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第6話

四本王6話 桜天と狐紅 「寝巻談話?」 「うむ!若い女性妖兵たちの間で流行ってるらしいのだ!風呂に入った後、皆で寝る前に集まって寝巻きで談話すると小さな非日常感で気分が高揚して普段は出来ないような話も出来てしまうらしい!」 「楽しそうですね...」 「さっちゃんとこもちゃんが仲直りしたらみんなでやろうねえ!」 「うむ!そのためにも二人を仲直りさせないとな!我の作戦はこうだ!今の二人だけだと話すことすらしないだろう!だから五人で寝巻談話をするよう誘い、向蛇と雪椿は先に寝てしまったことにする!そして我も二人の話のきっかけだけ作ったら残務を処理すると言って抜ける!」 「なるほど、強制的に二人っきりで話をさせる訳ですね...」 「わかったあ!ぼくたちは全力で早く寝るね!」 「バレないように部屋から出なければ十分じゃ無いかな...」 「うむ!そうと決まったら今夜決行だ!」 ▼▽▼▽▼▽▼▽ 王がそれぞれ桜天と狐紅にも声を掛け、入浴後に各々王の寝室へ向かうことになった。 桜天は入浴を終え、王の寝室の扉を開けた。 「失礼します」 「桜天!よく来てくれた!」 (な...何だ?!この色気爆発の男は...?!) この日、桜天ははじめて公の姿では無い王の姿を見た。 いつもは後頭部で一つに束ねている髪は下ろされ、今晩が楽しみで急いで乾かしたのか風呂上がりで髪がまだ濡れている。 普段の上裸姿より露出自体は減っているはずなのに、金装飾を外した着流し姿は女性が見たら卒倒しような色気を放っていた。 完全な個人空間で表情が緩んでいるのも、艶やかな雰囲気を作り上げている一因のひとつだ。 (近づくだけで孕まされそうだ...!) 「ウハーーー!!!桜天は寝巻姿も麗しいな!サラサラのきめ細やかな髪は下ろしていると更に美しさがわかる!」 (喋ると幾分かマシになる!黙っていると色気の破壊力が強すぎるから喋っていて欲しい!) 「桜天もホラ、寝台に掛けてくれ!」 王が扉に側にいる桜天に近づいてくる。 「薔鬼王様、そこで止まってください」 「うぬ?」 「私にはそのお姿は刺激が強いです、慣れるまで近づかないでください」 「うむ、わかった!では我は桜天が慣れるまで待つとしよう!桜天は先に寝台に行ってくれ!」 「申し訳ありません...」 「何を言う!嫁に意識してもらえるなど男として嬉しいことだ!」 王を待たせるのも申し訳無いので、示された寝台へ向かい腰をかける。 「ウブだね〜」 「こ、狐紅?!...もういたのか」 寝台に腰掛けた桜天の近くに、緋色布団の中に潜っていた狐紅が顔を出す。いつもお団子にしている長い髪が解かれている。寝台が大きすぎていることに気がつかなかった。緋色の天蓋付きの巨大な寝台は、五人は遊に寝られる大きさがある。 「王サマの風呂上がり見ただけでドキドキしちゃうなんてウブだね〜」 「...私はお前みたいに柔軟な頭では無いからな」 「アハハハ〜桜天超頭固いもんね〜」 狐紅はいつもこんな調子だ。 だが今の自分はそれがとても苛ついた。 「...私を馬鹿にするのはそんなに楽しいか?」 「桜天〜?」 「お前はずっと私のこと見下して馬鹿にして楽しんでいるんだろ?!そうだ!どうせ私は昔から何をやらせてもお前みたいにはうまくできない!」 いつもなら何とも思わない軽口が耐えられない。 だって私はお前の___ 「お前は!お前は何でそんなに自分のことを考えない!お前には私に無い素晴らしい才能がある!ずっと横にいた私にはわかる!お前の知力は何千人に一人の価値あるものだ!お前は選ばれた天才なんだ!私になんか構ってないでお前はもっと自分のことに真剣になれ!!!」 何で私に合わせて嫁入りを決めた? お前の才能ならもっと、もっと沢山の選択肢がらあったはずだ!!! 「私は!凡人の私なんかが、お前の足枷になりたくない!!!お前は、もう、私から解放されて良いんだ...もっと、自由に、好きに、生きろよ...」 一度歯止めが効かなくなった本音は止められない。 心に秘めていたものがどんどん溢れ出てくる。 「嫌いだ!天才のお前なんか大嫌いだ!!!」 桜天は、大声で叫び終わるとゼーゼーと息を吐いた。 やってしまった___ 桜天はすぐに後悔した。 だがどうせ狐紅のことだ。自分がこれだけ怒ろうとも叫ぼうとも「そんなに怒らなくてもいいじゃ〜ん!」とでも軽く返してくるのだろう。 と思って狐紅の顔を見て驚いた。 静かに、ハラハラと大粒の涙を溢して泣いていたのだ。 二十年以上一緒に居て、狐紅が泣くのを見たのははじめてだった。 「天才...だって...?桜天は俺のこと何も分かってない!俺はさあ、桜天がいないと何も出来ないんだよ!練兵校の最初の数年!桜天が側に居ない俺は唯の凡人だったよ!やる気が無いから手を抜いてたんじゃなくて、俺は桜天が居ないと力が出ないんだよ!俺は自分ではどうしようも出来ないくらい桜天が好きなんだよ!桜天が側に居る時だけ天才なんだよ!俺は唯、桜天の側に居たいんだ!俺は桜天が隣にいないと駄目だからずっとずっと隣にいるために頑張ったんだ!練兵校の頃から毎年桜天と同じ部隊になるため試行錯誤した!入団試験の時もだ!出世すれば桜天が妖兵を続けてくれるかも知れないと思ったから実力以上の宮廷試験に合格できる算段を考えた!桜天が家を継いで離れちゃうって諦めてたのに一緒に嫁になれたから、これでずっと一緒にいられるって本当に嬉しかったんだ!桜天のことが好きで好きで好きで好きで好きで好きで好きで好きで好きで堪らないんだ!なのに、ひぐ、大嫌いだなんて、ぅっ言うなよお〜!うえっ、桜天に、嫌われたら、いぎでいげない〜うえええん!!!」 狐紅は、途中から言葉が涙にかき消されてしまうほど大声で大粒の涙を流して泣き始めてしまった。 (好き?狐紅が?私を___?) 桜天は、全く想定していなかった言葉を言われて混乱した。 幼い頃から大人顔負けの頭脳を持っていた狐紅が、只々「好き」という幼子のような理由のために行動していたというのか。 一千人に一人の天才が、どんな場面でも取り乱したところなど見なことが無い度胸の持ち主が、自分の大嫌いと言う一言で取り乱して別人のように泣き喚いている。 ずっと隣にいて見てきた。だから狐紅が演技でも無く、計算でも無く、本心から泣いているとわかった。 「狐紅、すまない、私が悪かった...大嫌いなんて嘘だ...」 桜天は、ぐすぐす泣き続ける狐紅の頭を撫でて謝罪した。 「うっ、ぐすっ、ほんと...?俺の、こと嫌いじゃない...?」 「嫌いじゃない。頭に血が昇って心にも無いことを言ってしまった...。私は、ずっと、狐紅が何を考えてるかわからなくて苛立っていたんだ...。狐紅が私を馬鹿にしていて見下すのを楽しんで、人生を無駄にしていると思っていた...。私のことが...す、好きなら好きと!色々と変な言い回しをせず好意を伝えれば良かったじゃないか!」 「ぐすっ...あのさあ〜、俺が、素直に好き!って言える性格だと思う〜?」 「...思わないな」 「でしょ〜?でも俺なりにずっと隣にいる為に必死だった訳!」 「...私は狐紅に自分の人生をちゃんと生きて欲しかった。狐紅がいつ私から離れても、私は一人でも生きていけるようにしておかねばと思っていた。だから宮廷試験の筆記問題に取り掛かったんだが...解けなかったんだ。回答も、解き方も狐紅に聞いていたのに何回やっても解けなかった。解き方は頭でわかっていたのに心が解くのを拒否してたんだ。この問題を解いたら、狐紅が居なくなる準備が出来てしまうようで、解けなかったんだ。」 「桜天...」 「...私の方こそ、狐紅がいないと駄目みたいだ」 「桜天〜!!!」 狐紅はぎゅっと桜天に抱きついた。 「桜天!好き!好き!大好きっ!これからもず〜っと一緒にいて!もう嫌だって言ってもぜぇ〜たい離れない〜!」 今まで言えなかった言葉がやっと言えて、更に強く桜天に抱きつく。いつもなら、「やめろ!」と注意する桜天が、無言ではあったがぎゅっと抱き返してきた。 二人は数刻の間、強く抱きしめ合った。 数刻後、気持ちが落ち着くと二人は今の現状を思い出した。 (薔鬼王様を!!!) (めっちゃ放置してた!!!) 二人は焦って寝室を見回す。 王は寝台の足元側に置かれた緋色の長椅子に座って満面の笑みでこちらを眺めていた。 「うむ!物凄く良い百合ケンカップル仲直りを見せてもらった!幼馴染はやはり王道だな!」 王の様子を見て、狐紅は確信した。 「王サマ〜、今日のこと全部仕組んでましたね〜?」 「うむ!」 「おかしいと思ったんですよ〜いつもなら爆速で風呂出る向蛇が延々と来ないし〜」 「そうだ向蛇!雪椿も!二人が入りづらくなってしまう!廊下で立ち往生していないか見てきます!」 「大丈夫だ!二人も我と共に今日のことを計画した!だから元々から来る予定は無い!」 「全部王サマの計画通りってことね〜」 「まあ我の計画では、我は桜天と狐紅が話し込む前には抜ける予定だったがな!結果的に良いものを見させてもらった!とはいえ、ここからは我が居ない方が積もる話もしやすいだろう!」 王は長椅子から立ち上がり、扉へ向かう。 「お待ちください!此処は貴方様の寝室!我々が出て行きます!」 「我の寝室は他にもある!二人は腹を割って話が出来たこの部屋の方が話が進むだろう?今晩はここで寝ると良い!」 「薔鬼王様の寝台を使うなど恐れ多い!」 「君たちは我の妻だ!もう少し慣れたら五人でこの部屋で寝るんだからあの寝台は君たちのものでもある!」 「桜天〜♡いいじゃ〜ん今日は二人っきりでいちゃいちゃして寝ようよ〜♡」 王を引き留めようとする桜天の後ろから、狐紅が抱きつく。 「狐紅!」 「うむ!存分にイチャイチャすると良い!では良い夜を!」 王は扉を開け、部屋の外に行ってしまった。 仕方がないので桜天はくっついたままの狐紅ごと寝台の布団に潜る。 桜天の横に寝た狐紅はぴったりとくっつき、桜天の耳元で囁く。 「桜天、好き、好き、好き、好き、すーき、好き、大好き♡」 「く、くすぐったいぞ...何回言うつもりだ...」 「う〜ん、十年分だから千回くらい?」 「そんな前から私のこと好きだったのか?!お前、拗らせすぎだろ...」 「うるさいな〜、そんな俺が好きなくせに〜♡」 「わ、私は...もう寝る!」 桜天は恥ずかしくなって、後ろを向いて不貞寝をしてしまった。 「桜天〜、こっち向いてよ〜」 桜天はわざと無視した。 狐紅が後ろから抱きついてくる。 「ねえ、桜天。好き。好き。言葉じゃ言い尽くせないくらい大好き...。」 「これからも、ずっと一緒にいてね」 桜天は言葉は返さなかったが、応えるように狐紅の手を握りしめた。 ▼▽▼▽▼▽▼▽ 別の寝室へ向かう途中、王は宮仕兵の梅首に呼び止められた。 「薔鬼王様、化け狸の仕立て屋より嫁入り衣装が届きました。」 「うむ!遂に完成したか!我が欲を詰め込みしえっち嫁入り衣装たちが!」 ▼▽▼▽▼▽▼▽ 次回!えっち嫁入り衣装でお着替え大会! そして初夜にも挑戦!童貞卒業なるか?! ▼▽▼▽▼▽▼▽

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