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第11話
四本王11話 狼男の三兄弟
キャラクター紹介
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満月が輝く夜。
薔薇宮殿の城門へ人影が三つ。
警護兵の門番が止めに入る。
「何者だ。名を名乗れ。夜の入城は禁じられている。」
三人組中央の仮面の男が、門番の首筋に手刀。
声を上げる間もなく、門番はその場に倒れた。人影は、手慣れた動きで城門を開け放つ。
深夜の侵入者に、庭の警備兵が騒めく。
「侵入者だー!!!」
侵入者の仮面の男は、両隣の二人に命じる。
「城門の雑魚どもはオレ様が一掃する、お前らは宮殿へ向かえ」
「了解」
「はいよー」
仮面の男は背に背負った大剣を取り、一振りした。その瞬間、風が起こり侵入者を排除しようとした庭の警護兵たちは吹き飛ばれた。
▼▽▼▽▼▽▼▽
「侵入者だー!!!」
警護兵の声が響いた時、王族専用訓練場では嫁たち四人の夜訓練が行われていた。
兵士の声がした次の瞬間には、ドカッ、バキッなど戦いの音が宮殿内に響き渡った。
数刻後、訓練場の扉が開いた。
入ってきたのは兵士ではなく、鈍い銀灰色の毛並みの長い髪と尻尾、褐色の肌を持つ青年。この国では見たことが無い妖怪だ。薄汚れた衣服を纏うこの国の人らしからぬその風貌からは、彼が侵入者であることを示している。
「お!王の嫁っぽいのはっけーん!」
ズカズカと訓練場に入ってくる侵入者に、薇酒は声をかける。
「むむう☆誰だ君は?ここは部外者の立ち入りは禁止だ★出て行「うっせーな!」バキッ!
声をかけた薇酒の側頭部が殴られた。
そのたった一発で薇酒は倒れた。唯の妖怪ではない、酒呑童子の薇酒がだ。
いくら油断していたとはいえ、普通の妖怪に酒呑童子を一発で倒すことなど出来ない。
この侵入者は、異常だ!
第一部隊の梅首と水蜘はすぐに異常事態を察知した。
「排除します!」
梅首と水蜘が敵に向かおうとした瞬間、
メキョメキョ!ドコォッ!
二人の腹に何かが当たり、訓練場の対面の壁に叩きつけられた。
叩きつけた後、それは侵入者の手元に戻っていく。双曲刀だった。
神速の挙動で投げられたそれは、誰の目にも映らなかったのだ。
瞬きの間。それくらいの一瞬の出来事だった。向蛇も、雪椿も、桜天も、頭の回転が早い狐紅すら動けない。
今目の前で倒されたのは自分たちより遥かに強く教えを受けていた王族と第一部隊なのだから。
侵入者は強者たちを倒したことなど全く意に返さず、真っ直ぐ狐紅に向かってきた。
「狐の嫁はっけーん!」
狐紅が警戒体勢を取る前に、侵入者は電光石火のごとく狐紅の首の後ろに手刀を浴びせ気絶させる。そして、気絶した狐紅を米俵のように抱えた。
「行かせないわよん!」
まだ第一部隊の精鋭は残っている!朝魚が侵入者に突撃する。
侵入者は突撃される前に地面を強く蹴り、高さ十三丈に及ぶ訓練場の天窓に跳んだ。
「どんな脚力してんのよん?!」
そして、外に向けて叫んだ。
「大兄貴ーーーー!狐の嫁獲ったぞーーーー!」
緊急事態を知らせるため、朝魚はホラ貝を吹き鳴らした。
ブオオオオォォーーーー!!!
低い笛の轟音が、宮殿に響き渡る。
直ぐに菊龍が駆けつけた。
「何が起こったヨ?!」
「侵入者が狐紅ちゃんを攫って天窓から逃げたわん!アタイじゃ追いつけない!菊龍ちゃん行って!アタイは最速の梅首ちゃんを治癒してから追いかけるわん!」
「了解ネ!」
菊龍は一瞬水蜘に駆け寄り、天窓に向かって飛び侵入者を追跡する。
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警備兵の「侵入者だー!!!」という声が聞こえ、王と百又も敵の姿を探していた。
廊下の角を曲がった二人の眼の前に現れたのは、訓練場に現れた侵入者と同じ鈍い銀灰色の毛並みの髪と尻尾、褐色の肌を持つ青年。違いと言えば、訓練場に現れた侵入者と比べて髪が短いことであろう。
彼らはこの国に居るはずがない妖怪。その存在に百又は目を見開き驚愕した。
「狼男...?」
この妖怪が国に居るはずが無いことは、誰よりも百又が理解していたのだ。
侵入者は百又には目もくれず、王を見た。
「緋色の髪と四本角、そして継承者の首飾り。アンタが薔鬼王か。オレの役目はアンタの足止めでね」
喋ると同時に、狼男の青年は王に向かって蹴りを繰り出してきた。
(どうして狼男が...?!)
百又は内心かなり動揺していた。その動揺から、蹴りへの対応が一瞬遅れた。
「王!」
間一髪のところで百又は王と侵入者の間に入り、蹴りを受ける。普段の百又なら無傷で受けることが出来た。しかし、彼の姿を見た瞬間の動揺が受身の精度を欠いた。
メキョメキョッ!
明らかに蹴りを受けた腕が破壊された音がする。
「ぐっ!」
「百又!」
「へえ、アンタ速いな。今の反応するんだ。」
「コイツはワタシが足止めします!王は先へ!」
「その腕では無理だ!」
「させねーよ」
疾いのに、重い。
百又は数千年の修行で速さを突き詰めた。
なのに目の前の青年はそれを上回る神速、そして六尺はあるであろう巨体を活かした重い蹴りを乱撃してくる。
この国最強の妖兵である百又が防戦一方で押され、且つ廊下の通路を遮り王の行手を阻んでいる。
この非常事態に、国の最強妖力の二人がたった一人の敵に動きを封じられてしまった。
時間にしたら数刻も経っていないその拮抗状態が続く中、
「大兄貴ーーーー!狐の嫁獲ったぞーーーー!」
誰かの大声が聞こえた。
「オレの役目は終わりだ」
あの大声は侵入者の仲間のものだったのだろう。目の前の侵入者は廊下の窓から去って行った。
「逃がさない!」
「待て百又!その怪我で深追いはするな!」
王は侵入者の言葉が気になった。
狐の嫁?
敵の狙いは、まさかーーー...
ブオオオオォォーーーー!!!
緊急事態を知らせる朝魚のホラ貝を吹く音が聞こえた。
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王は嫌な予感がし、嫁たちがいるはずの王家専用訓練場へ向かう。
目に入ったのは倒れた薇酒と水蜘。
それを介抱する桜天と向蛇、雪椿。
朝魚は梅首を治癒しているようだ。
そこにはもう狐紅は居なかった。
王は朝魚に問いかける。
「侵入者は何処に行った?!」
「訓練場の天窓から逃げましたわん!現在菊龍ちゃんが追跡中です!」
王も床を強く蹴り、天窓から外に出る。
天窓を出て屋根の上から見えたのは、宮殿から王庭、城門に向かう道に倒れている何百人もの妖兵たち。侵入者を追跡したはずの菊龍は城門付近に倒れている。
そして、城門から堂々と出ようとする三人の侵入者。侵入者に抱えられた狐紅。
「狐紅!!!」
王の叫びが聞こえたのか、侵入者たちは王の方に顔を向ける。
「もう来たのか、薔鬼王。お前ら狐紅を連れて先に行け。オレ様は王の相手をしてから行く。」
「了解」
「はいよー」
王は屋根を強く蹴り、宮殿を超え一里は有るであろう広大な王庭を超えるほどの長い距離を一気に跳んだ。跳んだ勢いのまま、仮面の男を目掛けて蹴りを入れようとする。
しかし王が到達する前に仮面をつけた侵入者は肩に乗せた大剣を後ろに構え、大きく振り上げた。仮面の侵入者が大剣を振り上げた瞬間、竜巻が生じ周りの全てが吹き飛ばされた。
空中を移動していた王の体も風に飛ばされ、王の体は強く城壁に叩きつけられた。
叩きつけられた身体で意識が朦朧とする中、王は仮面の侵入者の呟きを聞いた。
「オレ様とお前の対決は今じゃ無い」
その言葉を聞いた後、王は意識を手放した。
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次回!明らかになる千年前!
酒呑童子の初代王はやっぱり変人!
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以下本編がシリアスで辛すぎるので小ネタ。
小ネタ
【いっぱい食べる君は可愛い】
今日は王と向蛇と雪椿の三人で朝食です。
「むろちゃんあーん♡」
「あーん!もぐもぐっ美味しいいー!」
「二人とも仲が良くて可愛らしいな!向蛇は相変わらずいっぱい食べて偉いし、雪椿も前より食べられるようになったな!」
「はい...むろちゃんの食べかけだといつもより食べられることに気がつきまして。」
「ん???」
「うんうん!だから最近は一緒に食べる時は、ぼくが一口食べてからせっちゃんにあげるんだあ!」
「んん???」
王は一瞬思考が宇宙に飛んだ!
「いっぱい食べるのは良いことだな!」
王はツッコミを放棄した!
小ネタ
【我々にはご褒美です】
今日は王と桜天と狐紅の三人で朝食です。
謎シチュエーションだが桜天が何かにつまづいてすってんころりん!何がどうなったのか受け止めようとした王の顔の上に桜天の尻が乗ってしまった!ちょうど顔面騎上位のような体制である!
「王サマ!桜天!何て羨まし...じゃなくて大変なことに!桜天の尻は重いのに!」
「う、うるさいっ!申し訳ありません薔鬼王様!」
桜天は慌てて王の上からどいた。
「問題無い!むしろご褒美であった!今度は夜のえっちタイムの時に頼む!」
「もう!馬鹿なこと仰らないでくださいっ!///」
「俺もお願い〜!」
「こらっ!」
これの本番は、夜の時間に!
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