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第22話

××× 「では、参りましょうか」 僕を迎えに来たのは──短髪で細いつり目の、知らない男だった。 ざわざわ、ざわざわ…… 明るく開放的なロビー。 賑わう人々。 コンビニやお洒落なオープンカフェなどが併設し、まるで商業施設の中にいるような雰囲気の院内。 「……どうか、しましたか?」 会計窓口で精算を終えた男が、待合室の長椅子に座る僕の顔を覗き込む。 何処か親しげなようで、その眼はガラス玉のように冷たく。感情のないロボットのような印象のこの男が、一体誰なのか解らない。 「……」 窺うようにじっと見上げていれば、その眼が柔らかく細められ、綺麗に口角が持ち上がる。 「山本さんなら、心配要りませんよ」 能面のような表情。淡々と紡がれる言葉。 事務的に僕を立ち上がらせると、導くように正面玄関へと向かう。 「今回の件で、警察の任意同行に応じただけですので。 暴行は勿論、器物破損や不法侵入に関しての正当性が認められれば、直ぐにでも釈放されると思いますから」 ……え…… 任意同行、って…… 心臓が嫌な音を立て、一気に血の気が引く。 もし竜一が、元暴力団だとバレたら──僕を助ける為だったとはいえ、刑罰を免れないかもしれない。 「……」 どうしよう。 竜一との生活を守るために、ずっと耐えてきたのに。 その結果が……これなんて。 「あの小児性愛者()は、警察に連行されました。 気を失っていた貴方は、この病院に搬送されたのでご存知ないかもしれませんが」 「……」 「押収された奴のPCから、未成年の隠し撮りと思しき画像や映像が大量に見つかったそうです。 貴方の身体に付着した体液も採取されたようですので……逮捕後の立件は、ほぼ確実でしょうね」 ……逮捕。 あの男が、逮捕…… そっか……逮捕されたんだ。 頭の中で何度も同じ言葉を繰り返せば、軽い眩暈と共に強張っていた身体から力が抜け落ちる。 だけど……すれ違い様に向けられる視線や、直ぐ背面に張り付かれる気配が思い出され、ぶるっと身体が震える。

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