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九月③・身体を交える
俺は枕元から手探りで潤滑ジェルを取り、トプトプと手のひらに垂らす。
「あ、足、開いて」
圭吾は枕に頭をつけ、膝を立てた足を、恥ずかしそうに開いた。
俺の指が圭吾の窄まりを探す。
潤滑ジェルでヌルヌルにした指が、硬い入口をこじ開けた。
中指がキツい中を進んでいく。中は熱く柔らかく、俺の指に纏わりついてくる。
こんな狭い中に、本当に挿れることができるのだろうか?
そもそもこんなやり方で、あっているのだろうか。
顔をあげて圭吾を見れば、苦しそうに潤んだ目で見つめてくる。
「続けて、大丈夫?」
「も、もちろん。光夜が、欲しい、です。奥まで、光夜で、埋めて欲しい」
余裕のない俺を、そんなことを言って煽らないでもらいたい。
そんなイヤらしい顔を寄越して、昂らせないでもらいたい。
初めてのキスの時も感じたけれど、やっぱり圭吾は、こういうことに貪欲で、大胆で、初めてとは思えない。
中指の根元までが、圭吾の中に入り、中で壁を触るようにその指を動かす。
圭吾は「あっ、あっ、あっ」と艶っぽい声をあげ続ける。
指を引き抜き、潤滑ジェルを足して指を増やし、ほぐしていった。
圭吾のものは、再び張り詰めて先走りを零し揺れている。
中をかき混ぜるように、二本の指を蠢かせれば、濡れた卑猥な音が鳴り響く。
俺なりに事前に頭の中で、このセックスをシミュレーションしていた。
指で圭吾のいいところを探しだして、十分にほぐしてから、ゆっくり挿入してやろうと。
でももう、我慢ができない。
挿れたい、挿れたい、圭吾の中に挿れて、擦りたい。
圭吾を突き上げて、快楽を貪りたい。
性急に指を三本に増やし「もう、もう挿れたい」と圭吾に訴える。
「光夜、きて、早くっ」
指を抜く時にも、窄まりがヒクヒクと締め付けてきた。
圭吾の身体も俺を欲してくれている。
コンドームのパッケージを破り、慣れない手つきでどうにか装着し、圭吾の唇にチュッとキスを落とす。
「いい?」
「はい」
圭吾は自ら四つん這いになり、尻を高く上げた。
潤滑ジェルでヌルヌルになった窄まりに、俺は自分のものを押し当て、グッと体重をかける。
狭い筒にめり込むように俺のものが入りこんでいく。
圭吾は「うっ、んぁっ、ダメっ、あっ」と苦しそうにしながらも、零れる声が色っぽい。
「もっと、もっと声聞かせて、圭吾。雨の音が消してくれるから、もっと、もっと、ほら」
圭吾は啜り泣くように、声をあげ続ける。
苦しそうな声の中に、快楽を感じている甘い声も確かに混じっている。
奥まで貫いた時点で、俺はもう達してそうだった。
じっとしていても、圭吾の中がうねるように動き、締め付けてくるから。
「圭吾。すごい、すごいよ、圭吾の中、あっ」
もう我慢が出来ず、圭吾の中を擦り上げるように、必死に腰を動かす。
圭吾のイヤらしい声が昂まっていって、俺の頭が真っ白になって、加減もできずに腰を打ちつけた。
圭吾の四つん這いはとうに壊れ、頬を枕に埋め、尻だけが上がっている。
圭吾の手が、股間に伸び、自分自身を握りしごき始めた。
「こ、光夜、もう、もうだめっ」
「お、俺も、もう、でるっ」
ギリギリまで抜いたものを、一気に奥へと突き上げた。
圭吾の身体が跳ね、ブルッと震えたのと同時に、中がギュッと強く締め付けてきた。
俺は我慢できずにゴムの中へ全てを解き放った。
二人で「はぁはぁ」と息を乱しながら、抱きしめ合う。
しばらく黙って、ただただ互いの体温を感じていた。
いつも、大浴場備え付けのボディソープとシャンプー、ランドリー備え付けの洗剤、柔軟剤を使っているから、個人の匂いなど感じたことがなかった。
でも、汗ばんだ圭吾からは、フルーツみたいな甘い匂いがして、俺をクラクラと酔わせた。
これが圭吾の匂いなのだと。
「なぁ、圭吾本当に、初めてだった?」
「えぇ、もちろん」
圭吾の髪を指で梳きながら、訊ねる。
「だって、めちゃくちゃ艶っぽかった。俺下手くそで、すぐに出ちゃったのに、すげぇ感じてくれて」
「気持ちよかったです。とても、とっても」
圭吾はウトウトと目を閉じて、もう寝てしまいそうだ。
それでも、俺は名残惜しくて話し続ける。
「なぁ、縁は見えるようになったの?」
目を瞑ってしまった圭吾には、見えるわけがないのに。
「やっぱり圭吾が特別だということは、分かりました」
圭吾は、ぎゅっと抱きついてきて「ありがとう、光夜」と言ったかと思うと、スースーと寝息を立てて眠ってしまった。
その幸せそうな顔に、俺も満たされて眠気が訪れた。
「俺も気持ちよかった。また、しような」
もう返事はなかった。
さっきよりも雨が窓を打ちつける音が強くなっていたけれど、そんなことは全く気にならなかった。
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