16 / 49
九月②・卑猥な夜のはじまり
土曜日。
台風が日本列島を通過していて、進路から距離のあるこの地域でも、激しい雨と風に見舞われていた。
ガタガタと揺れる窓から、森の木が大きくしなっているのが見える。
雨風は夜になるにつれ、酷くなる予報だ。
朝から俺は明らかに緊張していた。
頭の中は圭吾とすることばかりで、授業にも身が入らない。
グミを何度も口に放り込んで、落ち着こうとした。
でもまぁ夜が近づく頃には、緊張することにも飽きてしまい、何とでもなれ、と開き直れた。
俺も初めてだけれど、圭吾も初めてだという。
何が正解かも分からないから、二人で気持ちよくなれたら、それでいい。
消灯時間になって、ソワソワしていた圭吾が眼鏡を外し、ベッドに入った。
俺はドアの前に、二人分の椅子を移動させ、簡単なバリケードを作る。
鍵がない部屋に、万が一でも誰かが訪ねてきたら、と思うと集中できないから。
部屋の電気を消して、俺はパジャマ代わりの半パンとTシャツとボクサーパンツを、脱いだ。
真っ裸になって布団に入る。
シーツのツルっとした質感を肌で感じた。
「圭吾も、脱いで」
彼は首をコクリと動かす。
上半身を起こした圭吾がTシャツを脱いだ。
続けて腰を浮かせて半パンと、ボクサーパンツを脱いでいる。
風呂にだって一緒に入ることが多い俺たちは、互いの裸など見慣れているはずなのに。
暗闇の中、圭吾の首から肩、脇から腰へのラインが妙にイヤらしく艶かしいものに見え狼狽えた。
圭吾は枕の下に手を入れ、茶色い紙袋を取り出す。
ガサガサと袋から出したのは、コンドームの箱と潤滑ジェルのボトルだった。
「うわっ。それどうやって用意したの?」
「天文部で、配られました」
「やっぱり相当ヤバいな、天文部」
俺はすぐに使えるようにと、箱とボトルの封を切った。
そして大きく深呼吸をして、告げる。
「なぁ、誕生日の時みたいなエロいキスして」
圭吾は俺に覆い被さるように、熱い吐息とともに唇を重ねてくれた。
湿った唇の感触が、俺を一瞬で迷いの無い淫靡な気分へと押し上げる。
下唇を甘く噛まれたから、圭吾が侵入できるよう口を少し開ける。
ヌルっと温かい舌が俺の口の中を舐め回してきた。
俺は両腕を伸ばし圭吾を抱き寄せた。
圭吾の身体の重みが俺の上に乗り、肌と肌が触れ合えば、互いの体温も、心音も直に伝わってくる。
俺の舌が圭吾の舌を絡め取って、吸い上げる。
唾液が甘く感じ、もっともっと舐めたくて、角度を変えて、何度も唇を合わせては、舌を這わせた。
左手で圭吾のセットしていないサラサラとした髪を撫で、指で梳いた。
その指で耳朶を触ると、圭吾が「んっ」と鼻に抜けるような声を出し、ピクンと身体を跳ねさせる。
「光夜、もっと触って。身体中、その手で撫でて欲しい」
言われるままに、体温が上がって汗ばんだ背中から脇腹に、右手を這わせていく。
唇も、頬に目元に耳に首筋に喉仏に、とチュッチュッと押しあて、時にペロリと舌で舐めた。
圭吾の「んっ、んっ」と甘く漏らす声に興奮させられ、俺の中心が芯を持って勃ち上がる。
圭吾もどんどんとその気になっているようで、固くなりかけた下腹部同士が触れ合った。
クルッと圭吾が下になるよう、体勢を入れ替えた。
俺が上になって、圭吾を見下ろす。
暗い部屋の中、二人で見つめ合えば、それだけで熱い吐息が溢れ出る。
手を、腰に腹に胸にと滑らせ、目視しながら確かめるように圭吾の身体を触っていく。
俺の指が圭吾の右胸の突起を掠めると「あっ」と甘い声が上がった。
「ここ?」
指の腹で押すように突起をこねる。
「んっ」
男の圭吾が、こんなところでも感じるとは思いもしなかった。
小さな突起を口に含んで前歯で甘く噛めば、固くしこってツンと尖ってくる。
「は、反対も、触ってください、あっ」
右胸を口に含んだまま、左胸を指でいじる。
圭吾の腰が、悶えるように動いて、勃ち上がったものが俺に擦り付けられる。
「圭吾、俺、もう……」
乱れる圭吾を見ているだけで、俺の中心は痛いぐらいに張り詰めて、先走りを零していた。
俺は上半身を起こし、圭吾の勃ち上がったものを触る。
圭吾からも透明な液体が、蜜のように溢れ出ていた。
「ごめん。一度、出させて」
返事も持たずに、俺は自分のものと圭吾のものをピタリと合わせて持ち、上下にしごく。
圭吾も上半身を起こして、俺たちは向かい合って抱き合うように座った。
二つのものを握る俺の手の上に、圭吾も手のひらを重ねてきた。
自慰では感じない感触と興奮を味わいながら、擦り合わせていく。
圭吾が細くて長い首をのけ反らせ、シーツに爪を立てているのが見える。
「光夜、あっ、僕、もう、あっ」
「い、いい、圭吾、あっ、あっ、お、俺も」
二人同時に吐精し、握っていた手にベタリと白濁が飛び散った。
圭吾は息を乱している俺に、唇を重ねてきて、昂まった感情のまま、俺の口の中を貪る。
その唇がようやく離れた時の圭吾の顔が、トロンと蕩けるようで、あまりにも艶っぽく、俺の股間はまたすぐに兆してしまった。
ともだちにシェアしよう!

