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第4話

夕暮れ時、夕飯の献立を確認するために談話室へ向かった。 ガラス張りの窓に近づくと、橙色の光が差し込み、外の景色を静かに染めている。 窓の外では、サッカー部の生徒たちがグラウンドで練習に励んでいた。 ボールの弾む音や掛け声が、かすかに聞こえてくる。何となくその光景に見入っていると、背後からふいに気配を感じ、思わず振り返った。 「おっと」 勢い余って体がよろめく。支えてくれたのは、笑みを浮かべた杉田先生だった。 「す、すみません……」 慌てて姿勢を正すと、杉田先生は肩に手を置いたまま、軽く笑った。その笑い声さえも、夕陽に溶け込むように穏やかだった。 放課後の静かな廊下に、ふいに声が響いた。 「驚かせてごめんね。何見てるのかなーって思って」 授業中はいつもきりっとした表情で生徒を指導している先生だが、今はどこか肩の力が抜けたような、気さくな雰囲気を漂わせている。 「いや、特に……」 思わず目を逸らしながら答える。心臓の鼓動が少し早くなる。 杉田先生はふっと笑って、一歩こちらに近づいた。 「れお……じゃなくて加藤先生が、19時頃にりくに電話をかけるって言ってたから、ちゃんと出てあげてね? 出ないとあいつ拗ねるからさ」 「…っ……はい」 その名前を聞いた瞬間、加藤先生の顔が頭に浮かび、じわりと冷や汗をかいた 杉田先生と加藤先生は、もともと医学部で同級生だったらしい。 そして――定員数を超えていたこの学校に、どうにか無理を通してくれたのも、この二人の働きかけのおかげだった。 今日の出来事を加藤先生に話したら、どんな反応をされるのだろう――。 「病院に来い」なんて言われたらどうしよう……そんな不安が胸の奥で重く沈んでいた。 「顔色悪いけど大丈夫? 加藤先生、怖いんだ?」 杉田先生の軽い声が、張りつめていた心をふっと揺らす。 「…いや……ぅん……まぁ……大丈夫です……」 はい。怖いです。ある意味 杉田先生は、そんな僕の気持ちを見透かしたようにクスッと笑った。 杉田先生も加藤先生の性格をよく知っているのだろう。フッと笑い、軽くポンポンと僕のお尻を叩き校舎の方へと歩いていった。 軽く手を振り去って行く杉田先生の背中を姿が見えなくなるまで無意識に目で追っていた

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