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九月②・目隠しをして
夜の温室で、敦貴が一歩二歩と近づき、間合いを詰めてくる。
「ねぇ先生。森で俺のことをコウヤって呼んだでしょ?誰?先生の好きだった人?今も好きなの?ねぇ、先生。答えてよ」
私を追い詰めるように、にじり寄ってきて、腕を掴まれた。
「こ、光夜は、私の好きな人です。今も、昔も、唯一の愛する人、です」
敦貴が悲しんでいるような、憐れんでいるような表情になる。
「じゃぁさ、目隠ししてあげるよ。先生は、その人だと思ってしたらいいんじゃない?」
私は立ち尽くしていた。
抵抗しようという気持ちと、二十年ぶりにセックスをするかもしれないという興奮を拮抗させながら。
他の生徒に誘われたのなら、鼻で笑って上手くかわせていただろう。
しかし敦貴のことを、何故か特別だと感じてしまったのは、セックスをしたい己の本能への言い訳だろうか。
動かない私の後ろに敦貴が回り込んで、眼鏡を外される。
コツンっという音とともにテーブルに置かれた。
そして予め用意していたのだろう、体育祭の鉢巻で目隠しをされた。
「見える?」
ブンブンと首を横に振る。
「じゃ、いいよね?」
敦貴は肩をガシッと掴んで、私の向きを変え、唇を重ねてきた。
荒っぽく誘ってきて、強引に目隠しまでしたくせに、小刻みに震える唇は、暖かく柔らかくやさしさに溢れていた。
角度を変え、何度も何度もチュッチュッと、重ねられる。
まるで愛おしい宝物を可愛がるようなキスだった。
肩に置かれていた手が、弄るように服の上から上半身を撫でていく。
私は思わず「ん」と吐息を溢した。
それが合図になったように、舌が口内へ侵入し、互いの唾液が絡まり合う。
グレーのカーディガンが脱がされ、ズボンに仕舞われていたシャツが引っ張りだされる。
敦貴の指が躊躇いもなく私の胸の突起を摘み、親指を擦りつけてくるから、私の身体は呆気なく快楽に翻弄される。
敦貴はそんな私の腰に、大きく逞しくなった下腹部を押し付けてきた。
その膨らみを感じれば、欲しいと思ってしまい、もう少しも抗えなくなった。
「先生、テーブルに手をついて」
手首を持って誘導され、冷たい金属のテーブルに手を置く。
敦貴にベルトを外され、ズボンとボクサーパンツを膝までずり下ろされる。
私の中心も大きく張り詰めているのが、敦貴の目に晒されてしまった。
紙袋をガサガサと開ける音が聞こえ、続いてドロっとした潤滑ジェルを手のひらに出しているような下品な音が耳に届いた。
「先生、冷たくてごめんね」
窄まりにヒヤッとした感触があり、身体がビクンと反応してしまう。
敦貴の指がそっと私の中に侵入してきた。
あまりに久しぶりに感じる異物感に息が乱れ「あっ」と声が漏れる。
根元まで入り込んだ指が良いところを掠めれば、甘い悲鳴が零れてしまった。
一度抜かれた指は二本に増やされ、また侵入してくる。
入口を拡げるように指が動き、水音を立てながら、中を掻き回される。
私は我慢ができず、自分のものを握った。
先走りが溢れ、既にベタベタと汚れている。
「先生、自分で触っちゃダメだよ」
耳朶を舐めながら敦貴に囁かれ、その声に更に官能が高まる。
目隠しをされている分、音に敏感になっているのかもしれない。
ガーデンテーブルに手をついたまま、後ろから硬く大きくなったものを窄まりに当てられ、押し込まれる。
キツくて中々奥まで受け入れられない。
「せ、先生、もう少し、ゆ、ゆるめて」
そんな技術は持ち合わせておらず、フルフルと首を横に振る。
すると敦貴が私の中心を握って、ゆっくりとしごいてくれた。
意識がそちらに向き、身体のこわばりが緩まった瞬間、敦貴自身が私の奥へ進んできた。
「あぁぁ」
「は、入った。せんせ、あぁ、せんせ」
敦貴の荒い息遣いが、背中から聞こえてくる。
お腹の中が敦貴のものでいっぱいで、苦しくて堪らないのに、満たされた気持ちになれた。
「動くよ、せんせ」
「あっ、んっ。光夜、いい……、あぁ」
「違うよ、せんせ、敦貴だよっ」
「あ、あつきっ」
「そう。せんせ、気持ちいい?」
「いい、いい、とても、あぁ、きもち、いい」
「お、俺、上手くできてる?光夜って人よりも、ねぇ?」
九回目同士のセックスは、とてもいいと、噂には聞いていた。
実際、気持ちがよくて、気持ちがよくて、声を我慢することはできない。
譫言のように「いい、あぁ、いい……」と喘ぎ続ける。
「だめ、もう、もう、だしたい……」
自分のものを握り自らしごいても、敦貴はもう文句は言ってこず、ただただ腰を振り、私の中を激しく穿ってきた。
「あっ、もう、もう、だめ」
頭が真っ白になる程の快感が身体中を駆け巡り、欲望を飛ばした。
私の窄まりはギュッと敦貴のものを締め付け、全てを搾り取ろうとし、敦貴も「んっ」とくぐもった声を出し達した。
—
その日から、時々、敦貴は消灯時間後に温室を訪ねてくるようになった。
私は、その度に目隠しをされ、彼を受け入れた。
二度目からは、光夜と敦貴を混同するようなことはしなかったが「目隠しをしてほしい」と自ら請うた。私の中には光夜を裏切れないという気持ちが、まだ強く残っていたから。
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