい」  ちゅっ……と軽いリップ音をさせ、オルヴァ様が少し身体を離す。魔法石入りランタンが置かれたチェストから、オルヴァ様が例の性交用のジェルを取り出した。俺がそこに隠していたこと、バレていたみたいだ。 「……っ……は、あぁ……」  ひくひくと楔を求めてひくつくそこに、たっぷりのジェルが塗り込まれる。指で解されながら尖って震える胸の尖りには熱い舌が押し当てられ、溢れんばかりの快感が襲ってくる。 「ぁ、あっ……はぅっ……ん、も、だめです! 挿れて……挿れてくださいっ」 「わかった。……痛かったら、すぐに言ってくれ」 「ん、はい……っ……」  ゆっくりと挿入される圧倒的な質量に、はじめは身体を引き裂かれてしまうかと思った。だがオルヴァ様は労わるように、ゆっくりゆっくりと腰を動かし、俺に痛みを与えなかった。  最初はゆっくりとした抽送だ。だが徐々に、オルヴァ様の動きは激しさを増していく。  大きな手で腰を掴まれ、力強く打ち込まれるオルヴァ様のペニスが、俺の中でびくびくとさらに硬さを増していく。  太く、硬いそれに腹の内側を擦られるたび、俺の性感は高まってゆく一方だった。 「ぁ、ぁっ……! んっ、あんっ、はぁ……っ」 「リオン、リオンっ……はぁ、はぁっ……きもちいい、止まらないよ……っ」  熱に浮かされたような表情で俺を見つめながら、オルヴァ様が雄々しく腰を打ちつける。濡れた肌のぶつかる音と、俺の甘えたような嬌声が部屋の中に響いている。  尖ったカリ首で前立腺を刺激されるのが、たまらなく気持ちいい。じわじわ高まる快楽に理性は砕かれ、俺は自ら腰を揺すってオルヴァ様の剛直を貪った。  遮二無二腰を振るオルヴァ様の猛々しいところを、もっと見たい。理性をかなぐり捨てて俺を抱くオルヴァ様をもっともっと感じたい。  オルヴァ様に激しく求められたい。支配されたいという欲望が、燃え上がる。 「オルヴァさまぁ……っ、すごいよおっ……あ、あン、んっ、ぁっ」 「っ……はぁ、リオンのなか、あつくて、うねって……たまらなく気持ちが良い……」 「もっと、もっと……突いてくださぃ……ん、ぁっ」 「いたく、ないのか……?」 「きもちいい、きもちいいです……っ、きもちいいの、とまんない……ぁ、んっ……んっ」  艶やかな肉体に汗を浮かべて、色気を滲ませるオルヴァ様の表情はすこぶる淫らだ。  こんなにも美しい人に激しく求められ、情熱的に抱かれていることが幸せでたまらない。  激しい快感の高まりも手伝って、俺はぽろぽろと涙を流しながら腰をくねらせ、オルヴァ様を見上げてキスをねだった。  気持ちがよくて気持ちがよくて、もう何が何だか分からなくなってきた。その時、ぐいと上半身を引き起こされて、気づけばオルヴァの上に座るような格好にされていた。  挿入が深くなり、俺は背中を反らせて喘ぎをあげた。オルヴァ様はそんな俺の後頭部を大きな掌で包み込んでディープキスをしながら、器用にを下から穿ってくる。 「ぁ! ぁん……! こんなのっ……どこで、覚えて……っ」  顎を仰かせて揺さぶられていると、オルヴァ様が俺の喉仏のあたりを甘噛みしてきた。さらに両の乳首をキュッと指先で捏ね回され、ジェルで滑った指先が、硬くしこった先端をくにくにと弄ぶ。 「ぁっ……! そこ、ぁ、あぅっ……!」 「ここが好き……? すごく、締まった……はぁ、たまらない……」    ぎゅ、と乳首をつねられて、思わず腰が跳ねる。深く嵌ったオルヴァ様のペニスが、イイところを上手にかすめていく。気持ちが良くて、良すぎて、さっきから甘イキしっぱなしだ。  下から雄々しく穿たれながらの激しいキス。俺の口腔内を掻き乱すオルヴァ様の舌に翻弄されながらも、俺は我を忘れて快楽に溺れた。  突き上げられながら同時にペニスを扱かれ、思わずか細い悲鳴が漏れる。全てをオルヴァ様にコントロールされている。  俺は涙をこぼしながら腰を振り、オルヴァ様の舌を夢中になって味わった。そして、迫り来る絶頂を予感しながら広い背中に爪を立てた瞬間、俺をひたひたに満たしていた快楽がとうとう、溢れた。 「ぁ、だめ、だめイク……イく……っ……ん、ン————……っ」  目の前が真っ白になり、脳が痺れる。  全身を暴れ回るような快感の濁流に翻弄される。初めての感覚が不安で、俺は思わずオルヴァ様にしがみついた。  同時に腹の奥で迸る熱い熱いオルヴァ様の体液を感じた。力強く俺を抱くオルヴァ様に縋り、俺はビクビクと身体を震わせて、激しい絶頂感に酔いしれた。  めまいがする、ふらふらだ。  でも、オルヴァ様と抱きしめ合っていたら、何が起きても大丈夫なような気がして……とてもとても、安心できた。  ——オルヴァ様が好き。この人が誰よりも愛おしい。ずっとこうしていたい。これから先も、ずっと……  気持ち良すぎて痺れた頭でオルヴァ様を見つめると、濡れた金色の瞳と視線が重なる。  どちらからともなく唇を重ね、俺たちはしばらく無言でキスに耽った。 「……リオンが好きだ。……好きだ。僕のそばから離れないと、誓ってくれ」  乱れた吐息の隙間で、オルヴァ様が囁いた。  俺は何度も何度も頷いて、汗に濡れたオルヴァ様の身体をしっかりと抱き締め返す。  そして夜が明けるまで、俺たちは身体を重ね続けた。

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