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第15話
四本王15話 狼男の望狼
第一部隊と百又が狼男と交戦する中、王はやっと月影宮殿の大広間に辿り着いた。
「狐紅!!!」
「王サマ!!!」
(あれ...角が四本ある...?
じゃあ...仮面の男が持っていた
あの角は誰のなんだ?)
「来たか、薔鬼王!」
仮面の男は王の存在に気づくと、狐紅の手を引いて自分の方に引き寄せた。男は狐紅を祭壇近くの自分の真後ろに投げ、王から狐紅が見えないように立ちはだかった。
「狐紅を返せ」
「返すと思うか?」
仮面の男は大剣を構え、風を繰り出してきた。王は攻撃に備え、後ろへ飛び下がった。
百又の作戦を思い出す。
まずは間合いに入る___!
仮面の男は連続で大剣を振り、いくつもの竜巻が生み出される。
王は己の胸に手をかざす。
パキッパキパキッ!
王族の黄金創造妖力で、大団扇を生み出して竜巻を吹き飛ばす。
「黄金創造か!王様とは羨ましいことだなあ!」
仮面の男はまた絶え間なく竜巻を生み出してくる。
(ぬりかべの簡易結界を投げる隙すら無い___!)
王は大団扇を己の後ろに引き、大きく振った。大団扇の風圧で加速し、一気に仮面の男に近づく。しかし思いっきり攻撃が出来ない。
(狐紅と仮面の男が近すぎる!)
これ以上近づけば、狐紅に攻撃が当たる!
中距離程度、大剣を振るのを抑えるくらいの距離にしか近づけない。
「そうだよなあ、狐紅に当たるから動けないよなあ。素晴らしい愛だよ薔鬼王。そんな健気な王様に良いことを教えてやろう」
「...何だ」
「お前が必死に守ってる狐紅は国の崩壊を望んでいたぞ」
「狐紅が...?!」
「ち、違う!俺はそういうつもりじゃ無かった!」
「何が違う?現状の崩壊を望んだから、お前はあの夜あの場所に来た!」
「そ、それは...」
「この月影宮殿の建国の儀式に必要な血液は「愛する者の生き血」だった。つまり、お前があの夜オレ様と出会わなければこうならなかったんだ。」
(何の話だ...?あの夜?あの場所?)
「もっと良いことを教えてやる、王様」
「や、やめてくれ!」
「オレ様は狐紅を抱いた」
王の目が見開かれる。
「残念だったな王様、お前の嫁は悪者の手でもう汚れているぞ」
王の手が止まり、腕が下に垂れる。
顔も下を向いてしまって、狐紅からは見えなくなってしまった。
(狐紅が甘味休憩の時に言いかけたのは、このことだったのかーーーー)
「アハハハッ!滑稽だな王様!全て持っているお前が!自信に満ちたお前が!必死に守ってる大切なものはもう悪者のオレ様に汚されていた!どんな顔だ?!その素敵な顔を見せてみろ!」
仮面の男は王に近づき、髪を引っ張り顔を見ようと上を向かせる。
仮面の男と狐紅が離れた。
瞬間、空気が冷たくなる。
「狐紅!!!」
「さ、桜天?!」
何かで加速した桜天は狐紅目掛けて飛び、手を引いてそのまま加速していく。
「?!何が起こった?!」
仮面の男は異変に気付き、狐紅が居た場所に目をやる。狐紅が居なくなっている。
王の口の端が上がる。
「我の可愛い嫁たちがやってくれたようだ」
「貴様ッ...!」
「狐紅が過去に何をしていても我は受け入れる!我は狐紅の過去も全て受け止めて未来を共に歩むことを決めている!」
王は胸に手を当て、黄金の大剣を作り出した。
「まずは童貞卒業せねばならん!だから早く帰らせてもらう!」
▼▽▼▽▼▽▼▽
高速移動で大広間から飛び出た桜天と狐紅は更なる冷気に包まれた。飛び出た廊下には雪椿がいて、着地の衝撃を和らげるため化け狸の大布を広げていた。二人が布に触れた瞬間、停止させるため顕在した氷で一部を凍らせる。何とか着地に成功したようだ。
「こもちゃん!さっちゃん!大丈夫う?!」
「向蛇まで?!どうしてここに?!」
「こもちゃんを助けに来たに決まってるでしょお!薇呑様が飛行龍貸してくれたんだあ!」
「薇呑様...化け狸の妖力が込められた大風呂敷も貸してくれたんです。だから僕の冷気でなるべく大風呂敷を伸ばして桜天さんを隠して、狐紅さんと敵が離れて奪還できる機会を伺ってたんです。そして、むろちゃんが思いっきり狐紅さんのいる軌道上に桜天さんをぶん投げて超速で移動したんです。」
「雪椿まで...」
雪椿の言葉を思い出して、ハッとする。
機会を伺っていた___?
ということは、あの話を、聞かれた?
「さ、桜天...仮面の男の話...聞いてた...?」
「私たちは薔鬼王様が戦闘開始する頃から待機していた...全て聞いていた。」
「そ、そっか〜...ハハハ、ウケるでしょ...俺、ちゅーどころか、もうね、やっちゃってるんだよ〜...」
桜天は狐紅をぎゅっと抱きしめた。
「こんな時まで強がるな」
「辞めてよ、桜天、触らないで、話聞いてたんでしょ?俺、汚いよ...」
「汚くたって、構わない」
桜天は、狐紅の血が出た手を握り妖力で治療する。
「傷は癒える。汚れだって、癒せる。どれだけ汚れたって私が癒してやる。私はお前が生きて、一緒にいられればそれで良い」
「桜天...」
「一緒に、帰ろう。狐紅。」
桜天は笑って、もう一度狐紅を抱きしめた。
▼▽▼▽▼▽▼▽
キンッ!キンッ!
大広間で王は仮面の男と大剣を交えていた。
狐紅のことを気にしなくて良くなったことで、王は優勢であった。
「本当に、腹立たしいッ!お前は全て持っているんだな...」
「終わりだ!」
バギィッ!
王の剣が、男の仮面に当たる。
ドコォッッ!!!
凄い音で大広間の壁に穴が空き、外から狼男の身体が吹っ飛ばされて大広間に転がった。その後を追って百又が大広間に入ってくる。戦う内に月影宮殿まで移動してきたようだ。百又の身体は満身創痍で片腕と片足がうまく動いていない。手酷くやられたようだ。
「ゼェっ!ゼェっ!...お、王!」
「百又!」
百又は手早く気絶した狼男の脚に二つ、妖狐の札枷をかける。これで漸く普通の妖怪ほどの妖力になるはずだ。
百又に気が取られていた内に、仮面の男が体勢を立て直した。
バキッ!ドサッ...!
王の剣戟で仮面にヒビが入り、仮面が割れた。割れた仮面が落ち、仮面と共に銀色の髪も床に落ちていく。
国の平和を脅かした憎むべき悪党の頭領。
その仮面の下から出てきたのは緋色の髪。
王族にのみ生まれる緋色の髪。
そしてその顔は、王によく似た顔をしていた。
https://fujossy.jp/fanarts/8154
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次回!仮面の男の過去編!
彼は何故、狼男になったのか?!
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以下本編がシリアスで辛すぎるので小ネタ。
小ネタ
【奴は酒呑童子の中で最弱】
「むむう☆薇呑と薔鬼★」
「あら薇酒兄様♡聞きましたわよ♡薔鬼くんだけで無くて狼男にも一撃で倒されていらっしゃたの?」
「ギクっ☆何故それを★」
「クックック!奴は酒呑童子の中でも最弱!とかやりましょうか?」
「辞めろ☆ノーピンクだ★」
「事実、薇酒兄様は一本角ですからこの中では最弱ですわ♡」
「それ以上ノーピンクな事実を言ったら大声で泣き喚くぞ☆★」
※彼は29歳成人男性で兄妹弟の長男です。
「薇酒兄様...脅し方が小物くさいですぞ!」
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