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第3話

面談室に案内され、イスに腰を下ろすと、静かにカウンセリングが始まった。 杉田先生が穏やかな声で問いかける。 「薬で勃起症はある程度抑えられてるって聞いているけど?」 俯いたまま、かすかな声で答えた。 「……抑えられていたんですけど……今日はちょっといつもと違って……なんか…変で……ぐすん」 頬を伝う涙を止められない。頑張って退院したはずなのに、また不安に押し潰されそうになる。 リラックスしていても反応してしまう。少し体温が上がるだけでも、かっこいい男の人に憧れるだけでも……この体質が嫌だ 吉澤先生が腕を組みながら尋ねる。 「予期せぬ勃起に対処する頓服薬は持ってるのか?」 「持ってます……念のため、今夜は使うつもりです」 吸入薬はある。けれど苦くて、たった一度使っただけでも体に重さがのしかかる。できるなら使いたくないのが本音だった。 吉澤「予防的に使う物ではないぞ?」 杉田「基本、鎮まるのを待つしかないでしょ? 薬に頼らず生活できるのが一番だからね」 杉田先生の言葉に、小さく頷く。 入院中なら治療や薬を増やされていただろう。けれど、先生たちは今の生活を大切にしてくれている。 杉田「環境の変化に身体が驚いているのかもしれないから、今日は薬を使わずに様子を見ようか」 「……はい」 まだ新生活は始まったばかり。焦らなくていい。そう自分に言い聞かせた。 --- カチャ、と鍵の音が響く。 「ただいまー」 誰もいない部屋。けれど自然と口から挨拶がこぼれた。 病室では「ただいま」よりも、ああ戻ってこられた、もう痛い治療はない……それだけで精一杯だった。だが今は違う。 ここは、僕だけの城だ。 好きなだけスマホでゲームができる。提出物はあるけど、宿題はない。 「はぁぁ……落ち着くー」 ドリンクバーから持ち帰って来た飲み物と、夕飯前だけど小腹も空いたし、おやつを口に放り込む。 「はぁぁ、うまー」 ボゥーっと今日1日の事を思い返す 杉田先生は、髪がふわりと揺れ、どこかチャラっとした雰囲気を漂わせているが、話すと誰でも肩の力を抜いてしまうほど気さくな先生だ。 一方の吉澤先生は、背筋は伸び、目は鋭く、言葉のひとつひとつに重みがある。真面目で凛とした佇まいでいかにも教師っぽい 対照的な二人だけど、どちらの先生も真摯に耳を傾けてくれる頼りになる先生たちで安心 病院の先生たちも怖い怖いって思っていたけど、今思い返すと愛ある厳しさだったなって思う。 先生と名がつく人たちには恵まれている人生かもしれない

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