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第9話
四本王9話 酒呑童子の薇酒と薇呑
キャラクター紹介
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「「「「申し訳ありませんでした!」」」」
次の日の朝、嫁たちは起きるなり王に頭を下げて謝罪した。
「我こそ加減を忘れ皆に欲をぶつけてしまって、すまなかった!朝食でも食べて仲直りしよう!」
気を取り直して、五人で朝餐の間にて朝食を食べることにする。
朝餐の間にて、王は四人に本日兄と姉が挨拶に来ることを伝えた。
「父様は婚姻も含め全て我に一任してくれているのだが、兄様と姉様は別でな。ご挨拶せねばならん。だが本音を言えば会わせたくない!」
四人は王から家族と離れて過ごした生い立ちは聞いていた。
「おそらく皆、吃驚すると思う。我が合図をするまでは出て来ず、合図後もなるべく我の近くから離れずに後ろに隠れていてくれ!」
もしかしたら仲が良く無いのかも知れない。四人はあまり聞くのも良く無いと思い、そのまま王の言うことを聞くことにした。
▼▽▼▽▼▽▼▽
数時間後、王族専用応接間に二人の酒呑童子が訪れた。王が対応し、嫁たちは応接間の中の様子を隣の部屋から伺っていた。
王が兄と姉に笑顔で話しかける。
「お久しぶりです!薇酒(らしゅ)兄様、薇呑(らのみ)姉様。お忙しい中お時間をいただきありがとうございます!」
「おお薔鬼☆成人の儀以来だな★」
「成人してすぐ四人と結婚なんて♡薔鬼くんもやっぱり酒呑童子ですわあ♡」
「ウハハ!良い出会いに恵まれましてな!」
仲が悪いと思っていたら、意外に楽しそうに三人で楽しく談笑している。三兄弟の長男である一本角の薇酒も、その妹である二本角の薇呑も喋り方は独特だが王があのように警告を発する必要など感じない程に明るく朗らかな人たちに見える。
「さて...嫁たちを紹介しますが誓約を設けたいです!嫁たちには我の許可無しには近づかないでください。」
先程の和やかな空気が嘘かのように、張り詰める。
「誓約なんてなあ☆大袈裟だぞお薔鬼★」
「そうですわ♡いきなり取って食ったりは致しませんわ♡」
「...仰いましたね?わかりました、四人とも出てきてくれ!」
王の合図を受けて四人が王の後ろに立った瞬間。
「ピンクだーーー☆★☆」
ぺろりっ☆★
「お人形ちゃんみたーーーい♡♡♡」
すりすりっ♡
桜天の髪は薔酒の手に取って舐められ、雪椿の顔は薇呑の両手に包まれていた。
桜天も、雪椿も二人の動きが速すぎて全く動けなかった。
「兄様、姉様」
王は見たこともない険しい顔で、巨大な妖力を飛ばして兄と姉に警告する。嫁たち四人はあまりの圧に呼吸が苦しくなる。
「たかが挨拶じゃないかあ☆★」
「そうですわあ♡」
あの強大な妖力を真正面から受けておきながら、二人は苦しむそぶりも見せず平然と手をひらひらとさせ嫁たちから距離を取る。つくづく酒呑童子という種族は他の妖怪とは格が違うようだ。王は嫁たちを守るように嫁たちと兄姉の間に立ち直した。
「ハアーーー...だから会わせたくなかったんですよ!」
「え?しょーちゃん、どういうことお?」
「我ら三兄弟は好みが凄く似ているのだ!昔から同じイケメン念写紙ばかり選んで取り合っていた!」
「えぇ...」
「どうせ四人も嫁がいるのだから、一人づつくれとでも言われると思いましたよ!」
「よくわかってるじゃないか薔鬼☆あのピンクは僕様にくれ★」
「薔鬼ちゃん♡あの雪のお人形ちゃんは私様に頂戴♡」
「駄目です!」
「四人もいるんだから一人くらい良いだろ☆」
「そうですわ♡ 薇酒兄様と私様が貰っても二人も残るじゃ無い♡」
「そういう問題ではありません!」
その後も、兄と姉は色々ゴネて隙あらば桜天と雪椿を触ろうとした。王は最低限の挨拶を済ませ、二人を速やかに帰らせた。
「やれやれ、やっと帰った...!桜天、雪椿!数日は薇酒兄様と薇呑姉様には注意してくれ!」
「注意とは...?」
「あのお二人があれだけで終わるはずないからな!」
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王の予想は当たった。
兄と姉の挨拶が終わった後、王は公務へと向かった。
桜天と狐紅は二人で薔薇宮殿の広い廊下を歩いていた。狐紅は桜天の腕にぎゅーっと抱きついている。
「狐紅、くっつきすぎだ...歩きにくい...」
「だって桜天狙われてるんだよ〜!?俺が守るんだ!」
狐紅は更に桜天の腕にぎゅーっとくっつく。
「狙われてるって...薔鬼王様のお兄様だろ...」
ふと、腕が軽くなる。
狐紅がバタッと倒れる。
「え?」
それからすぐ後、桜天の意識も無くなった。
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一方雪椿は、薇呑に呼び止められていた。
「雪椿くん♡」
「薇呑様。お帰りになったはずでは...?」
「うふふもう帰りますわ♡今日、私様の瑠璃唐草(るりからくさ)宮殿でお茶会をするの♡雪椿くんも是非来て欲しいですわ♡」
「え、あの薔鬼様から「せっちゃーん!」
「むろちゃん!」
「ぼくたちしょーちゃんからダメって言われてるからあ!」
向蛇が雪椿を守るように抱きつく。
「じゃあ向蛇くんも一緒にどうかしら?大丈夫ですわあ♡薔鬼くんが公務から戻る前には終わりますわあ♡ね?良いでしょう?ね?」
薇呑の目の圧が凄い。流石あの王の姉である。
押しに弱い二人は遂に断り切れず、直ぐに帰らせてもらえるとのことでで渋々薇呑に付いて行った。
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王が公務から戻ると、険しい顔をした狐紅が走ってきた。
「王サマ!桜天がやられた!雪椿と向蛇も薔薇宮殿のどこにもいない!」
「薇酒兄様...薇呑姉様...早速やってくれましたね...」
王は肩を震わせ、怒りを露わにした。
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桜天の目が覚めると、天井もピンク、床もピンク、視界全てがピンク色の空間だった。どうやら自分はピンク色の天蓋付きの寝台に寝かされていたようだ。
「ここは何処だ...?」
「ピンク☆ピンクだ★僕様はピンクが好きだ☆」
「?!薇酒様?!ここは何処ですか?!」
「ピンクとは素晴らしい色だ☆愛、慈しみ、欲...ピンクには全てが詰まっている★」
「あの...」
(薔鬼王様ってまだ話を聞いてくれる方だったんだな...)
「ここは僕様の独立国家、躑躅(つつじ)宮殿だ☆全てがピンク色で可愛らしいだろう★」
薇酒は桜天に近づき、髪を手に取る。
「ああ、なんて素敵なピンク色だ☆羨ましい★僕様はピンク色に染めても、どうしても緋色が混ざってしまって純粋なピンク色にはならないのだ...☆」
桜天は薇酒の手を軽く振り払う。
「そうですか、私は薔薇宮殿に戻ります。薔鬼王様から外出許可は出ておりません。」
「ピンク桜天☆お前は今日からこの躑躅宮殿ピンクの一つになるんだぞ★薔薇宮殿に戻って何になる?薔鬼の嫁になっても寂しいだけだぞ?嫁が他に三人も居るんだ☆アイツはイケメンなら誰でも良いし、忙しいから放っておかれるぞ★ここでピンクの一部になれば僕様が毎日可愛がってやる☆」
桜天は、王のことを好き勝手に言われて腹が立った。いくら王の兄の王族で、自分より数段上の妖力を持っている相手と言えど黙っていられない。
「...失礼を承知で申し上げます!薇酒様は薔鬼王様のこと何もわかっていらっしゃらないのですね!あの人は確かにイケメンには目がなくて私たちを見初めたのも見た目からでした!しかし、薔鬼王様は忙しい中でも私たち一人一人に向き合ってくれました!決して貴方のように見た目だけで判断して相手の意思を無視することはしませんでした!」
桜天は薇酒を睨みつける。
格上相手の報復を恐れて身体が震えるが、それでも譲れないものがある。桜天は意思だけは強く持とうと己を奮い立たせた。
「だって薔鬼☆よかったなあ、結構惚れられてるぞ★」
桜天は、薇酒が首を向けた先に目を向けた。
薔薇宮殿から桜天を追ってきた王と、狐紅が立っていた。
「桜天!」
「薔鬼王様...!狐紅!」
しかし、桜天と狐紅は安心も束の間身体が動かなくなる。
王が放つ、怒りを込めた妖力のせいだ。
「薇酒兄様、桜天から離れてください」
「僕様が素直にピンクを返すと思うか?」
「兄様は桜天を力づくで連れ去りました。ならば我も」
ドカッ
王は薇酒の所まで移動し、薇酒の側頭部を殴り気絶させた。そして桜天を抱き抱えた。
この一連の動作が一瞬で行われ、桜天と狐紅は何が起こったのか数秒後に理解した。
「力づくで連れて帰ります。」
「怪我はないか、桜天」
「は、はいありがとうございます。不甲斐無く申し訳ありません。」
「薇酒兄様はあれでも酒呑童子だ。力ではまず敵わない。すまないがこのまま向蛇と雪椿も取り戻しに行く。」
「わかりました、お供いたします。」
三人は飛行龍に乗って、向蛇と雪椿がいるでろう瑠璃唐草宮殿の薇呑の元に向かう。
飛行龍に乗っている途中、狐紅は桜天にヒソヒソと話しかける。
「桜天さ〜、王の冷たい目線見てビビったけど興奮してたでしょ〜?」
「は?!何を言ってる?!」
「途中からドMの顔になってたよ〜♡あ〜、あの目に虐められたい♡って顔〜♡」
「そんな顔してないっ!」
「着いたぞ、薇呑姉様の瑠璃唐草宮殿だ。」
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青色の花装飾が美しい瑠璃唐草宮殿。薇呑と、連れられて来た向蛇と雪椿が、離宮の庭園でお茶会をしていた。
「薇呑姉様」
「あら薔鬼くん、早かったですわね♡」
「薔鬼様...!」
「しょーちゃん!言われてたのにい!ご、ごめんなさあい!」
「謝らなくて良い、どうせ薇呑姉様がしつこく誘ったんだろう。」
「あたりですわ♡」
「向蛇と雪椿を返してもらいます。」
王はまた怒りを込めた妖力を薇呑に向ける。
「そうねえ...まだちょっと足りないですわね...♡向蛇くん、雪椿くん、動かないでね♡」
薇呑は、向蛇と雪椿の首に小刀を当てる。
「薇呑姉様!」
「これはただの茶菓子を着る用の小刀よ♡でも酒呑童子の力があれば首くらいは切れちゃうわねえ♡私様ねえ、別にお人形ちゃんは生きてなくても良いの♡死体を綺麗に保存する方法なんていくらでもあるわ♡」
誰も動けず、場が硬直する。
「薔鬼くん、選びなさい♡お嫁くんを見殺しにするか、お嫁くんのために私様を殺すか♡」
「何を仰るんですか?!」
「私様を殺さなければ、大切なお嫁くんが死んでしまうわよ?」
時が止まったかのような、沈黙の時が流れる。
王は一瞬目を閉じ、切り替えた。
姉に向ける怒りの妖力では無く、敵に向ける殺意を込めたもっと途轍もなく重く巨大な妖力を薇呑に向ける。
その妖力を見て、薇呑は満足したように微笑んだ。
「出来るじゃない♡」
薇呑は小刀を下ろし、向蛇と雪椿から離れる。
「何のおつもりですか?」
「僕様たちからの結婚祝い、といったところだな☆★」
王たちの後ろから先程気絶させた筈の薇酒が現れた。まだ首が痛いぞ☆などと言っているが、あの一撃を受けて平然と立っている時点で十分化け物だ。
「結婚祝いですと?」
「そう♡私様たち、別々に育てられて貴方に何も兄や姉らしいことが出来なかったですわ♡だから今回の薔鬼くんの結婚を機に何かしようと思ったのですわ♡」
「そこで今回の誘拐事件を起こした訳だ☆後の説明は僕様は出来ないから薇呑頼んだぞ★」
「もう♡薇酒兄様はいつもそうなんですから♡どうせ薔鬼くんがこんなに早くこちらに来たのも、薇酒兄様が一撃で倒されたからでしょう?」
「ギクっ☆」
「図星ですわね♡まあ良いですわ♡説明を続けると、誘拐事件を起こしたのは王家の正統後継者が嫁を取ることにより弱点が増えると言うことを体感してもらうためですわ♡」
「弱点など...」
「薔鬼くん♡貴方は私様たちを頭では警戒しておきながら、私様たちが誘拐事件ごっこまでやるとは思っていなかったでしょ?」
図星だった。
現実では平和は崩れないと思っていたのだ。
「薔鬼くんが生まれてから目立った事件は無いけれども、本来王家は常にいつ危機が襲って来てもおかしくは無い立場ですわ♡今回の私様のようにお嫁くんを人質に何かを要求される可能性もありますわ♡...最悪、誘拐されたまま帰ってこなくなる可能性だってあるわ♡」
(薇呑姉様は、幼い頃に誘拐され行方不明となったもう一人の兄様___酒薔(しゅば)兄様のことを仰っているのだろう。
酒薔兄様は我が産まれる前に誘拐された。我はお会いしたことは無いが、薇酒兄様と薇呑姉様は王家の人間故に、今まで一緒にいた家族が消えてしまう怖さを経験しているからこんなことを...)
「貴方はこの国の王♡王の家族が増えることは喜ばしいことでもあり、弱さともなりますわ♡常に王として強くありなさい、薔鬼くん♡先程の妖力を忘れては駄目よ♡王に逆らう気など起こさせない程絶対的な強さを示し続けるのよ♡」
「薇呑姉様...」
「そうだぞ☆僕様を殴ったように武力を示していけ★痛かったぞあれは☆」
「加減はしましたぞ」
「当たり前だ☆四本角のお前に本気で殴られたら死んでしまうぞ★」
「薇酒兄様...薇呑姉様...ご心配おかけしました。確かに我は平和な世の王としてしか経験がありませんでした。今回の件で己の未熟さを思い知りました。気を切り替え精進いたします。」
「うふふ♡薔鬼くんが成人してせっかく自由に会えるようになったんだから、私様たちのことも頼って欲しいですわ♡」
「僕様は出来ることが少ないから程々にしてくれよな☆★」
「ありがとうございます...!」
向蛇、雪椿、桜天、狐紅の四人は、酒呑童子同士の戦いなどどうなることかと思ったが一安心した。
酒呑童子王家は、長男薇酒が八歳、次男酒薔が七歳、長女薇呑が四歳の時、次男の酒薔が誘拐され行方不明となった。
誘拐事件を受け、薇酒と薇呑そして新しく生まれた薔鬼は王家の血を絶やさぬよう別々に育てられた。三人は手の指で数えられるほどの数しか会うことが出来なかった。
兄弟に会えぬ寂しさを、薇酒は躑躅宮の壁をピンク色に塗り紛らした。薇呑は人形を収集して人形に話しかけて紛らした。薔鬼は王としての公務に集中することで紛らした。
しかし、例え会える時間が少なくても、誰よりも優れた四本角であっても薇酒と薇呑にとって薔鬼は大切な弟だったのだ。
王は家族に、ちゃんと愛されていたのだ。
「あとお嫁くんたち、第百部隊程度とは聞いてたけど弱すぎですわ♡どうせ甘やかして王家戦闘訓練も王家座学も受けさせて無いんでしょう?」
「うぬ...」
図星だった。嫁入りを決めてくれてから公務を手伝ってもらったりはしていたが、それ以外の時間は可愛くて可愛くてイチャイチャしてしまっていた。
「お嫁くんたち自体が強くなれば色々な危機に対応できるようになりますわ♡とりあえず明日から特訓かしらね♡薇酒兄様と私様が薔薇宮殿まで行って鍛えますわ♡」
「えええ?!特訓!?」
「そうだぞ☆第四十部隊程度には強くなって貰わないとな!」
「第四十部隊程度って...かなり強いのですが...」
「王家の嫁になるとはそういうことよ♡頑張りましょうね♡」
「はい!よろしくお願いします!」
「え〜!マジ〜?!せっかく妖兵辞めてのんびり生活だったのにい〜!」
文句を言う狐紅に反して、明日から嫁四人は薇酒と薇呑により王家戦闘訓練と王家座学を受けることとなった。
___そして、薇呑の予言は当たる。
この次の日の夜、国の歴史が変わるほどの大事件が起こるのだ。王家を狙う黒い影は、少しづつ薔薇宮殿に近づいていた。
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次回!嫁の胸!脚!尻!
王の欲望が大爆発!
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